♦︎❤︎24♠︎♣︎ “どこへ行くか”より大切になったこと
平日の夜
赤提灯がぶら下がる賑わいを見せる居酒屋の中に
仕事終わりのハルさん
アキくん
みき先生
プランナーのヨルの4人が集まっていた
ハルがスマホの写真を見せる
「この前
家族で温泉旅館に行ってきたんだ」
画面には浴衣を着た子どもが旅館のロビーで笑っていた
アキが写真をのぞき込む
「いいですね
観光もしたんですか?」
「それがほとんどしてないんだよ」
ハルは笑いながらスマホを置いた
「昔なら有名な場所を回って
名物を食べて
写真を撮りたいって思ってた
でも今回はほぼ旅館の中で終わった」
「旅館だけですか?」
「そう
でもそれが意外とよかった」
みきがハイボールを飲みながらうなずく
「小さい子にとっては旅館そのものが遊び場になることもあるよね」
「広い廊下やいつもと違う部屋を見るだけでも新鮮だから」
ハルも笑う
「うちの子は旅館の遊戯スペースから全然動かなかったよ
木のおもちゃと絵本が少しあるだけなのに一時間くらい遊んでた」
ヨルが尋ねる
「観光はやめたの?」
「楽しそうだったから今日はここでいいかって」
そのあと家族で部屋へ戻り
お菓子を食べながらのんびり過ごした
夜は部屋で食事をした
「子どもが立ったり
眠くなったりしても周りを気にしすぎなくてよかった」
「妻も久しぶりに落ち着いて食べられたって言ってたよ」
ヨルがうなずく
「以前は旅行の楽しみを外に探していたけど
今は宿の中にも見つけられるようになったんだね」
ハルは少し考える
「そうかも
前は旅館って寝る場所だったけど
今は部屋で食べるご飯や布団の上で遊ぶ時間も旅行になった」
アキはメニューを閉じながら言った
「僕はせっかく旅行に行くなら
いろんな場所を回りたいタイプだけどな」
みきがやわらかく笑う
「その楽しみ方もいいと思うよ
ただ子どもと一緒だと
観光できた数より
みんなが機嫌よく過ごせたことの方が大きく感じる日もあるかもしれないね」
ハルもうなずく
「子どもは“お部屋でご飯食べたね”って何度も話してるよ」
そのあとハルは少し苦笑いをした
「ただ一つ大変だったことがあってさ」
「何ですか?」
「子どものパンツを入れ忘れた」
アキが笑う
「それは困りますね」
「旅館の近くに子ども服を売ってる店がなくて車で二十分くらい戻ったんだ」
やっと店を見つけても子どもは車に飽きてぐずり始め
サイズを探しててもなかなか見つからない
「いつものお店なら5分で見つかられるのに店の中を何周も
ぐずってるから気分転換に一緒にお店に連れてったら、あれがほしいこれがほしい…」
ヨルが言う
「忘れ物より旅行中に予定外の買い物が増えることが大変なんだね」
「そう
旅館に着くのも遅くなって
子どもも眠くなって機嫌が悪くなった」
アキが尋ねる
「次からはかなり細かく確認ですね?」
ハルは少し考えた
「前日と出発前にはダブルチェックだな
だからと言って何でも持っていこうとすると荷物が増えるんだよな」
ヨルがうなずく
「着替えや薬
寝るときに必要なものみたいにサイズがあるものや子どもが普段から使っているものは確認しておくと安心だね」
アキはスマホにメモをする
「着替え
薬
オムツ
ミルク
寝るときに必要なもの……」
ハルが笑う
「まだ生まれてないのに準備が早いな」
「先輩の失敗は生かそうと思って」
4人が笑った
子どもが生まれてからハルの旅行の楽しみ方は変わった
旅館の遊戯スペースで遊んだり
部屋でご飯を食べたりする時間が楽しくなった
その一方でちょっとした忘れ物が大きな予定変更につながることも知った
ヨルが言う
「子どもが生まれると旅行が楽しくなくなるんじゃなくて
楽しむ場所と準備するポイントが変わるのかもしれないね」
ハルは笑いながら答えた
「次は観光地より先に旅館の遊戯スペースを調べるよ」
アキも笑う
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2022年にバルーンアートの全国大会で優勝。
バルーンショーがふるさと納税の返礼品に(大阪府茨木市)
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