【訂正】第0章 汎用機各社のシェアおよびタイムラインについて
公開日:2026年8月15日
対象記事:第0章 日本の汎用機市場の現在地と2035年問題
本記事の第0章において、日本の汎用機(メインフレーム)市場について複数の誤りが含まれていることが判明しました。改めて一次資料・業界報道をもとに調査・検証した結果をもとに、以下の通り訂正します。読者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
訂正①(最重要):富士通のタイムラインが逆でした
本記事では富士通のロードマップを以下のように記述しました。
2030年:保守終了 / 2035年:製造終了
しかしこれは年とイベントが逆です。正しくは以下の通りです。
┌────────────┬─────────────┬──────────────────┐
│ 項目 │ 本記事の記述(誤) │ 正しいロードマップ │
├────────────┼─────────────┼──────────────────┤
│ 製造・販売終了 │ 2035年 │ 2030年度末(2031年3月) │
│ 保守サービス終了│ 2030年 │ 2035年度末 │
└────────────┴─────────────┴──────────────────┘
この誤りにより、本記事が「2026年時点で残り約4年しかない」という緊迫感を持って論じていた前提が崩れます。正確には、保守終了まで約9年(2035年度末)の猶予がある状況です。
ただし、「2030年度末に新規販売・製造が終了する」という事実は変わらず、それ以降は既存システムの保守のみとなるため、新規投資の凍結や移行プロジェクトの立ち上げには早期の判断が必要であるという本記事の主旨は引き続き妥当です。
訂正②:各社の市場シェアについて
本記事では汎用機市場のシェアを以下のように記述しました。
富士通:過半数 / 日立:約30% / IBM:約15% / NEC:5%未満
この数値について、改めて公開情報から検証した結果、複数の点で実態と異なることが判明しました。
富士通「過半数(50%超)」→ 約35〜40%
IDC Japan の出荷台数データ(2020年)では、富士通の国内シェアは 約35.8% で22年連続の国内1位です。国内トップであることは正しいですが、過半数には届きません。
日立「約30%」→ 約10〜15%
これが最も大きな誤りです。日立製作所は 2017年にメインフレームのハードウェア自社製造を終了 しており、2018年以降はIBMアーキテクチャをベースとした「AP10000」のリブランド品のみを販売していました。30%というシェアは、裏付けのないまま過去の全盛期のイメージに引きずられて記述してしまったものです。現在の実態は約10〜15%程度と推計されます。
NEC「5%未満」→ 約20〜25%
NEC(ACOSシリーズ)は国内メインフレーム市場で 2位 のシェアを持つ継続事業者です。2022年に新モデル「i-PX AKATSUKI」を発表し、三井住友銀行の次期勘定系システムにも採用されるなど、5%未満どころではありません。
IBM「約15%」→ 約20〜25%
グローバルでは93%超のシェアを持つIBMですが、日本では国産メーカーとの競合から国内3位にとどまっています。富士通・日立の撤退を受けてユーザーの取り込みが進んでおり、現在はシェアが拡大傾向にあります。
訂正後の推計シェア(出荷台数ベース)
┌──────┬───────────┬─────────┐
│ ベンダー │ 本文の記述 │ 訂正後の推計 │
├──────┼───────────┼─────────┤
│ 富士通 │ 過半数(50%超) │ 約35〜40% │
│ 日立 │ 約30% │ 約10〜15% │
│ IBM │ 約15% │ 約20〜25% │
│ NEC │ 5%未満 │ 約20〜25% │
└──────┴───────────┴─────────┘
※ 詳細なシェアデータはIDC Japanなどの有料レポートに限定されており、上記はあくまで公開情報からの推計値です。ベンダー各社が正式な数値を公表していないため、確定値ではありません。
訂正③:日立の「撤退宣言」について
本記事(2026年6月10日公開)では、日立はメインフレームからの明示的な撤退宣言をしていないと記述しました。しかし、本記事公開直後の2026年6月23日、日立製作所は自社OS「VOS3」の販売を2027年11月に終了し、保守を2034年12月に終了することを正式発表しました。
この発表により、日立も富士通と同様に全ユーザーが移行必須となる状況となっています。記事執筆時点では未発表だった情報ですが、現在の状況として明記します。
訂正後も変わらない本記事の主旨
シェアとタイムラインの訂正により、記事全体の前提が崩れると感じた方もいるかもしれません。しかし「マイグレーション案件は富士通・日立が主役」という核心部分は変わりません。その根拠は「シェアが大きい」でも「猶予が少ない」でもなく、撤退という構造的な移行強制にあります。
┌─────────┬─────────────┬─────────┐
│ ベンダー │ 移行の必要性 │ 保守終了 │
├─────────┼───────────────────────┤
│ 富士通 │ 全ユーザーが必須 │ 2035年度 │
│ 日立(VOS3) │ 全ユーザーが必須 │ 2034年12月 │
│ IBM │ 任意(事業継続中) │ 終了予定なし │
│ NEC │ 任意(事業継続中) │ 終了予定なし │
└─────────┴─────────────┴─────────┘
現在も富士通だけで 約500台(2026年時点)が稼働しており、これらすべてが期限までに移行を完了しなければなりません。IBMとNECのユーザーには移行義務がないため、マイグレーション案件の大半が富士通・日立発となる構造は今後も続きます。
参考資料
ご指摘・情報提供をいただいた読者の皆さまに感謝します。引き続き正確な情報の発信に努めます。

