🌏協生農法#2|大地の呼吸を整える溝掘りと一反の壁|1年目の春
前回の話では、畑のサイズ感、配置、状況整理のお話をお届けしました。
もともと田んぼだったこの土地は、水はけが悪く、水が抜けない状態です。
ということは、畑の中の空気の流れも途絶え、地中の微生物たちが窒息している状態を意味します。
ここから、大地の呼吸を整え、水と空気の通り道を再生していく。
まさに、自分の手で泥にまみれながら行う「地球のメンテナンス」(言い過ぎ 笑)を成し遂げようと息巻いていました。
「大地の呼吸を整える」という決意
まずは、土壌の排水性と通気性を根本から高めるために、地形全体の傾斜をじっくりと読み解きながら、畑の周りに張り巡らされている、完全に埋まって荒れ果てた「溝」を掘り起こす作業からスタートしました。
使う道具は、至ってシンプル。
「鍬(くわ)」と「シャベル」だけです。
畑に溜まった余分な水が畑の地中から溝の方に自然に流れ落ち、同時に新鮮な空気が土の奥深くまで吸い込まれていくような流れを起こす溝を掘る。
地中の目に見えない「水脈」を周囲の環境へと繋ぎ直すイメージで、一鍬ずつ刃を入れていきます。
自然を壊すかもしれない、という「うしろめたさ」
ここで一点、実はこの作業自体私の感覚的にうしろめたい気持ちもありました。
長年掘り返していない自然の溝は、溝の表面に大量の水を「流す」能力は失われていますが、実は土壌表面の微生物環境や根圏の生態系によって地中に水を浸透させる能力はある程度持っています。
ここに刃を入れて土壌をひっくり返された土は、直射日光や風によって急激に乾燥して、微生物環境や根圏の生態系にもダメージを与えます。
なので、周囲の環境を含めて植物が本来持つ自浄作用や養分吸収のサイクルを狂わせる原因にもなります。
しかし、周囲の溝を掘っておかないと明らかに水はけが悪いように感じたので、ここは背に腹は変えられない、ということで今回しっかり溝を作って、後で溝周辺の生態系をできるだけ早く復元しようと心に決めて作業をすることにしました。
素人計画と目の前に立ちはだかる「1反の壁」
畑を使わせていただける状況になった当初の私の考えではこのような計画を何となく考えていました。
→畑周りの溝掘りを早く終わらせて、畑に畝をたてて地形を整える
→人工的にいくらか水はけを良くしつつ、春薪きの緑肥の種を蒔く
→その根っこに細く深い穴を大量にあけてもらい、
→水と空気の通りを良くした環境を作って微生物を増やして土壌を団粒構造のフワフワにしていく
→夏の暑さで春蒔きの植物が枯れる9月くらいに、次は秋まきの種を蒔く
→冬の間も植物と微生物に頑張って土づくりをしてもらう
→来年2027年の春頃には野菜と果樹にとって気持ちのいい環境を作る!
→もしうまくいかなかったら、原因を分析して2027年の行動に反映する
ところが、現実はそんな簡単なものではありませんでした。
まず、最初の溝掘の作業。
薄々勘づいてはいましたが、水を含んだ土は、かなりの量と重さがありました。
一鍬入れるだけで、ずっしりと全身に効きます。
急速に体力が削られていくのが分かりました。
しかも、私が相手にしているのは「1反(約1,000平方メートル)」の土地です。南北に細長いその敷地の周りをぐるりと囲む溝を、この手作業だけで一体何日、いや何ヶ月かければ開通できるのだろうか……。

ざっくり150mくらいの長さの水路を整える必要がある。
悪魔の150m水路と名付けよう。
少し掘っただけでこの無謀さを体感して、目の前に広がる荒れ地を見つめたとき、私は途方に暮れてしまいました。
「……無理だ。これ、一人で手作業でやっていいスケールじゃない。」
自然に、より近い手段で調和を目指したい。
そんな私の、ある種の「プライド」のような美学は、打ち砕かれそうになっていました。。。
理想と現実の狭間で、私はこれからどう動くのか。
次回は、そんな1回目の挫折を味わった私が、そこからどのようにして打開策を見出すのか・・・
困り果てた末の、私の次なる一歩についてお話しさせてください。
