全国水族館の旅【82】東京23区のミニ水族館5選
以前の記事にて、東京の生物系の学習施設についてご紹介しました(下記リンク参照)。今回は範囲を都心寄りに絞って、東京23区内にフォーカスしていきたいと思います。
東京23区は「自然の少ない都会」というイメージがありますが、残された貴重な環境を守ったり、一般の方々への環境教育に力を入れていたり、各自治体・各団体が地球のために精力的に活動しておられます。「ゼロエミッション東京戦略」 のもと、都内各地で多彩な環境教育が展開される23区。このたび筆者は都会の中の環境学習施設を訪れ、たくさんの生き物たちと出会いました。
あやせ川清流館 ~美しい綾瀬川を取り戻すために~
昭和30年代より前の東京23区には、透明度の高い清澄な河川がたくさんありました。しかし、高度経済成長期の急激な都市化や環境汚染によって、多くの川で水質が著しく悪化しました。
そして現在、美しい河川環境を取り戻すために、たくさんの人々が水質改善の取り組みに取り組まれています。水の生命を深く知り、東京の水環境の未来を考えるために、筆者は足立区の自然観察公園「桑袋ビオトープ公園」を訪れました。



生き物好きがビオトープ公園にいったら、やることは生物観察です(笑)。岸辺に植物が生い茂り、食糧や隠れる場所が多い水辺環境は、生き物たちにとって絶好の生活の場となります。
池の側でじっくり待機していると、食糧を求めて水鳥たちが飛来してきます。摂食活動の様子、仲間同士のコミュニケーションの様子などを観察しながら、野生動物の生態を探究してみてください。



生き物たちを観察しながら公園の奧へ進むと、足立区の環境学習基地「あやせ川清流館」が見えてきます。本館では、ビオトープや綾瀬川の自然環境について明瞭に学べます。施設にはインタープリター(自然観察員)の方が常駐されていて、スタッフさん主導のもと定期的に自然体験イベントが実施されています。



清流館の麗しき水棲生物たちの飼育展示は、生き物好き・水族館好きの関心をがっちりとつかんでくれます。生き物の生態を学びつつ、環境保全の尊さに触れることができますので、水族館がお好きな方には環境学習施設への来訪を強くオススメします。プロの自然観察員の方々とお話するチャンスもありますので、ぜひとも様々な施設を訪れ、生態学と保全学の知識を高めていきましょう!





超嬉しいことに、清流館では陸棲生物たちも飼育展示されています。本館で育てられている種類は、全て東京都内の自然の中で出会うことができます。
水とつながる陸域の緑の世界には、たくさんの生き物たちが力強く息づいています。都市郊外の草地を歩くとき、生き物たちの視点に立ってじっくり探究してみてください。




都市郊外に創出されたビオトープ公園と環境学習施設。本館での学びによって、人々は自然環境の尊さを知り、綾瀬川の水質改善に強い関心を抱きます。
かつて身近にあふれていた清澄な水域を甦らせるため、多くの人々が保全に取り組まれています。私たちも、自分にできる範囲で少しずつ保全活動を進めていきましょう。

所在地:東京都足立区花畑 8-2-2(桑袋ビオトープ公園内)
アクセス面:東京の端にあたり、埼玉県八潮市に近い立地ですので、マイカーをお持ちの方は車での来館を推奨します。桑袋ビオトープ公園の駐車場のキャパシティは11台ですが、(当日の状況にもよりますが)そうそう満車になることはないと思われます。公共交通機関をご利用の場合、東武スカイツリーライン谷塚駅または竹ノ塚駅から東武バス「花畑桑袋団地」行きに乗車、「保育所前」で降車し、そこから徒歩で向かってください。つくばエクスプレス六町駅から向かわれる場合は、東武バス「文教大学循環」行きに乗車し、「花畑六丁目」で降りてください。

