「身体を変える」食べ方|3つの視点でのテクニック
「チートデイ、入れていいですよね?」
ダイエットを支援する中で、よく受ける質問のひとつです。私の答えとしては、「課題に対応する解決策がチートであれば入れてOK」です。
「減量で落ちた代謝を戻すために必要だ」という情報を、画一的に信じてチートデイを続けた結果、減量が止まってしまう方がいます。問題は、チートそのものではなく、課題を捉えずに対策を決めてしまうことです。
ここでは、チートやリフィード、食べる回数・タイミング・順序といった、『食べ方』のテクニックについて書きます。
既にダイエット中・ボディメイク中の人はもちろん、これから身体を変えたい人にも、目を通してほしい内容です。
「設計」と「運用」を分ける
食事管理は、「設計」と「運用」に分けて考えるとすっきりします。
「設計」とは、何をどれだけ食べるかです。以下の記事に設計の仕方を書きました。まだ読まれていない方は、先に目を通されると、今回の記事がより有益になると思います。
「運用」とは、その設計を日々の生活でどう回していくかです。設計が外れていれば、運用をどれだけ完璧にしても、身体は変わりません。
ここでは、設計の考え方を理解されていることを前提に、進めてゆきます。運用を3つの視点に分けて、順に考えていきます。
戦略的な衝動管理とは?
ダイエットを続けていると、「もっと食べたい…!」という気持ちは、必ずやってきます。その衝動を、気合いで抑え込むのではなく、計画のなかに組み込んでしまう、という考え方です。
食べたくなる場面には、二種類があります。ひとつは、身体がエネルギーを求めているとき。もうひとつは、心が息抜きを求めているときです。
身体がエネルギーを求めているとき
ひとつめは、身体がエネルギーを求めているという課題です。
ここで、チートデイとリフィードの考え方を説明します。両者に厳密な定義の違いはありませんが、実践のうえでは、こう分けると分かりやすいです。
・チートデイは、量もPFCも制限を外す
・リフィードは、炭水化物の量を計画して増やす
リフィードのねらいは以下です。
・減量期に枯れがちなグリコーゲンを補う
・疲労を和らげる
・筋力や筋量維持を助ける
・減量による代謝低下の抑制(明確なエビデンスは無い)
やり方は、シンプルです。タンパク質と脂質は普段どおりで、減量中のカロリーと維持カロリーとの差を炭水化物とします。
たとえば、維持カロリーが2,600kcal、普段は2,210kcal(例として維持の85%)で減量しているとします。リフィードの日は、2,600kcalまで戻し、増やす390kcalを炭水化物から摂ります。
コンテスト出場者のような上級者は、炭水化物を2〜3倍まで増やすこともあります。経験則的に有効とされていますが、学術的根拠はありませんし、体組成が大きく異なることもあり、初心者の方に必要なものでもありません。
体重減少が止まった、筋力が少し落ちてきた、やや疲労感が出てきた、という局面ではリフィードが有効な可能性がありますので、その際にリフィードを活用することは有効な選択肢になります。
心が息抜きを求めているとき
もうひとつは、普段がまんしているものを食べたくなるという課題です。
その対策として、あらかじめ決めた「1食」だけを、自由にします。『チートミール』と言われます。
・昼にラーメンを食べるなら、朝と夜は設計した通りの食事
・夜に会食があるなら、朝と昼は設計した通りの食事
エビデンスはありませんが、様々なクライアントを支援する中での経験則としては、夜にチートミールを置いた方がうまくゆくことが多いようです。昼や朝にチートしてしまうと、食欲が爆発してその次の食事も好きなものを食べてしまう傾向にあります。
大切なのは、その1食のあと、次の食事から設計した食事へ戻ることです。翌日に絶食したり、長時間の有酸素運動を足したりする必要はありません。
1食で身体が完成することがないように、1食で体脂肪が蓄積することもありません。
このように、各課題に対して、『リフィード』と『チートミール』を使い分けることがお薦めです。
トレーニングを活かす食べ方とは?
