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ビカクシダ・マダガスカリエンセってどんな植物?特徴・自生地・育て方まとめ【ビカクシダ図鑑 vol.2】

前回、ビカクシダの原種18種と人気ネームド株10選をまとめました。今回からはいよいよ個別の株を1つずつ掘り下げていきます。記念すべき1株目は、原種の中でも特に見た目のインパクトが強い「マダガスカリエンセ」です。

まだ前回の記事を読んでいない方は、先にこちらを読んでもらえると原種18種の位置づけが分かって理解しやすいと思います。

ビカクシダの「原種」を知ろう。図鑑を読む前に押さえておきたい18種+人気ネームド株10選
https://note.com/northern_roots/n/n3226e9f2c36d

※本記事はマダガスカリエンセ栽培者の解説記事やコレクター界隈の情報、およびNorthern Rootsでの実際の育成経験をもとに構成しています。


まだ子株のため板付はせず、ある程度の大きさになるまではプレステラ90で管理するつもりです

マダガスカリエンセへの想い

正直に告白すると、初めてマダガスカリエンセの画像を見たときの第一印象は「気持ち悪い」でした。貯水葉一面に広がる、ワッフルのような格子状の網目模様。植物というより、何かの生物の皮膚か、脳のシワのような質感に見えて、最初は素直に「うわ」と思いました。

ただ不思議なもので、見れば見るほどその異様さに惹かれていきました。他のどのビカクシダとも似ていない、あの網目模様の存在感。気づいたら「気持ち悪い」が「面白い」に変わっていて、購入を決めていました。

実は2年前にも一度、少し大きめの株を購入して板付け管理していたことがあります。そのときは本当に順調に育っていて、貯水葉もどんどん展開していきました。ただ、越冬後の管理をミスってしまい、そのまま枯らしてしまいました。今振り返っても悔しい経験です。

今は同じ轍を踏まないように、胞子培養株の子株から改めて育成し直しています。まだ小さい株ですが、今度こそちゃんと育て上げたいと思っています。


この植物について

学名:Platycerium madagascariense
科・属:ウラボシ科プラティケリウム属
原産地:マダガスカル中央部〜東部・北部の高地雨林(標高700〜1,500m前後とされます。情報源によって300m台からとする資料もあり、幅にはばらつきがありました)
特徴:ビカクシダの原種18種の中でも最小種とされ、他の原種のような大型化はしません
保全状況:マダガスカルは森林破壊が急速に進んでいる地域で、生育地の減少により希少性が高まっているとされています


貯水葉の特徴

マダガスカリエンセ最大の特徴は、貯水葉一面に広がる格子状の網目模様です。他の原種の貯水葉が滑らかだったり丸みを帯びていたりするのに対し、マダガスカリエンセだけはこのワッフルのような凹凸のある独特の質感を持っています。

この網目模様について面白い情報を見つけました。自生地では、この凹凸のある貯水葉の隙間にアリが巣を作り、共生関係を築いているという説があるようです。植物側はアリから何らかの保護を受け、アリ側は住処を得る、という関係だと考えられているようです(この共生関係の詳細までは裏付けが取れていないので、あくまで「そういう説がある」というトーンで書いておきます)。

胞子葉は他の原種と比べて薄く小型で、貯水葉ほどのインパクトはありませんが、全体としてはコンパクトにまとまる姿が魅力です。


自生地の気候

マダガスカリエンセの自生地は、マダガスカルの高地に残る湿潤な森林です。標高が高いため、他のマダガスカル系原種(アルシコルネなど沿岸部に分布するもの)と比べても涼しく、湿度の高い環境が特徴です。

この気候特性が、後述する「暑さに弱い」という性質に直結していると考えられます。


育成上の注意点

前回の記事でも触れましたが、マダガスカリエンセはビカクシダの中でも特に「環境にシビア」な原種の代表格です。


他のビカクシダと比べても、光量は少なめで良いとされています。直射日光は避けて、明るめの日陰〜明るい間接光くらいが適しているようです。自生地が高地の森林内という、木漏れ日程度の光環境であることを考えると納得感があります。

