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複雑性PDSDとトラウマ、トラウマによる発達障害、効果的な治療法「TSプロトコール」

今回は、杉山登志郎氏の『トラウマ「こころの傷」をどう癒すか』という本を紹介する。

本書には以下の特徴がある。
どれも興味深く、思わず手に取った。

・トラウマには、原因によって2種あること。
・発達障害には、トラウマが原因のものがあること。
・トラウマを癒す簡単な方法があること。
・多重人格の治療もできること。

トラウマ、そして、心と身体のしくみに関心がある人には、とてもとてもおすすめの一冊だ。


要約

2種類のトラウマ

・1回の体験によるトラウマ。震災や事故など。PTSD(心的外傷後ストレス障害)につながる。過覚醒、フラッシュバック、回避などの症状。

・何回もくりかえされた体験によるトラウマ。DVや虐待、戦争体験などによる。複雑性PTSDにつながる。PTSDにくわえて、気分変動、自己無価値感、不安定な対人関係が見られる。依存症にも繋がりやすい。多重人格も見られる。

・フラッシュバックは、まさにトラウマの再体験である。心理的、生理的に、過去のトラウマが再現されてしまう。フラッシュバック中、現実での記憶が飛ぶなどが見られる。フラッシュバックそのものが、とてもとても辛い体験。

・複雑性PTSDによるトラウマは、治療中にフラッシュバックを起こしやすいため、カウンセリングなどでは対処しづらい。単回性トラウマ治療には有効なEMDRなどもフラッシュバックを起こしてしまう。治療の記憶が抜け落ちてしまう。治療が進まない。


精神疾患とカテゴリー診断

・脳や精神病については、まだまだわからないことが多い。参考『まちがえる脳』


・症状を見るカテゴリー診断は、過剰診断になりやすい。現在の精神科が使う病名は仮想概念であり、実体ではない。今後十年で大きく変化する可能性が高い。
※カテゴリー診断は非科学的だ、と著者は断言している。

・遺伝子の変異と疾患も一対一には対応しない。ある遺伝子変異の影響は主要な精神疾患に薄く広がる。

・ニューロティシズム、外向性、開放性、調和性、誠実性の5つの性格因子をつかって、連続的な傾向を分析する新しい診断方法もある。この視点では、ASDかADHDか、ASDか統合失調症か、などの問いに意味は無いかもしれない。


発達障害とトラウマ

・発達障害には原因によってグループがあり、そのなかには、トラウマが原因のものがある。トラウマによって、脳が機能的、器質的に変わってしまう。そのせいで、結果的に、発達障害に似た症状となる。
・ゆえに、発達障害向けの治療ではよくならない。

※似た問題意識に、岡田尊司による本もある。以下記事を読んでほしい。



著者のトラウマ治療方法 TSプロトコール

・パルサーまたは自分の手で、体を交互に刺激するだけ。言葉では説明が難しいので、ぜひ、著者の動画を見てほしい。




・多重人格の治療にも、TSプロトコールを応用できる。多重人格治療への著者の思いをそのまま引用しよう。

自我状態療法を実施していく上で必要な姿勢とは、こころというものへの信頼なのではないかと思います。他のパーツから嫌われまくっている暴力的なパーツといえども主人格を助けるために生み出されており、どのパーツも大切な兄弟姉妹です。こころの働きが生み出したものに、無意味なものは一つもないことにあらためて気付きます。個々の裏者たちに、そして表者に対しても、つまりはクライアントの中の全員に、深い敬意と信頼とを持ち続けることこそ、凄惨な心的外傷体験の治療を進めていくのに必要な基盤であると実感します。
p183




感想

TSプロトコールという方法の存在に素直に驚いた。こんなに効果的で簡単な方法があるとは。ポイントは、心ではなく、身体へのアプローチという点だ。

この方法が効く医学的な理由はまだ解明されていない。しかし、本書でも言及されているように、ヨーガや瞑想など、身体的なアプローチが有効であることは確認されている。ヨーガや瞑想は習得するのにとても時間がかかる。一方で、TSプロトコールは、効果が出る時間も早い。

TSプロトコールの交互の刺激。そして、刺激を与える場所。これらは何を意味するのか。既存のさまざまな脳や意識の科学理論でどこまで説明できるのだろうか。精神医学、脳科学のフロンティアがまた開けたように見える。ワクワクする。

ツボやチャクラなどの東洋的伝統がヒントになると思う。本書でも少しだけ言及があり、著者のさらなる仮説や思いを聞いてみたくなった。気功、チャクラ開発、操作によってトラウマを癒すこともできるし、実践している治療者の存在する。

TSプロトコールを応用した多重人格の治療については、ぜひ本書を読んでほしい。読むだけで癒される人もいるだろう。私も、自然と涙が出てきた。

詳細については、ぜひ本書や著者の関連本へ進んでみてほしい。


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