どちらが狂っているのか分からなくなる(吉村萬壱編)
小説紹介第55弾!
「CF」 吉村萬壱
2022年発売!
本日紹介するのは2001年にデビューし、デビュー1年で(ハリガネムシ)で芥川賞を受賞した吉村萬壱(よしむら・まんいち)
正直初期の作品は今一つの印象あったんですが、どんどん化けて行った作家さん。
SF的要素のある奇抜な作風が持ち味なんですすが、私が一押しするのは今作。
近未来の日本が舞台で、罪の責任を取る必要がない(無化)という作業を行ってくれる超巨大企業Central Factory(略してCF)が世に中にはびこっています。
(無化)とは、加害者のみならず被害者の苦しみも取り除いてくれる夢のような技術で、恨みと言う感情がなくなり、世を平穏へと導いていました。
多くの人は(無化)で幸せに生きているのですが、疑問を持つ人達も存在し、CFへのテロ計画を立てる物語。
罪とは?責任とは何かを問う問題作。
キューブリック監督の(時計仕掛けのオレンジ)に何処か通じる背筋が寒くなる作品でした。
それでは吉村萬壱のマイベスト・スリーを。
第三位 前世は兎 2018年発売!七話からなる短編集ですが、どの物語の登場人物たちも、多かれ少なかれ、狂っていたり歪んでいたりしています。しかしそんな主人公達を取り巻く世界は、もっと狂っていて、主人公達の世界に対する嫌悪や批判は、逆に真っ当なものに感じる物語。
第二位 臣女 2014年発売!島清恋愛文学賞受賞作。主人公は大恋愛の末結婚した夫婦。しかし夫は浮気をしてしまいます。その事で精神のバランスが崩れた妻は、食欲が止まらなくなりドンドン大きくなり、排泄さえも自分で出来なくなります。異形の形となった妻を甲斐甲斐しく世話する夫の物語。かなりの問題作です!
第一位 CF 2022年発売!吉村作品はどれも設定が独特。そして登場人物も何処かオカシイ。そんなあり得ない設定の中に、真っ当なテーマが存在するのがホント凄い!
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