北区立みどりと環境の情報館エコベルデ ~生命あふれる北区の環境が見えてくる~
東京23区にお住みの生物マニアの方は、自然観察で北区に繰り出されることも多いのではないでしょうか。多くの自然公園、隅田川や荒川の河川敷など、生き物と出会える場所はたくさんあります。
北区の自然を学べる環境学習施設の1つは、隅田川の流域に立っています。北区の自然観察へのスタート地点として、筆者はみどりと環境の情報館エコベルデを訪れました。



目的地のエコベルデが立っているのは、隅田川の畔。豊島5丁目団地という住宅地に近く、多くの子供たちに環境教育を提供している学習施設です。
エコベルデは美しい緑地に囲まれていて、身近な動植物の観察を楽しむことができます。さらに、建屋の側にはビオトープが創出されていて、水と生命のつながりについて体感的に学べます。環境教育においては、机上の勉強だけでなく、生命を肌で感じることもとても大切なのだと再度認識しました。



エコベルデは、北区の自然と環境保全の重要性を学べる学術教育施設。館内には水棲生物を観察できる「ミニ水族館」があり、北区の水域生態系を感じられます。
そして素晴らしいことに、筆者はエコベルデのスタッフさんから直々に北区の生き物と環境について教わりました。環境保全のプロからレクチャーしていただける機会は、本当に貴重です。自然系の学術施設では、生き物を愛する人々との出会いも大きな楽しみなのです!





美しき水棲生物を観察したら、館内全体の学術展示をじっくりと観覧しましょう。
23区内の一大自然探究エリアである北区では、とてもたくさんの生き物たちが暮らしています。彼らの棲む環境を守るために、北区の人々は力強く保全活動を進めてこられました。1つの1つの展示からは、かけがえのない自然を守りたいという北区の強い意思が感じられます。





エコベルデでの学習を終ええ、「北区各地の自然環境を巡りたい」という強い想いが心に芽生えました。北区の自然公園や河川を探究するときは、全身の感覚を研ぎ澄ませてみてください。きっと、驚くほどたくさんの生命と対面できるはずです!

所在地:東京都北区豊島5-6-1
アクセス面:施設内に一般用の駐車場はありませんので、アクセス手段は公共交通機関のみです。筆者のオススメは王子駅(JR京浜東北線・東京メトロ南北線・都電荒川線)から路線バスやタクシーに乗って、豊島5丁目団地で降りるのがベストです。豊島5丁目団地行きの路線バスは池袋駅や赤羽駅からも出ていますので、自分が利用する便の路線と乗場を正確にチェックしておきましょう。なお、東京メトロ南北線の王子神谷駅からは徒歩15分ほどでエコベルデにたどり着けますが、夏の猛暑日にはやはり王子駅からバスやタクシーで向かうのが懸命だと思います。

板橋区立エコポリスセンター ~街の中の自然を守る、板橋区の環境学習拠点!~
緑豊かな板橋区は、環境都市「エコポリス板橋」を標榜しています。区内には板橋区立熱帯環境植物館やリサイクルプラザなどの学習施設が立っており、子供も大人も素晴らしい環境教育を受けられます。
まさに環境先進区と言うべき板橋区。生物マニアとしては、板橋の学習拠点で思いっきり生物と環境について学んでみたいと強く思います。

「エコポリス板橋」の中枢基地を訪れるため、筆者は都営三田線の志村坂上駅にやってきました。エコポリスセンターの方角へ歩いていくと、大きな池のある見次公園が目の前に現れます。園内でたっぷり生物観察をして、環境学習に対するテンションを上げていきましょう!




