見出し画像

介護職の平均月収25.5万円に 賃上げは進むも人材不足は解消するのか

介護労働安定センターが公表した「令和7年度介護労働実態調査」によると、介護職員の平均月収は25万4,951円となり、前年から2.4%増しました。また、訪問介護員(ホームヘルパー)は前年比4.1%増と、職種別でも比較的大きな伸びがみられました。
近年、介護人材の確保は国の重要課題となっており、処遇改善加算などを通じた賃上げが進められています。今回の調査結果からは、その取り組みが少しずつ現場に反映されていることがうかがえます。
しかし、「給与が上がれば人材不足は解消する」と考えるのは難しいのが現実です。

出典 Joint介護・介護労働実態調査

               https://www.joint-kaigo.com/articles/47978/


賃上げが進む背景

日本では高齢化が進み、介護サービスの需要は今後も増加すると見込まれています。一方で、生産年齢人口は減少しており、多くの産業で人材確保競争が激しくなっています。
介護分野は以前から人手不足が続いてきました。そのため国は、介護職員等処遇改善加算などを通じて賃金改善を後押しし、介護職を選びやすく、長く働き続けられる環境づくりを進めています。
今回の調査結果は、そうした政策が一定の成果を上げていることを示す一つの材料といえるでしょう。
特に訪問介護は、人材不足が最も深刻なサービスの一つです。利用者の自宅を一人で訪問するという業務の特性もあり、人材確保が難しい状況が続いています。今回、ホームヘルパーの給与の伸び率が比較的大きかった背景には、事業所側の採用・定着への努力もあると考えられます。


給与だけでは解決できない課題

一方で、介護職を取り巻く課題は給与だけではありません。
身体的な負担や精神的な負担に加え、夜勤やシフト勤務、不規則な生活、利用者や家族とのコミュニケーションなど、専門職ならではの大変さがあります。
訪問介護では、利用者宅への移動時間や天候の影響も受けやすく、一人で判断しながら対応する場面も少なくありません。
そのため、人材確保には給与改善だけでなく、働きやすい職場づくり、研修制度の充実、柔軟な働き方の実現など、総合的な取り組みが欠かせません。


介護DXにも期待

近年は、介護DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みも広がっています。
介護記録の電子化、見守りセンサー、インカムやスマートフォンによる情報共有、AIを活用した記録支援などは、介護職員の負担軽減や業務効率化につながる可能性があります。
もちろん、DXだけで人手不足を解決できるわけではありません。しかし、限られた人材で質の高い介護を提供するためには、テクノロジーの活用は今後ますます重要になるでしょう。


2040年を見据えた人材確保

2040年頃には、いわゆる団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、介護ニーズはさらに高まると予測されています。
一方で、働き手は減少していくため、「人を増やす」だけでは対応が難しい時代になります。
処遇改善による賃上げに加え、介護DXの推進、外国人介護人材の活躍支援、多様な働き方の整備などを組み合わせながら、持続可能な介護サービスを構築していくことが求められています。
今回の調査では、給与改善という前向きな変化が確認されました。
その流れを一時的なものに終わらせず、「介護職として長く働き続けられる職場」をどれだけ増やせるかが、これからの大きな課題です。
介護人材の確保は、介護業界だけの問題ではありません。地域包括ケアシステムや在宅医療を支えるためにも、医療・福祉全体で考えていくべきテーマではないでしょうか。

参考リンク


■ Joint介護
https://www.joint-kaigo.com/articles/47978/

■ 公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/

■ 厚生労働省「介護職員の処遇改善」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202201_42226.html


いいなと思ったら応援しよう!