小説版ネオ・セラフィス 第3話「襲撃」
桜乃は満足そうに笑っていた。
窓の外では、
夜の街の灯りが静かに揺れている。
柊弥はその横顔を見ながら、
ふと最初の頃を思い出していた。
最初は、ただ先生に頼まれただけだった。
「同じクラスなんだから、たまには顔出してやれ」
そんな軽い理由だったと思う。
正直、最初は少し気まずかった。
病院の匂いも、
機械の音も、
どこか落ち着かなかった。
何を話せばいいのかも分からなかった。
けれど桜乃は、
そんなことを気にする様子もなく笑った。
他愛ない話をして、
窓の外を見て、
時々こうして本を読んだ。
それだけだった。
けれど気づけば、
病院へ来ることが、
当たり前みたいになっていた。
学校が終わると、
自然とここへ向かっていた。
桜乃が笑うと、
少し安心した。
退院の話を聞くたび、
自分のことみたいに嬉しかった。
だから。
柊弥は、
疑ったことすらなかった。
この穏やかな時間が、
これからもずっと続いていくのだと。
病室の空気は穏やかだった。
桜乃が小さく笑う。
柊弥もつられて笑い返す。
その瞬間だった。
――バキンッ!!
突然、
窓ガラスが激しく砕け散った。
「……っ!?」
爆音と一緒に、
冷たい夜風が病室へ吹き込む。
警報が鳴る。
赤いランプが点滅する。
柊弥は反射的に桜乃を庇うように振り返った。
廊下の向こうから、
誰かの叫び声が聞こえる。
足音。
重い靴音。
病院とは思えない、
金属の擦れる音。
「な……」
理解が追いつかない。
病室の入口に、
黒い影が現れた。
全身を黒い装備で覆った武装集団。
その中心にいた人物が、
真っ直ぐ柊弥を見る。
「発見」
機械みたいな声だった。
「対象コード確認。
――朝霧柊弥」
空気が凍った。
「……は?」
どうして、
自分の名前を知っている。
敵は迷わず銃口を向ける。
その瞬間。
桜乃が、
反射的に柊弥の腕を引いた。
銃声。
世界が白く弾ける。
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