60代のリアル|第2幕、第47話【実録・職場の波乱】費用ゼロで現場を助けたVBAは、会社から見ればただのルール違反だった!
前回までのあらすじ
多忙な月末を控えたある日、システム担当者から突然「Office 2024」へのバージョンアップと動作テストの依頼が舞い込みました。
しかし、テストの準備段階として毎月行っているPDFのExcel変換を試みたところ、データが丸ごと消失してしまう不具合が発生。原因は、サポート終了に伴い導入された「DocuWorks」との相性でした。
さらに困惑した私に課長が告げたのは、「DocuWorksは正社員のみインストール対象で、パートは不可」という事実でした。
実際にはPDFを扱わない正社員に一律配布され、実務を担うパートには権限すら与えられない理不尽なギャップに直面しながらも、本丸である「自作VBA」の動作検証へと足を踏み入れるのでした。
▼ 前回はこちらです。
想定外の「注意」と過去の記憶
8月21日(金)
Office 2024のテストを進める中で起きたトラブルは、思わぬ波紋を広げることになりました。
「誰も直接アクセスしているなんて知らないデータなのに、勝手にVBAで参照していたなんて……」
課長から飛んできたのは、労いではなく注意の言葉でした。
原因は、私がVBAを使ってAccessのデータを直接読み込み、宛名シールを発行していたことにありました。ですが、私としても好きでそんな「秘密の裏技」のようなコードを書いたわけではありません。
時計の針を、2019年にまで戻す必要があります。
当時、システムの仕様で出力される宛名シールは、なぜか「五十音順」で固定されていました。
しかし、現場で入力した順番通りにシールが出てこないと、印刷後の照合や封筒への封入作業で途方もない手間と時間がかかっていたのです。現場は困り果てていました。
業者の壁と、自力での解決
困りかねてAccessの開発業者へ問い合わせたものの、返ってきたのは冷ややかな回答でした。
「全員がその仕様変更を望むなら対応しますが、そうでないならこれが仕様通りです」
さらには「修正するとなると、当然ですが別途費用がかかります」とのこと。予算がない現場ではシステム改修を諦めざるを得ず、途方に暮れるしかありませんでした。
(入力順だけでなく、五十音順も、取引先番号順も、使う場面に合わせて選択できるようにすればいいだけなのに……)
業者の融通の利かなさに疑問を抱きつつも、費用をかけずに現場の困りごとを解決するには、自分で作るしかありませんでした。独学でVBAを書き、入力順・あいうえお順・取引先番号順を自由に選んで宛名シールを発行できる仕組みを構築したのです。
それ以来、現場の作業効率は格段に上がり、仲間たちにも大いに重宝されてきました。
業務改善の「報い」と残された問い
それから数年。今回のOfficeバージョンアップという環境の変化によって、長年潜伏していた「システム担当者の知らない仕組み」が浮き彫りになり、私が咎められる形となってしまいました。
確かに、システム担当者が把握していないところで勝手にデータを参照し、運用していたことは組織として良くないことだったのかもしれません。
そのリスク指摘自体は理解できます。
ですが、費用も出してもらえず、既存システムでは業務が滞る中で、一体どうするのが正解だったというのでしょうか?
ただ目の前の困っている業務をスムーズにし、仲間を助けたい一心で重ねてきた工夫でした。
それが環境の変化ひとつで「勝手なことをした罪」のように扱われてしまう理不尽さに、私は言葉を飲み込み、深くため息をつくしかありませんでした。
🌿次回予告
課長からの注意にモヤモヤした思いを抱えつつも、Office 2024での動作テストを再開することに。
コードを追っていくと、VBAの処理自体はエラーも出ず、何事もなかったかのように「正常終了」の表示が出ます。
しかし、出力された実行結果を確認してみると……そこには到底信じられないことが起きていました。
エラーで止まることもなく、静かに狂っていく処理。 一体、新しいOfficeの内部で何が起きているのでしょうか?
次回、「正常終了の罠。エラーなき怪現象とVBAの行方」。
深まる謎に、さらなる頭を抱えることになります。
次回もどうぞお楽しみに!
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