見出し画像

給料もらったら辞めてやる

 大学生の頃は焼き鳥屋でアルバイトをしていました。
 並行して入った単発のアルバイトの思い出もたくさんありますが、やはり記憶に色濃いのは4年弱ほど勤めたその店のことです。
 店長がまあ過激な人だったのです。まだパワハラなんて言葉もない時代で、口癖は「お前らのことを鍛えてやってるんだから、こっちが金貰いたいくらいだ」でした。
 しかも若者を試すのが好きで、たとえば河川に白鳥がたくさんいたと言えば「何羽くらい?」、タクシーでいい対応をされたと言えば「なんて名前のドライバーだった?」なんて訊いてきます。
 いつもそんな調子ですから、ぼんやり生きている私はよく詰られたものでした。「そこが気にならないからお前は駄目なんだ」と。
 給料は毎月25日締めの月初め1日払い。
 次の給料をもらったら絶対辞めてやると思うのが毎月の常でしたが、いざ給料を手にすると前日までの5日分が惜しくなり、辞めるのは来月にしようと思うのも恒例でした。
 辞める前の給料をもらいに来ました。それを店長に言いに行く根性がなかったのです。




 同じ頃の思い出話です。

いいなと思ったら応援しよう!