見次公園を出て、前野中央通りを進み、坂を登りきったところで右折すれば、目的地の板橋区立エコポリスセンターに到着します。
エコポリスセンターは人々に様々な環境教育を実施されていて、地球環境の保全やエコライフの重要性を我々に説いてくれています。広い図書室やカフェを有する施設ですので、時間をかけてゆったりとセンターの環境学習に浸ってください。





生き物好きの皆様、お待たせしました! 本館の水族展示ゾーンは、1階のエントランスホールにあります。
こちらで出会える生き物たちは、専門学校の学生の方々が授業の一貫で大切に育てていらっしゃいます。生命を愛する学生さんが集う板橋区は、エコポリスにふさわしいと改めて感じました。





エコポリスセンター3階屋上にはビオトープが創出されていて、定期的に一般開放されています。開放日には専門学校の学生さん主導のもと、ビオトープで生き物探しができます。
身近な自然での生き物との触れ合いこそ、環境教育の王道! ビオトープで水棲生物を直に観察したい方は、屋上開放日を公式ホームページにてチェックしておきましょう。




エコポリスセンター、素晴らしい! 板橋区は素晴らしい!
自然と生命を感じられる板橋区の環境教育は、本当に尊く濃密です。「エコポリス板橋」はこれからも地球と調和して発展し続け、未来の環境保全のプロを数多く生み出すと思います。エコポリスセンターでの学習を通じて、板橋区に心から惚れました。

所在地:東京都板橋区前野町4-6-1
アクセス面:最寄駅は都営三田線の志村坂上駅であり、駅からは徒歩15分ほどかかります。見次公園の方へ向かって歩き、イオンスタイル板橋前野町の前を通っていきます。坂をのぼりきったところで標識に従って右折すれば、右手側にエコポリスセンターが見えてきます。ただ猛暑日の場合、徒歩15分はかなり大変ですので、東武東上線ときわ台駅から赤羽駅行きの路線バスに乗り、「前野小学校」停留所にて降車してください。エコポリスセンターの駐車可能台数は少ないので、車で来館される方は、状況によっては周辺の有料駐車場を利用しましょう。

台東区立環境ふれあい館ひまわり ~未来へ向かう台東区の環境教育~
多くの流域で生き物たちと深く関わりながら、やがて東京湾へと注ぐ隅田川。水と共に緩やかな流れを下っていくと、やがてビルの立ち並ぶ都心エリアへと入っていきます。浅草や蔵前の付近の流域では、インバウンドの観光客の方々を乗せた水上バスが走り、多くの人々が駒形橋や厩橋に立って巨大なスカイツリーを見上げています。
隅田川の都心流域にて河川敷を歩いていると、高頻度でクロダイが見つかります。彼らは汽水域への適応力が高く、東京湾から多くの個体がやってきています。



それでは、目的地の環境ふれあい館ひまわりへと向かいます。
ひまわりの最寄り駅は、都営浅草線の蔵前駅です(少し距離は離れますが、都営大江戸線の蔵前駅からでもアクセスできます)。駅を出たら、国際通りを横切って、そのまま精華公園の方へと向かいます。公園の隣に立つ環境学習施設こそ、台東区のエコ基地・環境ふれあい館ひまわりです。



精華公園内には、ひまわりのスタッフの方々によって築かれたビオトープがあります。身近な公園に水域環境を創出することで、自然の少ない東京都心でも、子供たちは動植物の観察学習ができるのです。本園のビオトープでは、ひまわりスタッフさんたちが定期的に環境教育を実施されていますので、ぜひ公式情報をチェックしてみてください。



環境ふれあい館ひまわりは、生態系や環境の問題について多角的・複合的に学べる教育施設。地球環境の保全について、未来を見据えた広い視点で学習できるのです。
1階フロアで来館者を出迎えてくれるのは、東京湾に棲む海水魚たち。世界的な海水温の上昇によって、海の生物相は着実に変化しています。身近な東京湾の現状を理解し、環境の変化を読み解いていきましょう。




4階の環境学習室では、自然環境の保全について本格的に学べます。本フロアでは水棲生物の生体を観察できるうえに、わかりやすい解説資料によって幅広い環境問題への理解を深められます。
「生態系の危機は何が原因なの?」「エネルギー資源って何?」「地球温暖化はどういうメカニズムで起こってるの?」という疑問に対しても、ひまわりでの環境学習が答えを導き出してくれます。





