「めまい」の原因、実は眼鏡が合っていないだけでした|理学療法士が解説
「最近、立ち上がるとふわっとするんよ」
デイサービスに通うその方は、数日前からそう話すようになっていました。
歩くとふらつくこともあり、外出も控えるようになっていたそうです。
とりあえず耳鼻科と内科へもご家族と行ってきたそうです。
結果、異常なし。
「異常なしって言われたんやけど、やっぱりふらふらするんよねぇ」
本人はどこか申し訳なさそうに笑っていましたが、こちらとしては正直、次の一手に困っていました。
歩行を観察しても、足の運びは特に問題なし。血圧も安定。認知機能にも大きな変化はなし。何か変わったことはないかと尋ねても特になし。
「うーん」と唸る日々が続きました。
そんなある日、いつものようにデイサービスへ来られた際、こう言いました。
「先生、そういえば私眼鏡変えたわ!前のやつ、なんか合わんくなってきてたから」
……え。
「え、いつですか?」
「え、先週くらいかな。安かったから、ついでに買い替えたんよ」
軽い。とても軽い。まるで「お茶碗買い替えた」くらいのテンションでした。
しかも同じようなデザイン、同じ赤色の眼鏡を購入するとは。
正直気づきませんでした。
でも、聞けば聞くほど、話が繋がっていきます。
二年前に白内障の手術をしていて、そのときから見え方が変わっていたのに、眼鏡はしばらく古いままだったこと。
最近、見えづらさを感じて、たまたま眼鏡屋さんに寄って新しくしたこと。
そして、ちょうどそのあたりから「めまいがする」とも。
「先生、これ関係あるん?」
大いにあります。
人は歩くとき、目から入る情報を使って、無意識に体のバランスを調整しています。
見え方が体に合っていないと、体は傾いていないのに「なんか傾いている気がする」という感覚が生まれることがあります。
これが、めまいのような不調として感じられることがあるのです。
検査では、なかなか見つからない種類のズレです。
本人にとっては「眼鏡、なんとなく変えた」くらいの出来事でも、体にとっては結構大きな変化だったというわけです。
こちらが評価、問診、観察を重ねている間に、答えは本人がふらっと持ってきてくれました。
拍子抜けというより、ちょっと笑ってしまいました。
この出来事以来、めまいやふらつきの相談を受けたときは、他の話とあわせて、必ずさらっと聞くようにしています。
「最近、眼鏡って変えました?」
大げさに聞くと身構えられるので、世間話に混ぜるくらいがちょうどいい。そんな軽い一言から、原因が見つかることもあります。
原因は、いつも難しい場所に隠れているわけではありません。
案外、目の前の眼鏡のレンズの奥にあることもあるのかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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