【読書記録】白昼の死角/高木彬光


「いつの世も、金儲けは人の悩みの種である」
そんな一節が胸に刺さる、戦後日本の熱量を詰め込んだような一冊を読み終えました。高木彬光の『白昼の死角』。
4人の大学生が仕掛ける「太陽クラブ」
物語の舞台は、物がなく、経済もボロボロだった戦後の日本。 一人の男のひらめきで、4人の大学生が金融業者「太陽クラブ」を立ち上げるところから始まります。
昭和という、どこか薄暗くも、人々の「生きてやる」というエネルギーが剥き出しになった時代の空気。その熱気がページからじわじわと滲み出してくるようです。
欲望と詐欺の連鎖
酒と女が飛び交う大きな取引の場。 男たちの欲に付け込み、また自分も付け込まれながら、詐欺の規模はどんどん膨れ上がっていきます。
何かを得れば、必ず何かを失っていく。 それでも悪の道を突き進む主人公の姿は、恐ろしいほどに鮮やかです。
読みながら、「これ、現代の技術で映像化されたら最高に面白いだろうな」と何度も思いました。最近の『地面師たち』や『コンフィデンスマンJP』のような、緻密でスリリングな騙し合いが好きな人なら、絶対にハマるはずです。
圧倒的な「読み応え」という贅沢
文庫の厚みは、東野圭吾さんの『白夜行』や、町田康さんの『告白』と同じくらいのボリューム感。 手に取ったときはその重さに少し構えてしまいましたが、いざ読み始めると、その面白さにグイグイ引き込まれて一気読みでした。
「厚い本を読み切った!」という満足感も含めて、まさに至福の読書時間。 昭和の迷宮に迷い込みたい夜に、ぜひおすすめしたい名作です。
明晰な頭脳にものをいわせ、巧みに法の網の目をくぐる。ありとあらゆる手口で完全犯罪を繰り返す”天才 的知能犯”鶴岡七郎。最後まで警察の追及をかわしきった”神の如き”犯罪者の視点から、その悪行の数々を冷徹に描く。日本の推理文壇において、ひと際、異彩を放つ悪党小説。主人公のモデルとなった人物を語った秘話を収録。<巻末エッセイ・逢坂剛>
今読んでいる本
谷川俊太郎 × 木下龍也
詩人と歌人の真剣勝負
詩人ふたりが数行の短い詩を交互に書きつぎ、ひとつの作品をつくる詩の形式「対詩」。本書では、詩と短歌による延べ 40 回にわたるやりとりをおさめました。巻末では、木下さんによる「ひとり感想戦」を収録。詩人・谷川俊太郎と歌人・木下龍也が同人誌として限定部数で発表した一冊に、原稿を新たに加え、待望の流通版として刊行します。
木下龍也さんコメント
僕にとって『これより先には入れません』は一対一の戦いでした。どの場面にも技術+勘+運+奇跡が必要でした。圧倒的な才能+経験値を前にして何ができたのか、できなかったのか。ぜひ本書でご覧ください。
最近購入した本
ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか──新版でおくる、永遠の名作。解説/高橋良平
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短歌も投稿しています
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