トップ対談:自転車から自動車、そして飛行機へ。PAPAMOが見据える2026年
PAPAMOにとって2025年はどのような1年だったのでしょうか。2026年はどこに向かうのでしょうか。CEOの橋本咲子とCOOの須々木龍太のトップ2人が率直に語りました。
2025年は「電動自転車から自動車に」

ーーお二人にとって2025年はどんな年でしたか?
橋本:私にとっての2025年は「電動自転車」から「自動車」に乗り換えた年でした。
一昨年の2023年までは、転ばないよう、つまり事業がなくなってしまわないよう必死に自分たちで自転車を漕いでいるような状態でした。少しでもペダルを漕ぐ足を止めると吹き飛んでしまうような状況の中で、がむしゃらに漕ぎ続けていた日々。
それが2024年は、仲間が増え、社外の方々も含め、複数の手や熱量に押されて事業が動き出し、電動自転車に乗り換えたような感覚でした。自分たちで人力でペダルを漕ぐのからは確実にスピードがあがって、背中を押してもらって事業が前進しているような状態で、スケールに向けての準備を進めました。
そんな2024年を象徴するトピックとしては、MIXIとの資本業務提携や、その後の資金調達がありました。
そして、2025年は「自動車」に乗り換えた年となりました。メンバーが更に増え、皆で大きな自動車に乗り込み、取締役COOに就任したりょうたさんと一緒にハンドルを握って、何段もあがったギアの中で、これまでにないスピードで走り抜けました。
自転車では通れなかった高速道路も走れるようになり、メンバー全員の力によって圧倒的なスピードと安定性で前に突き進み、より遠いところを目指せるようになった。そんな手応えのある一年でした。
須々木:僕の中では、「込める」という言葉がしっくりきています。2024年までの「仕込み」の期間を経て、2025年はそれを実行に移す年となりました。
お子さんや親御さんと向き合う中で、プロダクトや組織文化、そして一人ひとりの動きに熱量と愛情を込めていくーー。2025年は「200%の熱量と愛情で」をテーマに掲げましたが、まさにPAPAMOという器に魂を込めていくような一年だったと感じています。
「幅と厚み」が圧倒的に増した

ーー会社としての組織や事業についてはいかがでしょうか。
須々木:組織の「幅と厚み」が圧倒的に増しましたね。2025年の初頭は、まだ広報もロビイングも、部門として存在していませんでした。それがこの一年でそれぞれの専門チームが立ち上がり、コーチの数も100人から250人規模へと倍増しました。サプライチームも、SV体制や新育成システムの発足など、新たなチャレンジをいくつもしました。
単に人数が増えただけではありません。メンバーやコーチが、自分の言葉でこの事業を語るようになった。現場の声からクレド(行動指針)が形成されていくプロセスを見て、組織としての自律性が高まったと実感しています。
橋本:私が特に印象に残っているのは、9月に開催した会員様向けのクローズドイベントのトライアルです。初期からサービスを利用してくださっている親御さんやお子さん、そしてコーチたちがリアルの場で集まった光景を見て、改めて「このユーザーさん・仲間たちがいてくれたから、ここまで歩んでこれたんだ」と。思わず涙が溢れました。
須々木:コーチの初期研修(ビジョン研修)や全体ミーティングなどでも、ビジョンに共感し、想いを語るコーチ・メンバーの言葉に泣きそうになるくらい、熱量が高まる場面が何度もありましたね。
そんな「熱量と愛情」が文化レベルで根付いているのがPAPAMOです。ミッションに掲げる「誰もが自分らしさを育めるインフラを作る」を、メンバー自身が「自分らしさを拡張する」ことを通して、組織文化としても体現できてきたなと感じています。

橋本:SNSでもインスタフォロワー10万人超、リール200万再生など大きく認知を広げることができましたし、幅広い発信チャネルの一つとしてYouTubeも新たに始めました。このマーケティングを原動力とする力は、PAPAMOがより前に進むための大きな推進力になっています。
広報やロビイングといった新たなチームも発足しました。発達支援業界の課題やオンライン療育という選択肢、PAPAMOの存在・取り組みを幅広いステークホルダーに発信したのは大きな変化でしたね。また、ロビイングでは、ユーザーさんから多くの要望のお声を元に、「オンライン療育の公費化」に向け、国や地方自治体に直接働きかけました。外部の媒体への寄稿や連載も新たに始めましたし、この1年の中だけでも発信の幅が広がっています。
須々木:2025年は数多くの学会発表を手がけましたね。業界でも一目を置かれる研究者や先生、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)の方々が発表に耳を傾け、熱心に質問される様子を見て、私たちが手掛ける事業や取り組みの重要性の高さを実感しました。
橋本:さらに2025年は保護者向けのオンラインセミナーも多数実施しましたし、トラストバンクと連携して自治体・教育関係者向けのセミナーなどでオンライン療育の選択肢の提示をすることで、多くの共感もいただきました。
へやすぽDIME運動教室の開設や小学校での講演・イベント開催など、リアルな現場での他事業との連携も大きく進みました。オンラインだけでは行き届かない部分をオフラインと相互に補完していく動きを実際に取り始めたのは大きな一歩でしたね。
須々木:この一年で本当にたくさんの取り組みを手がけましたね!
つくば市での実証実験が大きな一歩に