湿度
高湿度(目安として80%前後)をキープできる環境が推奨されています。乾燥に弱く、空気が乾くとすぐに調子を崩す傾向があるようです。

温度
高地の涼しい気候に自生しているため、暑さに弱い性質があります。夏場は28℃を超えない環境を意識したほうが良いとされています。

水やり
「水切れ厳禁」という表現をする栽培者が多く、常に用土がある程度湿った状態をキープするのが基本のようです。朝の時点でうっすら湿っている程度であれば、迷わずたっぷり水を与える、というくらいの感覚で管理している人が多いようでした。

植え替え
真夏・真冬の植え替えはストレスがかかりやすいため避けたほうが無難とされています。


越冬管理

マダガスカリエンセは自生地でも最低10℃程度までは耐えるとされ、暖房の効いた室内であれば越冬自体は難しくないという情報もあります。ただし、これはあくまで「室内で温度が安定している」ことが前提です。

自分がこの株を枯らしてしまった原因は、はっきりしています。冬場、暖房でストーブを焚いていた影響で、室内の湿度が20%くらいまで極端に下がってしまっていたこと。マダガスカリエンセに必要な湿度80%前後という目安からすると、4分の1程度しかない、乾燥しきった状態に晒してしまっていたことになります。そしてもう一つ、簡易温室から室内に出すタイミングを誤って、室温が10〜15℃くらいまで下がった状態に置いてしまったことです。湿度と温度、両方が株にダメージを与えてしまったことで枯れたのだと推察しています。塊根植物やアガベの感覚のまま「これくらいなら大丈夫だろう」と油断していたのが、そのまま命取りになりました。マダガスカリエンセのように環境の変化に敏感な原種ほど、こうした「季節の変わり目」の管理が命取りになりやすいと実感しています。


Northern Rootsでの育成記録

現在は胞子培養株の子株を育成中です。まだ発展途上の株なので、これから記録を積み上げていく段階です。

株の来歴

2年前に購入した大きめの株を板付け管理し、順調に育てていましたが、越冬後の管理をミスって枯らしてしまいました。現在は胞子培養株の子株を新たに入手し、育成し直しています。

光の環境

現在はBRIMのパネルライトの光がかすかに当たる程度の場所で管理していますが、生育は旺盛です。前述の通りマダガスカリエンセは他の原種より少ない光量でも育つとされているので、この結果とも矛盾しない感触です。強い光を当てなきゃと気負わなくて良さそうな品種だと思っています。

小苗期の湿度管理

胞子培養株のまだ小さい段階では、鉢植えした株の上からジップロックを被せて管理しています。これは湿度が下がりすぎるのを抑えるための工夫です。

最初は特に何もせず普通に管理していたのですが、葉が若干潤いをなくしたように見えたタイミングがありました。前回の株を枯らした反省もあって色々調べた結果、このジップロック管理を試してみることにしました。実際に被せてみると葉に潤いが戻った感覚があり、今のところ良い管理方法だったのかなと感じています。

今後の方針

高湿度・涼しめの環境を意識しながら、水切れさせない管理を徹底していく予定です。特に季節の変わり目(秋の気温低下時、春の温室出し)は慎重に様子を見ながら管理していこうと思っています。育成データが蓄積でき次第、この記事を更新していきます。


まとめ

マダガスカリエンセは、貯水葉の異様な網目模様という強烈な個性を持つ一方で、湿度・温度の管理を怠るとあっさり調子を崩してしまう、環境にシビアな原種です。自分自身、一度枯らしてしまった経験があるからこそ、この「見た目の面白さ」と「管理の難しさ」のギャップは正直に伝えておきたいと思いました。

次回以降も、この粒度で個別の株を1つずつ掘り下げていく予定です。

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