【前編】1985年型ビジネスモデルの限界。私たちが選ぶべき「値上げ」の本質
先日参加した商工会セミナーに続き、今回も同じ講師によるセミナーに参加してきました。
今回の 内容は、今の私たちが直面している市場の歪みを、驚くほどフラットに、そしてロジカルに解き明かすものでした。
結論から言えば、過去のやり方にこだわり続けることは、ジリ貧の消耗戦へ自ら飛び込む「もっとも避けたい選択」であるということです。
現在の材料高騰や深刻な人手不足は、一過性の問題ではありません。1985年型のビジネスモデルのまま消耗戦を続けるのか、それとも次の一手を打つのか。「客数頼みの販促」に走り、経営理念を見失わないために。私たちが今すぐ実践すべき「価格戦略&ブランディング」の本質へと迫ります。
人口動態の歪みがもたらす「1985年型」の終焉
私たちが無意識に囚われている「1985年型ビジネスモデル」とは、人口が右肩上がりに増え、現役世代の労働力が潤沢に存在した時代の遺物である。
1985年当時:ピラミッド型の人口構造。豊富な労働力(15〜64歳の生産年齢人口)を背景に、「薄利多売」と「安さ・手軽さ」を競う大量生産・大量消費モデルが正義とされた。
2026年現在(および2050年への推移):完全な逆三角形、あるいは樽型の構造へシフト。生産年齢人口は激減し、高齢者層が肥大化している。
この凄まじい需給の歪みの中で、当時と同じ価格設定や下請け構造に依存することは、自社のリターンを自ら放棄する「極めて非合理な選択」に他なりません。 人がおらず、あらゆるコストが跳ね上がる時代に、過去の「安さ」を引きずれば、待っているのは利益の蒸発です。
< 日本の人口ピラミッドの推移(1950年から2100年)>
出典:PopulationPyramid.net(国連「世界人口推計」データに基づく推移図) / CC BY 3.0
守るべき鉄則:「値上げ ➔ ブランディング ➔ 販促」

小事業者が犯す致命的なミスは、順番を逆(販促→ブランディング→値上げ)にしていることだといいます。まず販促やブランディングでごまかしてから、最後に恐る恐る価格を上げようとする。 なぜなら、私たちは無意識に「客を失う恐怖(損失回避)」から痛みを先送りし、「まずは認知を高めれば価格は後からついてくる」という等価交換の錯覚に陥ってしまうからです。 しかし、鉄則は完全に逆だそうです。
もっとも最初にやるべきは「値上げ」である。
チマチマとした1〜2割の値上げは、突発的なコスト急変動の波にのまれて誤差の範囲で終わります。やるならば「4割以上の一気値上げ」。 2割でこれまでのコスト増を吸収し、残りの2割で確実な利益を確保する構造へ、1回の衝撃でシフトさせる必要があります。価格を上げて初めて、次への投資(ブランディングや販促)に回す原資が生まれる。この順序を違えてはビジネスは回らないとの事です。
耳が痛い現実と、自社の「次の一手」
「最初にやるべきは値上げ」というこのロジックに触れた時、私自身、冷や汗が出る思いでした。 というのも、自社自身も完全にこの「逆プロセス」を踏んでいたからです。 とりあえずHPを立ち上げ、形を整えてから後で価格をコントロールしようとしていたのは紛れもない事実でした。
この無意識の「思考の罠」から脱却し、今期の経営をスマートに整えるため、当社はすぐさま以下のアクションへ着手しなくてはいけません。
直近案件の限界利益率の算出:現在の「下請け100%」の案件において、材料費・外注費を差し引いた本当の「手残り(限界利益)」をスプレッドシートで1円単位まで視認化する。ブログでも記載の通り、現在まさにこの棚卸しを実行中です。
「値上げ4割」のシミュレーション: 仮に価格を4割上げ、顧客が半分(50%減)になった場合、自社の労働環境(リソース)と営業利益がどう変化するかを数式で弾く。
まずは現在の「数字のリアル」を直視すること。ここから逃げていては、私たちが目指す真のQOL(暮らしの質)などデザインできるはずがありません。
(後編:『「値上げの罪悪感」という、経営における最大のノイズ』へ続く)
MIRAIYA Lab合同会社(ミライヤラボ)
東京・千葉・埼玉にて、施設内装の原状回復を主軸にスタートした内装会社です。 一歩一歩、現場の数字と品質に誠実に向き合いながら、施設から個人宅まで「関わる人の暮らしの質(QOL)」をアップデートしていくプロセスを等身大に発信しています。 私たちの仕事への姿勢やストーリーをこれからもお届けしていきます。ぜひフォローで応援していただけると嬉しいです。
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