ねずみとさかなとレバーと#1

ねずみと魚とレバーと
福田 鼠
絵 GPT先生
多少、精神的につらいことがあって、私は少し遠出することにした。人間に疲れたのだろうか。どうにも分からないが、心にもやもやがかかっていて、どうもそれが晴れない。

切符を買い汽車に乗る。目的地は無いから財布にあった金の三分の一の料金を払う。汽車はまもなくやってくる。見慣れたホームに何人かの人を吐き出して代わりに私はその汽車に乗った。ガタゴトガタゴト音を立てながら知らない山に向かって汽車は走る。乗客はぽつりぽつりといて、目も合わせずに立っている。たまに増えたり減ったりしながらも同じ空気を抱えたまま汽車は走っていく。
汽車はいくつか真っ暗なトンネルをくぐって、後方にに黒い煙を残しながら、ガタゴト走った。気付いたころには目的地であるどこかの山の上についた。初めての場所なのにやたらと私はその場所に親近感を抱いた。

緑の草が茂っていて、風が時々思い出したように吹く。乾いた灰色の空に太陽が嘘みたいにはっきりした輪郭でのぼっている。そこには何かしら現実味というものがなかった。その代わりに何か温かみのようなものがあった。
真ん中にはねずみが一匹いた。小汚いようなねずみだ。ここにはそれ以外に生命というものも無いようだったので一緒に弁当でも食う事にする。
―どこから来たんですか。
―遠くの町です。
―私は……
いろいろと世間話を交わす。ねずみと世間話をするなど私の人生で初めての事だったが、違和感は無かった。むしろ、街の中で人間と話しているよりも自然に話している自分におどろく。
太陽は沈む気配もなければ雲に隠される事もない。
ねずみはどうも私のうちの屋根裏に住んでいるようだったが、不思議な事に全く違う場所に住んでいるように感じられた。ねずみがウソを付いてるとは思えなかった。第一にウソを付く理由が無い。ねずみも自分の住んでいるのが私の家の屋根裏だという事が納得できないようだった。
続く