ーー発達支援や療育の業界を取り巻くトピックで印象に残ったものは?
須々木:「5歳児健診」は大きなトピックの一つです。早期発見が進む一方で、受け皿としての療育施設不足の深刻化が大きな課題として顕在化しています。自治体からの切実な声を伺う中で発達支援を取り巻く大きな変化を感じましたし、オンライン療育という私たちが提供する手段の重要性が高まっていることも実感しました。
橋本:その流れの中で、つくば市でのオンライン療育実証実験が動き出したことは大きなニュースでした。
10年後に業界全体が前進した大きな一歩だったと振り返るような、ティッピングポイントにきっとなると思います。オンライン療育の有効性を自治体とともに実証することで、これまで支援を必要としているのに届けることができなかったお子さんや親御さんを救えるようになるからです。
私たちが発表した調査リリース「【全国療育調査】支援を希望するも受けられない“療育難民”が48.6%と判明、保護者の52%がオンライン発達支援に関心」や「発達特性のある子どもの不登校率は全国平均の9.5倍 夏休み明けに多い学校への行き渋りや欠席も61.5%が経験」も多くの反響を呼びました。
こうした見えているようで見えていなかった発達支援を取り巻くデータを明らかにしたことで、行政や関係者を動かす力になっているのを感じます。

ーーテクノロジーの進化、特にAIについてはどう捉えていますか。
橋本:2025年は生成AIの進化と爆発的な普及が大きな社会的変化でしたが、それによって私たちが手がける身体を扱う事業の価値や可能性がより高まったと感じています。身体性は、社会性であり、個性です。AIがますます台頭する社会だからこそ、我々は身体性を磨くことで、AIにはない人間らしさ・その人らしさが拡張していきます。
ーーPAPAMOの企業としての独自性や強みは今、どのようなところにありますか?
橋本:PAPAMOの強みは、ひとりひとりが「発明家」である点です。弊社は、プログラム・コンテンツに強みを持っていますが、一人ひとりのユーザーさんに向き合うコーチはもちろん、マーケティング・広報・ロビイングチームもCSチームも採用チームも、それぞれが「発明」をすることで、様々な壁を乗り越えて来ました。この「皆が発明し続ける文化」は、他社には真似できない強みに昇華しているのではないかと思います。
須々木: 「多様な才能が集まる場」になっていることも大きな強みです。
PAPAMOには現在、北は北海道から南は沖縄、さらには海外在住者まで、非常に多様なバックグラウンドを持つメンバーやコーチが集まっています。オンライン・フルリモートだからこそ、全国から想いを持った最高のメンバーが集まってきています。
それぞれが異なる専門性やバックグラウンドを持ちながらも、PAPAMOが掲げる熱量やミッションに対して同じ方向を向いている。この「多様性」と「高い志」が共存していることこそが、組織としての底力になっています。
現場のコーチやビジネスサイドのメンバー一人ひとりが、自律した一人のプロフェッショナルとして、目の前のお子さんやご家庭に真摯に向き合う。その個々の輝きが組み合わさって、今のPAPAMOという「場」の熱量が形作られている。このコミュニティそのものが、僕たちの揺るぎない競争優位性だと確信しています。

橋本:ミッションに掲げる「誰もが自分らしさを育めるインフラを作る」は、もちろんメンバーにも当てはまります。信頼を土台に、一人一人が自分らしさを生かして輝ける場所にPAPAMOがなってきているのをあらためて感じますね。
「オンラインでの発達支援」という事業も、そして「フルリモート」という組織経営も、極めて難易度が高い挑戦です。画面越しにお子さんの特性を捉え、必要な支援を提供することは、並大抵の技術ではできません。
会社組織の視点では、世の中がリアル回帰している中で、我々はフルリモートに拘っています。メンバーが物理的に顔を合わせない中で、これだけの熱量を維持し、信頼を土台にスピード感を持って事業を成長させ、組織文化を作るのは、とても難しいことです。
それでも、私たちはあえてこの「オンライン」という形態に振り切ることで、オンラインだからこそ集うことができる仲間たちと、日本中・世界中のお子さん・親御さんに支援を届けることができています。
「オンライン」という形態・特性がPAPAMOを唯一無二の存在にしていると感じています。
2026年は「自動車から飛行機へ」

ーー2026年の抱負をお願いします。
橋本:2026年は、皆で自動車から飛行機に乗り換えて、離陸したい。!より速く、より高く、より遠くへ。皆がパイロットの視座を持ち、エンジン全開で、未整備の道も海も山も飛び越えていきたい。
圧倒的なスピードで飛び立つ飛行機に乗り換えるためにも、相互の信頼を土台に、我々自身も引き上げていただけるような、新しい仲間にたくさんジョインいただきたいですね。ビジネスサイドもコーチも、ますます採用を強化していきます。
須々木:飛行機にかわった瞬間に、いろんな役割の人が必要になりますね。そういう意味でも、多様で多彩な方にどんどん入ってきてもらいたいですね。
チームや事業をさらに前進させるために、自分自身の伸び代と向き合い、既存の延長線上ではない形でさらに進化し続けたいです。
橋本:私もそう思います!この一年は多くの方のお力添えがあってここまで進んでこれたと感じています。2026年は、「誰もが自分らしさを育めるインフラを作る」の実現に向け、より多くの親子に支援を届けていきたいです。
空はいつも穏やかなわけじゃないと思うんです。風もあるし、スピードもすごいから、車よりも揺れる。でも、揺れは悪いことじゃない。同じ目的地に向かって、信頼・連携を大切に、皆で離陸し、遠くまで飛びたつ、そんな1年にしたいです。
