焼鳥屋にあったA
夏は焼き鳥を焼く機会が度々あり、アルバイトをしていた頃に思いを馳せることが多いです。
大学時代に働いていたお店は比較的小規模の個人経営で、店長しかできない「炭を起こす」「串に塩を振る」「若鶏半身焼きを焼く」以外の作業は、基本的にアルバイト勢がしていました。
営業は5時から、アルバイトの出勤は4時。開店までの1時間は仕込みの時間で、外注している精肉のモモ串とつくね以外を刺します。
いま思うと品数が少ないんですけど、串のメニューは鳥皮、砂肝、心臓、レバー、豚タンでした。これを玉葱と交互に刺して、いわゆるお店で出てくる焼き鳥の形を作ります。毎日大量に刺していたので、砂肝と心臓は今でも目を瞑ってもできるくらい身に付いています。
時代もあってか、5時半くらいにはもうみっちりと混んでいました。オーダーを取り、串の注文を受ければ、店長の作業場に必要な本数を出しておきます。店長の塩振り待ちですね。
ここには塩振り作業に使うS・P・Aの3つの穴あき缶があります。それぞれ、ソルト・ペッパー・味の素です。
最後のそれは、店内では味の素と言わず「A」と呼ばれており、
「おいA足しとけ!」
「味のも――」
「Aだって言ってんだろ!」
どやされたこともありましたね。
これは私がうかつでした。
このバイト先のことです。
