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【医療現場の不思議な話】「部屋を変えて」夜勤のナースコールで患者さんが指さした空間

こんばんは!KPホースです。

看護師の資格を持ち、医療の知見を強みにしながら、2人の娘を育てるパパをしながら行政書士の開業準備を進めています。

本格的な夏が近づいてくると、ふと思い出す、ある夜勤帯の出来事があります。

医療の現場という場所は、日々多くの命が生まれ、あるいは旅立っていく場所です。

科学的には説明がつかないような、ちょっぴり奇妙で、けれどどこか生々しい不思議な体験を、ナースなら一度は経験しているものでもあります。

今回は、私が若手看護師の頃に経験した、今でも思い出すと少し背中がゾクッとする、ある夜の忘れられないお話をさせてください。


① 日勤からの申し送り、とある個室での出来事

その日、私は夕方からの夜勤シフトに入っていました。

いつものように日勤のスタッフからその日の患者さんの様子を「申し送り(引き継ぎ)」で聞いていたとき、ある個室の話題になりました。

「〇号室に入院していた、Aさん。今朝の午前中に亡くなり退院となりました。その部屋に午後からBさんという方が入院で入ってきています。」

私が夜勤で担当する個室には、重い肝臓の病気を患い、病気の影響でお腹が大きく膨れてしまったAさんというご年配の女性の方が入院されていました。

闘病の末、そのAさんは、午前中に静かに息を引き取られたこと、そしてその日の午後には、全く別の病気で緊急入院となった、Bさんがその部屋へと入ってこられたという申し送りでした。

医療の現場は常にベッドのやりくりが慌ただしく、午前中までそこにあった命の気配は綺麗に拭き取られ、新しい患者さんであるBさんを迎え入れる。

現場ではよくある、いつもの日常の一コマとして、私は夜勤の業務をスタートさせました。


② 深夜のナースコールと、真っ青な顔のBさん

消灯時間も過ぎて、病棟全体が静まり返った頃のことです。

Bさんの部屋から、激しく何度もナースコールが鳴り響きました。

急いで部屋へ駆けつけ、扉を開けた瞬間の光景を、私は今でも忘れることができません。

ベッドの上に寝ているBさんが、顔を真っ青にして、目を見開いたままブルブルと体全体を激しく震わせていたのです。

「どうされましたか?」と声をかける私に、Bさんは今にも泣き出しそうな声で、こう訴えてきました。

看護師さん、お願いだから今すぐ部屋を変えてちょうだい

事情を聞くと、Bさんは震える声でこう続けました。

さっきからね、お腹がお化けみたいにパンパンに膨れているおばあちゃんが、私のことをじっと睨みつけてくるのよ


③ 「そこにいるのよ」と、指さされた空間

その瞬間、私の背筋に冷たい戦慄が走りました。

午後に入院してきたばかりのBさんは、午前中にここで亡くなった前の入院患者であるAさんの容姿や、「お腹が大きく膨れていた」という特異な病状について、1ミリも知るはずがありません。

それなのに、あまりにも生々しく一致した特徴を口にしたのです。

私は必死に冷静さを保ちながら、「その人は、今どのあたりにいるんですか?」と尋ねました。

すると、Bさんは怯えた手つきでスッと一つの方向を指さしました。

それは、ベッドのすぐ脇に立っている、私のちょうど「真横」の空間でした

私の視界には、何も見えません。

ただの静かな病室の空気があるだけです。

しかし、Bさんの眼は真っ直ぐに私のすぐ隣を捉えていました。

Aさん、私の隣に立ってるやん。

目に見えない誰かと肩を並べて立っているような、あの何とも言えない独特の空気の冷たさは、今でも忘れられません。

その後、Bさんの手を握って落ち着かせ、夜勤のリーダーに報告して諸々調整した後に別の空いているベッドへと急遽お部屋を移動していただきました。

移動した先で、Bさんは安心したように朝までぐっすりと眠ることができたのが、せめてもの救いです。


④ 命の境界線にある場所で、思うこと

あの夜、午前中に旅立ったAさんは、なぜ自分のいた部屋に戻ってきたのでしょうか。

独立した個室という空間は、長年住み慣れた我が家を離れて最期を迎えたAさんにとって、自分の「大切な居場所」になっていたのかもしれません。

そこに急に見知らぬBさんが入ってきたことに、少しだけ驚き、怒ってしまったのかな、と今ではそんな風に思っています。

医療の現場は、生と死の境界線が本当に曖昧な場所です。

亡くなった後も、その場所を大切に想う魂が、少しだけ引き返してくることは、もしかしたら自然なことなのかもしれません。

2児のパパとして、普段は娘たちに強くて完璧な大人の姿を見せようとしていますが、世の中には科学や理屈だけでは割り切れない不思議な世界が、確かに存在している。

そんなことを肌で感じた、若き日のナースの思い出です。

少しゾクッとするお話でしたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

皆さまにとっても、明日が素敵な一日となりますように。

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