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大好きな本たち その6 戦争はなかった 小松左京著

この本は、小松左京の短編集で、12編が入っている。
出版年を見ると、昭和49年で、中学三年生で購入した文庫本だ。220円という値段が時代を感じさせる。

当時の『SF御三家』と言われた、筒井康隆・星新一・小松左京にわたしも夢中になっていたが、お小遣いの関係上、図書館で読むか文庫本を購入するしかなかった。そして半世紀を経て、未だに手元に残しているのが、この1冊である。

小松左京は、長編も読みごたえがあり、映画化やドラマ化もされているが、この短編集は、ロイヤルストレートフラッシュとも言うべき作品集で、どれを読んでも、味わいが異なり、そして引き込まれる。

50年経っても、初読の印象が忘れ難いのは「くだんのはは」という作品だ。
所謂ホラー小説に分類されるらしいので、内容を書いてしまうわけにはいかないが、最初に読んだ際、最後の数行で、文字通り肌に粟が生じた。「鳥肌が立つ」と「粟が生じる」という二通りの表現があるが、わたしの個人的語感では「鳥肌」より「粟」の方が、恐怖感が大きい。読み終わった瞬間に、身体の表面ばかりでなく、内面まで粟が生じた感覚があり、思わず後ろを振り返った。何の意味もないのに…。

新潮文庫を検索したら、残念ながらこの短編集はもう絶版となってしまったらしい。でも小松左京は本当にのめりこめる作品を書く作家なので、図書館や、別の出版社の短編集を探して、読んでみて欲しい。彼の作品は、時代を超えたエンターテインメントであると断言したい。

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