トレーニングしたら、その効果を最大化したいところです。そのために、食べ方は非常に重要です。
食事回数とタンパク質の摂り方
ボディビルダーやフィジーカーの食事を見ると、1日に5回、6回と食べていることも多いです。
タンパク質を複数回に分けることには、意味があります。一度にまとめて摂るよりも、1回20〜40g程度を、3〜4時間おきに摂るほうが、筋タンパク質の合成を高めるうえで有効だと考えられています。
そのうえで、食事の回数について考えてみます。
結論的には、食事回数を5-6回にする必要はなく3回でもよいと考えています。アスリートを対象に1日3回の食事と1日6回の食事がもたらす影響を分析した研究において、両グループで体重・筋肉量・脂肪量の変化に差はなかったという報告があります。
一方で、別の研究で、「タンパク質摂取のバランスを崩したグループ」と「3食均等にタンパク質摂取したグループ」で筋トレを行い、筋肉量を評価した研究では、後者の方が筋肉量の増加が顕著であった傾向があるとされています。
従って、タンパク質は、1度にたくさん摂るよりも、毎食毎に摂取した方が効率的と思われます。
トレーニング前の食べ方
トレーニング前の食事は、運動中に力を出すためのものです。空腹のまま始めると、重量や回数を保てない方がいます。とくに減量中は、トレーニング前の炭水化物が、出力に響きやすくなります。
目安は、トレーニングの1.5時間前までに食事を終わらせることです。
トレーニング前の食事は、脂質や食物繊維の多いものは胃に残りやすいので、避けるようにしましょう。
減量中だからといって、トレーニング前の炭水化物まで削る必要はありません。余分なカロリーではなく、トレーニングの質を保つためのエネルギーだと整理しましょう。
トレーニングがきちんとできれば、筋量維持につながり、「体重は減ったけど思ってたカラダと違う…」という寂しい結果を防げます。
「ゴールデンタイム」は本当?
かつては、トレーニング後30分以内にタンパク質を摂らないと、筋肉を増やす機会を逃す、と言われていました。この時間帯は「アナボリックウィンドウ」と呼ばれますが、筋タンパク質の合成が高まる時間は30分で終わるわけではありません。
数時間前にタンパク質を含む食事をしていれば、トレーニング直後にあわててプロテインを飲まなくても大丈夫です。反対に、空腹のままトレーニングをした場合や、そのあとしばらく食事ができない場合は、早めに摂る意味があります。
トレーニング後の食事は、プロテインとおにぎりでも構いませんし、肉や魚とご飯を食べても構いません。大切なのは30分間という時間ではなくて、1日単位での必要な栄養を摂ることです。
「食べる時間」と「食べる順番」
「食べても太らない時間」や「痩せる食べ順」についてもよく質問をいただくので、触れておきます。
夜に食べたら太る?
「22時以降に食べると太る」という説明に、体内時計に関わるBMAL1というタンパク質が持ち出されることがあります。
確かに、代謝や血糖の反応には1日のなかでの変動があり、食事を早い時間に寄せることが、食欲や代謝の指標に有利に働く可能性を示した研究もあります。
ただ、それだけを根拠に「夜のカロリーは脂肪になる」とするのは少し単純化しすぎで、食べる時刻よりもエネルギー収支(摂取と消費の差)を基本におく方がよいでしょう。
仕事が遅くまである方が、晩ごはんを抜く必要はありません。むしろ、空腹で眠れない/眠りが浅いくらいなら、夜にも適切に食べたほうがよいでしょう。
夕食が遅くなると分かっているなら、このように分食する方法もあります。
・夕方に、おにぎりとプロテインを摂る
・帰宅後は、肉や魚と野菜を中心に軽く
「夜中に食べちゃった。もうダメ。」という『全か無か』の思考になることは、減量を継続するうえで大きい問題で、意外と多くの方にその傾向があります。
夜に食べないこと自体を目的にせず、1日あたりの栄養摂取・トレーニング・睡眠を崩さないように差配することの方が大切です。
野菜から食べれば太らない?
野菜やタンパク質を先に、炭水化物を後に食べると、食後の血糖値の上昇をゆるやかにできることが報告されています。これはひとつのテクニックとして有効です。
順序の目安は以下で、外食でも実践できます。
野菜や汁物
肉・魚・卵・大豆製品
ご飯・パン・麺
ただし、前提として、血糖値を抑えることと体脂肪が落ちることは別の話です。野菜から食べても、食べすぎれば同じことです。
野菜を最初に食べても、摂取カロリーが維持カロリーよりも大きい日が続けば、体脂肪は増えます。
この前提を理解のうえであれば、満腹感が出て主食や脂っこい料理を食べすぎにくくなるといったメリットもある食べ方になります。エネルギー収支の考え方を前提にして、うまく使ってゆきましょう。
今回は、設計したカロリーとPFCを実践しやすくするための「運用」について、書いてみました。
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