60代のリアル|第2幕、第43話【実録・職場の波乱】SNSの炎上と同じ構造? 根拠ゼロの噂が「真実」になる瞬間。職場で爆発的に広がる「デマ」の恐怖
前回までのあらすじ
転院日が8月24日に決定する直前の8月16日、母のお見舞いへ向かうと、右手だけでなく左手まで包帯でぐるぐる巻きにされた痛々しい姿がありました。
面会コーナーの賑やかな雰囲気の中、転院の話をしても母は何も語らず、ただ目を大きく見開くばかりでした。
しかし面会時間を過ぎ、帰り際に「またね」と手を振った瞬間、母は「まだ帰るな、帰るなよっ」と声を上げてボロボロと涙を流しました。
何も分かっていないわけではなく、一人の寂しさに耐えていた母の本音を知り、私は後ろ髪を引かれる思いで病院を後にしたのです。
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誰かの「思いつき」が「真実」に化ける恐怖
ですが、一度広がり始めた噂を止めるのは容易ではありませんでした。
「誰々さんが言っていたから」「みんなもそう言っているから」
確かな根拠など何一つないのに、誰かの軽い思いつきや勘違いが、あっという間に「職場の真実」として定着していく――。その光景を目の当たりにして、私は強い恐怖と既視感を覚えました。
それはどこか、現代のSNSで起きているデマや情報の拡散と、全く同じ構造のように思えたからです。
正論や客観的な事実よりも、「分かりやすい犯人探し」や「センセーショナルな噂」のほうが人の心にすんなり入っていってしまう。
社内という小さなコミュニティですらこれなのですから、見知らぬ人々が飛び交うネット空間でデマが拡散されるのも無理はありません。
現場で泥をかぶる者の静かな吐息
噂が一人歩きする一方で、管理職はシステム担当者からきちんと事情を聴いて状況を把握していました。
しかし、現場の一般社員たちの間では「Windows 11のせい」「OSの不具合」という分かりやすい説明のほうがまことしやかに信じられ、どこかそれで納得して安心しているようにも見えました。
本当の原因や現場の運用ルールの食い違いに向き合うよりも、目に見えない「OS」という大きな存在のせいにまとめてしまったほうが、心理的に楽だったのかもしれません。
正論や客観的な事実を知る管理職と、デマに流される職場の空気。
そして、その裏で正解とも間違いとも言えないグレーな現場の仕事を、泥をかぶりながら黙々と回し続ける自分。
パソコンの画面に向かいながら、私は社内を駆け巡る無責任な噂話を、ただ静かに聞き流すしかありませんでした。
具体的な落としどころと、残るモヤモヤ
結局、このトラブルへの対処法として、ひとまずの運用ルールが決まりました。
Excelファイルが開けなくなったパソコンについては、原因となった更新プログラム「KB5002903」をアンインストールして元の状態へ戻すこと。
そして、Excelファイルを開けても更新ができない人は、影響を受けていないパソコンを使って旧形式の「.xls」ファイルを「.xlsx」へ変換し、新しい形式で利用していくという運用です。
上から示された対処手順によって、表面上は一旦の落ち着きを見せたかのように思えました。
◆ KB5002903の概要と不具合の内容
👉 パッチの本来の目的
対象ソフト:Microsoft Office 2016 / Excel 2016
目的 :Officeのセキュリティホールを修正するためのアップデート
👉 発生した問題・不具合
この更新プログラム(KB5002903)を適用すると、
・一部の環境でExcel 2016が正常に動作しなくなる
・ファイルが開けなくなる
・強制終了する
などの不具合が発生しました。
終わらない後手後手の対応
ですが、8月13日に総務課から頼まれた緊急のデータだけを慌てて対応した私からすれば、これで全てが根本解決したとはとても思えませんでした。
根拠のない噂話が社内を飛び交う中で、後手後手の対応に振り回され、結局は泥をかぶることになる日々。
一筋縄ではいかない予感を抱いたまま、私はパソコンの画面に向かい、目の前の作業を淡々と進めるしかありませんでした。
🌿次回予告
「KB5002903を消せば元通り」──誰もがそう信じ、ようやくトラブルが去ったかに思えた職場。
しかし数日後、再び悲鳴が上がります。
「またExcelが開かなくなったんですけど……!」
消したはずの更新プログラムが、なぜか勝手に復活している?
更なる沼のような迷宮でした。
次回、「消しても蘇る更新プログラムの罠」。 現場の格闘は、まだ終わっていませんでした。
次回もどうぞお楽しみに!
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