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【歌集】横浜ダービー2025夏


序文

史上初めて同じ目標(J1残留ですが…)に向かって戦う6ポイントマッチの横浜ダービー。最下位・横浜F・マリノスが18位・横浜FCに挑みます。
横浜FCの四半世紀の歩みは横浜F・マリノスへの怨嗟で塗られ、逆もまた然り。憎しみの連鎖。

今回は、いろいろあって、現地に行っていません。したがって観戦記は書けないのですけれど…横浜ダービーを少しでも盛り上げようと試合の前後に短歌を詠んでいたので、それをまとめてみます。
なお、私が抱える横浜ダービーへの想いはこちらの記事をご覧ください。


試合前の4首

6の価値 三度打ち捨て得た1をひしと抱きてダービーは燃ゆ

順位を争う直接対決、俗に6ポイントマッチ。最下位に沈む私たちが浮上するには勝たねばならない試合。
しかし、新潟に負け、東京に負け、湘南にも勝てず…この2週間で三度も迎えた6ポイントマッチをみすみす捨ててしまい、最後の湘南戦でなんとか引き分けて勝ち点1を手にするばかり。
この勝ち点1が貴重なものになるよう、しっかりと胸に抱いて、次なる6ポイントマッチであり街の覇権を争う横浜ダービーで胸の炎を燃やすのです。


「生き残る意志」を見せ合うダービーよ 遺恨、因襲、突き抜けていざ

四半世紀にわたって煮詰めてきてしまった恨み、憎しみ。両サポに根強い遺恨や因縁、もはや因襲と化している敵意や挑発を今は排して、「目の前のサッカー」に集中する横浜ダービーでありたい。

そんな願いも虚しく、まさに「因襲」によるとしか言えない愚かな事件が発生しました。
発生しましたというか、マリノスサポーターと判断するのが妥当な一団が大事件を起こしました。
辛く悲しく怒り心頭。

(心の叫び)

街を割るトリコロールが水色が映える ピッチで街で心で

横浜ダービーは本来、横浜という街を二分する戦いのはず。
両チームのカラーがこの街で色鮮やかに映えるよう、ピッチでは熱く、心の中は美しく、互いの情熱を燃やして戦いたい。


水色と青白赤で塗れ、街を 白けた街を染めろ灼熱

市内を大別するなら「どちらのサポか」ではなく、「横浜ダービーで盛り上がる市民か盛り上がらない市民か」になってしまうのが今の現実です。
ピッチもスタンドも街中でも、双方の力で盛り上げたい!
なので…(別に「なあなあで仲良しこよしに」だなどとは思っていなくて)バチバチに競い合ったり、(互いの尊厳を守る範囲で)煽り合ったりするのはもちろん大賛成です。その情熱、魂の灼熱で、白けた街の空気を両クラブのチームカラーで染めてやりましょうよ!

サポの3色+1色(水色と青白赤)と一般市民の白け感(白)が視覚的に鮮やかにしたいと思っての表現をしてみました。

(創作の小窓)

試合当日の3首

愛を食み呪いを食らうソウルフード 祈り詰めたしシウマイ弁当

横浜市民のソウルフードと言えば、崎陽軒のシウマイ弁当。
崎陽軒と言えば、横浜F・マリノスのパートナー。
横浜F・マリノスのサポーターは愛を持って食べます。
横浜FCのサポーターは「相手を食ってやる!」という思いで食べます。
でも、みんな美味しくいただきます。
アウェーにちなんだ料理を食べる文化、天下泰平の世の代理戦争っぽくて好きですよ🙂同じ街で覇を競う横浜ダービーならなおさら。

なお、こちらの歌は横浜FCスタジアムMCを務めていらっしゃる三田萌日香さんのポストからインスピレーションを受けて詠みましたことを告白しておきます😌 シウマイはうまい

下の句「詰めたし」に、
・弁当箱に祈りを詰めたい
・祈りに対して冷たい(どちらかの陣営の祈りは叶わないので)
・シウマイ弁当は冷たい状態でも美味しい
などの思いを詰め込んでみました😌

(創作の小窓)

シール貼り「拡張した吾」誇る彼に耐える民草 高潔の君

また(マリノスサポーターと思しき人物が行ったと考えるのが状況的には妥当なのではないかという)三ツ公園内でのステッカー貼り事件が確認されました。
横浜の街を汚すな! と、マリサポも怒っていますが、そんな想いはなかなか横浜FCサポには届かない…。

