私とワールドカップ、食べ物でゲンを担ぐのは難しいという話
2018年、ワールドカップロシア大会が開催されたその年に私は結婚した。親戚だけの地味な結婚式で新婚旅行にも行かなかった私にとって、サッカーファンの夫とテレビでワールドカップを観戦したのは、数少ない新婚の思い出だ。
時は流れ、2026年6月某日。
それは日本にとってちょっと特別な日だった。
仕事中、今日の夕飯はとんかつにしようとひらめく。帰りにスーパーに寄ると、100g99円という破格の豚ロース肉(厚切り)を見つける。なんという僥倖。文字通りトントン(豚)拍子で物事が進んでいく素晴らしさよ。
家に帰ると、早速お肉を包丁の背で叩く。さらに塩麹に漬け込む。破格の安さのこのお肉、もちろん輸入なので肉質は期待できない。きちんと下ごしらえすることで美味しくなる。
1時間後、衣付け。小麦粉、卵、パン粉とお肉をくぐらせていく。ベースとファンデーションとルースパウダーのように、化粧をするかの如く、丁寧に段階を踏む。そして、すぐに揚げずに少し時間を置く。そうすることでパン粉が卵の水分を吸って衣が取れにくくなる。その間、洗い物をし、付け合わせのキャベツを千切りにする。

温めた油にそっと豚肉を入れる。何度聞いても、このシュワ〜っという音が好きだ。この音が聞けるのは料理している人だけの特権だ。
両面合わせて四分ほど揚げて取り出す。
からりと上がったトンカツ。これぞ、ご馳走。
夫と二人、とんかつを頬張る。
ちょっと心配だったけど、塩麹のおかげかちゃんと柔らかく、しっとり美味しい。それでいて衣はサクサク。うーん、幸せ。揚げ物万歳。

そして、その日の夜中。
午前二時のキックオフ。
夫はそそくさと起き上がり、テレビに釘付け。
つられて私も目を覚ましたけれど、結果はご存じのとおり…
とんカツでゲン担ぎとは行かなかった。
でも、選手の必死に戦う姿は、めっちゃかっこよかった。
そして思い出したけれど、8年前も、ベルギーと対戦した時「ベルギーを食ってやる」という意味で、ベルギーワッフルを食べながら観戦したけど負けたのだ。食べ物でゲンを担ぐのはもうやめた方がいいのかもしれない。
でも4年後はまた、そんなこと忘れちゃうんだろうな。

