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䞖界䞭から叩かれた瀟長を救ったもの―豊田章男氏が涙した日、「䌚瀟」ずは䜕かが倉わったのでは人は石垣、人は城。


2010幎、トペタは䞖界芏暡のリコヌル問題に揺れおいた。
品質ぞの疑念が広がり、米囜では連日のように厳しい報道が続く。

その矢面に立ったのが、瀟長に就任しおただ間もなかった豊田章男氏だった。
米議䌚の公聎䌚に呌ばれ、䞖界䞭のカメラの前で説明責任を問われる。

創業家出身の瀟長。
䞖界最倧玚の自動車メヌカヌ。
背負っおいたものは、あたりにも倧きかった。

しかし、この危機の䞭で豊田氏が匷く心を動かされたのは、売䞊でも利益でも株䟡でもなかった。
自分を支えおくれる「人」だった。

䌁業経営ずは䜕なのか。

リヌダヌずは、䜕を背負う存圚なのか。

豊田章男ずいう経営者を考えるうえで、2010幎の危機は䞀぀の倧きな転換点だったのではないか。



■ 䞖界䌁業トペタを襲った「信頌の危機」

圓時のトペタは、急加速問題などを背景に米囜で倧芏暡なリコヌルに盎面した。

問題は、単なる郚品亀換では枈たなかった。

トペタずいうブランドそのものぞの信頌が問われたからだ。

自動車メヌカヌにずっお、

「この車は安党だ」
ずいう顧客からの信頌は、䌁業の生呜線である。
いくら販売台数が倚くおも、
いくら利益を出しおいおも、
その信頌が厩れれば䌁業䟡倀は䞀瞬で揺らぐ。

豊田氏は米囜議䌚の公聎䌚に出垭し、厳しい質問を受けた。

䌁業のトップである以䞊、逃げるこずはできない。
䜕十䞇人もの埓業員。

販売店。
取匕先。
そしお䞖界䞭の顧客。

そのすべおを背負っお、カメラの前に立たなければならなかった。



■ 「私は䞀人がっちだった」
巚倧䌁業のトップずいうず、倚くの郚䞋に囲たれ、暩力を持぀人物を想像する。
しかし実際には、トップに行けば行くほど孀独になる。

最埌に決断するのは自分。
結果の責任を取るのも自分。
良い時には倚くの人が集たっおくるが、䌚瀟が危機に陥れば、最埌には瀟長の名前が前面に出る。

豊田氏自身も、この時期に぀いお非垞に倧きな粟神的重圧を感じおいたこずを埌に語っおいる。
䞖界䞭から批刀される。

新聞を開いおもテレビを぀けおも、自分の䌚瀟が叩かれおいる。
「自分は䌚瀟を守れるのか」
「自分の刀断は正しいのか」
経営者でなくずも、その孀独は想像できる。

責任の倧きさず孀独は、ある意味で比䟋する。



■ 公聎䌚の埌に埅っおいた光景

そんな䞭、米議䌚での公聎䌚を終えた豊田氏は、珟地の埓業員や販売店関係者らずの亀流の堎に向かった。
そこには、厳しい批刀ずは察照的な光景があった。

トペタで働く米囜籍の人たちから、

「私たちはあなたを支える」
「トペタを信じおいる」
「負けないで、あなたを信じおいる」
「今こそ信念を貫いおほしい、必ず支えたす」
「章男san 倧䞈倫。信じおたす。倧䞈倫です、必ず我々が支えたす、今こそ立ち䞊がる時だ」

* “We’ve got your back.”

* “We believe in Toyota.”
 
* “Don’t give up. We believe in you.”

* “Now is the time to stand by what you believe in. We’ll be right there with you.”
   ã€€ã€€ã€€
* “Akio-san, you’re going to be okay. We believe in you. You’re not alone—we’ve got your back. Now is the time to stand up and fight.”


豊田氏は涙を芋せた。
それたで自分䞀人で䌚瀟を背負っおいるように感じおいた。
しかし、そうではなかった。
トペタずいう䌚瀟は、瀟長䞀人でできおいるわけではない。
工堎で車を぀くる人がいる。
販売店で顧客ず向き合う人がいる。
郚品を぀くる取匕先がいる。
そしおトペタ車を信じお乗っおくれる顧客がいる。

危機の真っただ䞭で、豊田氏は改めおその存圚に気づいたのではないか。



■ 䌚瀟を支えおいるのは「数字」ではない
䌁業経営では数字が重芖される。
売䞊高。
営業利益。
営業利益率。
販売台数。
時䟡総額。

もちろん、すべお重芁だ。
だが、䌚瀟が本圓に苊しくなった時、最埌に組織を支えるものは必ずしも数字ではない。

「この䌚瀟のためなら頑匵ろう」
「この人に぀いおいこう」
「この商品をもう䞀床信じよう」

ずいう、人の気持ちである。

䌚瀟ずは、貞借察照衚の䞭に存圚するものではない。
そこに働く人たちの信頌の集合䜓なのである。

だからこそ、信頌を倱えば巚倧䌁業でも揺らぐ。
逆に蚀えば、信頌が残っおいれば、䌚瀟は立ち䞊がるこずができる。



■ 危機が豊田章男氏を倉えた

2010幎の危機以降、豊田氏の経営では「珟堎」ずいう蚀葉がより匷く語られるようになる。
そしお繰り返し匷調されたのが、
「もっずいいクルマを぀くろうよ」
ずいう考え方だった。

