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現代詩「薔薇色の地下劇場」ver.443

※美輪明宏大先輩に捧ぐ

夜の新宿、舗道の亀裂から
白い孔雀が這い出してくる。
その羽根には、失われた見世物小屋の灯が宿り、
誰かが捨てた口紅の匂いがする。

舞台中央。
鏡のなかで永遠に老いない
アキヒロの黄金の声が、
瓦礫の月へ向かってゆっくりと昇ってゆく。
それは歌なのか、呪詛なのか、
あるいは都市が見た最後の夢なのか。

テラヤマが遺した薔薇の檻のなかで、
《マリー》は毛皮を脱ぎ捨て、
毛皮のほうが逆に人間を演じはじめる。
観客席では、時計の針を食べる羊たちが拍手し、
シャンソンとサイレンが交尾して、
真夜中のアスファルトに黒い百合を産み落とす。

アンダーグラウンドとは地下ではない。
それは、まだ芸能になりきれなかった叫びの化石だ。
テレビの光から零れ落ちた者たちの亡命政府であり、
笑い、歌い、変身し、傷つきながら、
なお「生」を過剰に演じ続ける者たちの共和国である。

だから今も、午前三時の路地裏では、
死んだはずのレビュー劇場の緞帳が風に揺れ、
透明な観客たちが囁いている。

――人生は舞台ではない。
舞台こそが、人生の隠された内臓なのだ、と。

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