ビルの連なる台東区の市街地。緑の少ない都心でも、環境学習施設やビオトープの創出によって、人々は地球を感じて学ぶことができます。様々な環境の問題に直面している時代だからこそ、子供にも大人にも環境教育が必要です。ひまわりの活動は、まさに未来の地球を救うための事業なのです。


所在地:東京都台東区蔵前4-14-6
アクセス面:台東区の蔵前エリアに位置する施設ですので、アクセス環境はとても良好です。都営地下鉄の浅草線の蔵前駅から徒歩3~5分ほどの立地であり、小さなお子様をお連れのご家族やご年配の方でも無理なく快適にアクセスできると思います。なお、浅草線の蔵前駅と大江戸線の蔵前駅は両者とも路線イメージカラーが赤系統の色であり、とても間違えやすいので注意してください。ちなみに、大江戸線の蔵前駅で降りても徒歩10分ほどで施設にたどり着けます。

水元公園 水辺の生きもの館 ~23区最大規模の水郷公園で自然観察~
東京都内での自然観察となれば、葛飾区の水元公園は絶対に外せません。東京23区屈指の大型水郷公園であり、水と緑豊かな園内にはたくさんの動植物が息づいています。
水元公園には大型駐車場が設けられていますので、東京都内・他県の方々も安心して車でアクセスできます。首都圏在住の方にとって、休日の自然観察を楽しめる絶好のフィールドなのです!




水元公園の水辺の生き物に関しては、過去の記事(本記事冒頭にリンク先添付)にてご紹介していますので、今回は超貴重な水元公園のオニバスについて紹介していきたいと思います。
希少水生植物オニバスは、人間による水質汚染や水辺の埋め立てなどが原因で全国的に生息数を減らしています。水元公園は東京で唯一のオニバスの自生地であり、保全において極めて重要な場所なのです。オニバス自生地は夏季のみ一般公開されていますので、ぜひ夏に水元公園を訪れてみてください。




水辺の動植物の理解を深めるため、筆者は園南側の「水辺の生きもの館」へ向かいました!
本館にて水元公園の水域環境を学べば、水辺の生態系の重要性を理解できます。素晴らしい生体展示・標本展示に生物マニアの視線は釘づけです。




本館で出会える水棲動植物は多種多様。無脊椎動物・脊椎動物・植物・藻類問わず、数多くの生体と至近距離で対面できます。観察学習を通して、淡水域の生態系の豊かさを強く感じられます。





そして、本館では昆虫の生体展示や標本展示も超充実しています。緑いっぱいの水元公園で昆虫観察がしたいと思われている方は、とても多いと思います。ぜひ全てのシーズンで水元公園を訪れ、四季によって変遷する昆虫相をフィールドで体感学習してください。





本当に素晴らしすぎる水元公園。カワセミが舞い、オニバスが自生し、多種多様な動植物が水陸で息づく生命のオアシス。生物マニアの心を熱くさせてくれる一大フィールドが、確かに23区内に存在しているのです!
生き物好きの皆様、ぜひ葛飾区へ行きましょう。23区最大級の水郷公園にて、生態系の探究を思いきり楽しんでください。

所在地:東京都葛飾区水元公園1-1(水元公園内)
アクセス面:水元公園の駐車場はとても広いので、車でのアクセスがオススメです。駐車場が満車になることはめったにありませんが、葛飾区の花火大会などのイベント日には混雑しますので、来訪予定日の葛飾区のイベントスケジュールはチェックしておいた方が懸命です。JR常磐線の金町駅から歩いて行くとも十分可能ですが、夏季の猛暑日は駅からは路線バスやタクシーを利用しましょう。

東京都内での自然学習と環境教育、いかがでしたでしょうか。自然の少ない都市と言われる東京ですが、環境保全にかけるエネルギーの強さには並々ならぬものがあります。そして、郊外には生物マニアの魂を惹きつける魅惑の自然探究フィールドが存在しています。
環境学習施設で知識と探究心を高めたら、都市の自然にも目を向けてみてください。きっと、思わぬところで生命との素晴らしい出会いが待っているはずです!

