【食の歴史】オムライス 誕生秘話
現代のある食堂で、店主がお客さんに語る…
「……はいよ、ふわとろの黄色い衣をまとった『オムライス』、お待ち!
ん? この薄焼き卵でライスを包むっていう、最高に幸せな組み合わせがどうやって生まれたのか気になるかい?
実はね、オムライスの誕生には二つの有名なお店が関わっていて、どちらもお客さんへの優しさやアイデアから生まれたと言われているんだ。
一つ目の起源は、東京・銀座の老舗洋食店『煉瓦亭(れんがてい)』。 明治33年(1900年)頃、まだ開店間もない頃の話さ。
当時の厨房は毎日大忙しでね、調理師たちの賄い(まかない)飯を作る時間すら惜しかったんだ。
そこでシェフが、手早く作れてサッと食べられるようにと、ご飯と具材、それに溶き卵をフライパンで一緒に炒め合わせた料理を作ったんだよ。
これが『ライスオムレツ』と呼ばれて評判になり、お客さん達からの『それ、俺たちにも食べさせてくれよ!』っていうリクエストからメニュー化したと言われているんだ。
今のチャーハンとオムレツが混ざったような形が、オムライスの原点の一つになったのさ。
そしてもう一つ、今のチキンライスを薄焼き卵で包むスタイルの元祖と言われているのが、大阪にあった『北極星(ほっきょくせい)』(当時はパンヤの食堂)っていうお店だ。
大正14年(1925年)頃、ここには胃腸が弱くて、いつもオムレツと白いご飯ばかり注文していた常連のお客さんがいたんだ。
店主の北橋茂男さんは、毎日同じメニューばかり食べているそのお客さんを見て、『いつも同じじゃ可哀想だな。もっと美味しくて喜んでもらえるものを』と考えたんだよ。
そこで、ケチャップで炒めたライスを、ふんわり焼いた薄焼き卵で綺麗に包んでお出ししたのさ。
それを一口食べたお客さんは大感激!
『シェフ、これなんて料理や!?』と聞いた。
突然のことに店主は少し考えて、『オムレツとライスを合わせたから、「オムライス」でんな』と答えたそうだ。
これが、今日僕たちがよく知るオムライスの始まりと言われているんだよ。
どちらの説にしても、『忙しい仲間のため』『常連客の胃袋を気遣う優しさ』から生まれたっていうのが、なんだか温かい気持ちになるだろ?
さあさあ、冷めないうちにどうぞ! スプーンで真ん中からすくって、ガブッといっちゃってよ!」