売䞊䞖界䞀になる。

販売台数を䌞ばす。

䌚瀟を巚倧化させる。

それ自䜓を最終目的にするのではない。
顧客に喜ばれるクルマを぀くる。

珟堎が誇りを持おる䌚瀟にする。
その積み重ねの結果ずしお、利益や成長が぀いおくる。

経営の重心が、
「芏暡」から「信頌」ぞ
移っおいったように芋える。



■ 「速すぎる成長」は組織を壊す

この事件から孊べるもう䞀぀の教蚓がある。
䌁業は、成長すればするほど匷くなるずは限らない。
むしろ急成長するず、
組織が拡倧する。
意思決定の階局が増える。
本瀟ず珟堎の距離が遠くなる。
数字が優先される。
そしお、小さな異倉がトップたで届きにくくなる。

䌚瀟が成功しおいる時ほど危険なのである。
倱敗しおいる䌚瀟は、自分たちの問題に気づきやすい。

ずころが成功しおいる䌚瀟は、
「今たでうたくいったのだから倧䞈倫だ」
ずいう空気に包たれる。

成功䜓隓そのものが、次の倱敗の皮になる。
これはトペタだけの話ではない。
巚倧組織なら、どこでも起こり埗る。



■ 本圓のリヌダヌは「匷い人」ではない

リヌダヌずいうず、
迷わない。
匱音を吐かない。
䜕でも知っおいる。
そんな人物像を想像しがちだ。

しかし珟実のリヌダヌは違う。
迷う。
苊しむ。
時には怖くなる。
それでも最埌には前に立぀。

これがリヌダヌなのだず思う。
そしおもう䞀぀重芁なのは、
「自分䞀人で戊っおいるず思わないこず」
である。

郚䞋に助けおもらっおいい。
仲間を頌っおいい。
珟堎から孊んでいい。

むしろ、それができないリヌダヌほど危ない。
経営者の仕事は、䜕でも䞀人で解決するこずではない。
人々が力を発揮できる組織を぀くるこずなのだから。



■ 「瀟長を守る瀟員」ず「瀟員を守る瀟長」

良い䌚瀟には、䞍思議な埪環がある。
瀟員を守ろうずする経営者がいる。
するず瀟員も䌚瀟を守ろうずする。
䌚瀟が瀟員を信じる。
瀟員も䌚瀟を信じる。
そしお顧客も、その䌚瀟を信じる。

反察に、
䌚瀟が瀟員を数字ずしお扱えば、
瀟員も䌚瀟を単なる絊料の支払者ずしお芋るようになる。

信頌は呜什では生たれない。
日々の小さな行動の積み重ねからしか生たれない。
だからこそ、危機の時には普段の経営がそのたた衚に出る。



■ 人は「絊料」のためだけには戊えない
この話で私が最も考えさせられるのは、ここである。

䌚瀟員は絊料をもらっお働く。
それは間違いない。

しかし、人間は絊料だけでは本圓の力を出し続けられない。
「この仕事には意味がある」
「この仲間のために頑匵りたい」
「この䌚瀟を少しでも良くしたい」

そう思えた時、人は驚くほど匷くなる。
反察に、いくら絊料が高くおも、
自分が尊重されおいない。
䌚瀟を信甚できない。
䞊叞を信じられない。

そんな職堎では、人の心は少しず぀離れおいく。

だから経営ずは、結局、
人の心をどう぀なぐか
ずいう仕事なのだず思う。



■ 危機の時こそ、組織の本圓の姿が芋える

䌚瀟が順調な時には、誰でも立掟なこずを蚀える。
「瀟員第䞀」
「お客様第䞀」
「チヌムワヌク」

しかし、本圓に問われるのは䌚瀟が苊しくなった時だ。
利益が萜ちた時。
倱敗した時。
䞖間から批刀された時。

その瞬間に、
経営者が瀟員を守るのか。
瀟員が経営者を支えるのか。

それたで築いおきた組織文化の本圓の姿が珟れる。
2010幎のトペタ危機は、巚倧䌁業が信頌を倱いかけた事件だった。

しかし同時に、
「人は石垣、人は城。」
ずいう経営孊の極めおシンプルな原点を再確認する時間でもあったのではないか。

䞖界䞭から厳しい芖線を向けられた経営者が、最埌に立ち䞊がる力をもらったのは、数字でも肩曞でもなかった。

自分を信じおくれる仲間の存圚だった。



【たずめ】

2010幎の危機から芋えおくるものは倚い。

* 䌁業の最倧の資産は「信頌」である
* トップになればなるほど孀独になる
* 急成長は組織ず珟堎の距離を広げる危険がある
* 危機の時にこそ䌁業文化の本質が珟れる
* リヌダヌは䞀人で戊う必芁はない
* 瀟員を守る䌚瀟ほど、瀟員からも守られる
* 人は絊料だけではなく「意味」ず「信頌」で動く
* 経営ずは、最埌は人ず人ずの関係を぀くる仕事である

巚倧䌁業のトップであろうず、䞀人の人間である。

そしお、人を再び立ち䞊がらせるのも、やはり人なのだ。

“If you want to go far, go together.”
遠くぞ行きたいなら、仲間ず行け。
䌁業経営にも、人生にも通じる蚀葉ではないだろうか。

いいなず思ったら応揎しよう

Peter.Outside of Japan. ありがずうございたす