60代のリアル|第2幕、第44話【実録・職場の波乱】設定を無視して入るKB5002903。現代のパソコンが仕掛ける不可解な罠
前回までのあらすじ
Office 2016の更新プログラム「KB5002903」の適用に伴い、社内のExcelで不具合が多発。しかし現場では、「今回の不具合はWindows 11にアップデートしたせい」「データが飛ぶらしい」という根拠のない噂話が廊下や自販機の前で一人歩きし始めていました。
客観的な事実よりも「分かりやすい犯人」を信じ、安心しようとする職場の空気。それはどこか、SNSでデマや情報が拡散されていく炎上構造と全く同じでした。
結局、不具合への対処法として「KB5002903のアンインストール」や「.xlsから.xlsxへのファイル形式変換」といった運用ルールが示されます。
しかし、8月13日に総務課の緊急データだけを対応した私には、これが根本的な解決だとは到底思えず、一筋縄ではいかない予感を抱えたままパソコンに向かい続けるのでした。
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消したはずの「罠」が蘇る
8月18日(火)
嫌な予感はあっさりと現実のものになりました。
「またExcelが開かなくなったんだけど……」
出社早々、社内のあちこちから困惑の声が上がります。先週、不具合の原因だった更新プログラム「KB5002903」をせっかくアンインストールして元の状態に戻したはずなのに、何人ものパソコンで再び同じ症状が発生していたのです。
自動更新という仕組みの前では、一度消したところで気休めに過ぎなかったわけです。
これを受けたシステム担当者は、新たな手立てを講じることになりました。
Windows Updateの詳細オプションを開き、「その他のMicrosoft製品の更新プログラムを受け取る」という項目をオフに設定しました。
その上で、再び「KB5002903」をアンインストールするという二度目の作業に追われていました。

◆ KB5002903の概要と不具合の内容
👉 パッチの本来の目的
対象ソフト:Microsoft Office 2016 / Excel 2016
目的 :Officeのセキュリティホールを修正するためのアップデート
👉 発生した問題・不具合
この更新プログラム(KB5002903)を適用すると、
・一部の環境でExcel 2016が正常に動作しなくなる
・ファイルが開けなくなる
・強制終了する
などの不具合が発生しました。
こっそり見守る「一時停止」の画面
その様子を横目で見ながら、私は自分のパソコンの画面をそっと確認していました。
実は私のパソコンは、前もってWindows Updateの更新自体を「一時停止」に設定してありました。
本来ならしかるべき手順を踏むべきなのかもしれませんが、更新を止めている端末は社内にかなりの台数があったため、私のパソコンがひっそり止まっていても誰にもバレないだろう……と、胸の内で密かに安堵のため息をついていました。
無駄なトラブルに巻き込まれず、自分の業務を無事に進めるための、ささやかな自己防衛のつもりでした。
翌日に訪れた「何故?」
8月19日(水)
さらなる謎が職場を襲います。
昨日、システム担当者がわざわざ「その他のMicrosoft製品の更新プログラムを受け取る」をオフに設定し直したはずのパソコンに、どういうわけか再び「KB5002903」が自動で入っていたのです。
「え、設定をオフにしたのに、なんで……?」
担当者も頭を抱えています。
設定を破ってまで勝手に書き換わっていくパソコンの挙動に、現場には不気味な空気が漂い始めました。
その一方で、何事も起きず平和に動き続けている私のパソコン。 トラブルが起きないのはありがたいものの、「私のパソコンだけ何も起きないのは、逆に変なのでは……?」という妙な胸騒ぎが、じわじわと広がっていくのでした。
🌿次回予告
消したはずの更新プログラムが蘇り、社内が混乱に包まれる中、ふとした疑問が頭をよぎります。
「そういえば、Windows 11にしてからパソコンの立ち上がりが遅くなっていない……?」
電源ボタンを押してからまともに動き出すまでの、絶妙にイライラする無駄な時間。 ただでさえ不具合対応で神経をすり減らしているのに、毎朝の「待ち時間」という地味なストレスが追い打ちをかけていきます。
次回、「Windows 11、遅くなった起動時間と消えない胸騒ぎ」。
トラブルの波は、まだ終わりを見せてくれませんでした。
次回もどうぞお楽しみに!
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