結局のところ「強いチームを応援する俺たちは強い」とか「大嫌いな相手を蔑んで騒がれる俺たちは凄い」みたいな感覚なのかなと想像するほかない(知らんけど。全く理解できないので)。
だが、私のまわりには両陣営とも、耐え忍び共に怒る人しかおらぬ。何を考えてこんなことを。お前はちっぽけなお前でしかないのに。意図的か無意識かはわからないけれど、自分を大きく見せること、自分が大きいと思ってしまうこと自体が愚行なのだよ。
高潔な両サポとのコントラストが際立つ。


「ダービーの真骨頂は下剋上」苦悩悲愴を食み立ち向かおう

まさか、後半戦の横浜ダービーに下位という立場で臨むとは思ってもいなかった。でも、古今東西、ダービーは下位こそ死に物狂いで戦うもの。
今期ここまで深く深く悩み、傷つき、悔んできた私たち。この苦悩や悲愴さも、きっとこの日のために。


勝ちました。


試合後の2首

反攻の狼煙上げるも凱歌なく燻された街に想い燻る

一部のマリノスサポーター(判明・特定しているわけではないが状況的にそう考えるのがあまりにも妥当)が、横浜FCサポーターのいる方に向けて花火を打ったり発煙筒を投げたり、という(ことらしい)事件が起きました。
多くのマリノスサポーターは怒り心頭なのですが…その怒りも、横浜FCサポーターにはなかなか届かない…

(魂の叫び)

よくもわたしたちの愛する街を。
哀しいし悔しいし恨み骨髄。
絶対に許さない。
許してはいけない。


悪を討つ 撃ちてし止まん この石で 無辜の民打つ血濡れた石で

書き下ろし

事件の真相は(7/10時点で)明らかになっていませんが…当時撮られたという動画などから、行為者がいわゆるマリノスサポーターの属性を持つのはほぼ間違いないでしょう。
もちろんごく一部だし、ほとんどのマリノスサポーターからしたら「チームに迷惑をかけてそんなことする奴らはマリノスサポーターじゃない!」と叫びたい。いや叫んでいる。心からの悲痛な叫び。
けれど、やられた側からしたら全てマリノスサポーター。それは言い逃れようがないこと。
でも、とは言え、その正義感からマリノスというクラブやマリノスサポーター全体に対して(事件に対する怒りというより)明確な敵意をいわゆる「主語デカ」でぶつけてくる人々がいるのも事実。
正義の石を投げつけられて傷つくのは、何も悪いことをしておらず一緒に怒っている罪のない人々なのですよ。マリノスのサポーターだというだけで罪があるとでも? その考えの中にまだ正義の残滓はあるの?
結局、人は「自分の考える正義」の中で「お前は悪だ」と思った相手に向けて安全地帯から石を投げる。

人に石を投げる人は、投げてもいいと思っている。
自分が正しいと思っているから。
でも、その人たちは何も本当のことは知らない。
知らないけど正しいと思っているから平気で投げる。

朝ドラ「らんまん」すえちゃん心の叫び

事件の真相が、早く明らかになり、行為者が罰せられますように。

横浜の街を彩るダービーマッチに、早くなりますように。
遺恨と怨念に脳を焼かれた私たち旧世代が絶滅したあとでも、やむを得ないから、次世代に幸せを。


【2025.7.15加筆】

五十九の「志士」が壊せし港から這い出す鴎 謳え平和を

書き下ろし

7月14日、途中経過ではありますが行為者等に対するクラブの処分が公表されました。
(現時点で)大量としか言いようがない計59人が無期限入場禁止、サポーターグループ4団体が無期限活動禁止という厳しい処分でした。(註:それでも、実効性や期間などで処分の軽さを指摘する横浜FCサポーターも散見されますし、そのお気持ちはわかります)

「マリノスが自分たちの全てだ!」と語っていた彼らも含まれているのでしょうか。
愛国の志士気取りで彼らの愛する「国家・民族」であるマリノスに尽くそうとした末路なのか、ただの浅薄で小児的な示威行動だったのか、その動機は今わかりませんが、自らの蛮行により私たちの愛する港を彼らが完膚なきまでに破壊してしまったのは間違いない事実です。
でも、彼らは我らでもあります。
「一部のサポーター」ではない私たち、ふつーの鴎たちは、信頼が崩れ瓦礫と化したこの港で、真摯に煉瓦を積み上げながら平和の歌を謳う。
今マリサポにできることがあるとするならば、それなのではないでしょうか。

被処分者計59人を「志士」とした表現において、彼らを礼賛していないどころか批判している、ということには注意が必要です。
『「志士」』と書いたカギカッコもまた有意な皮肉なのです。
明治維新もテロルとクーデターだという認識ですし。

創作の小窓

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