「産休育休が取りやすい職場」は存在するのか問題
数年前に新卒採用担当をやっていた時期があったのだけど、そこでどうしても引っ掛かることがあった。説明会や面接などで「産休・育休から復帰している女性はどのくらいいますか?」「子育てとの両立はできますか?」と、女子からだけ質問されることである。(男子でも「育休を取っている男性はいますか?」と質問してくれる人はいたけど、ごくごく稀だった)
気持ちはすごく分かるけど、学生のうちからそんなこと心配しなくても…
まだ結婚もしてないうちから、存在してない子供のことまで考えてキャリア選択しなくてもいいんじゃないの??純粋にやりたいこと軸で選んだらいいのに…
というかなぜ女子だけ学生のうちからこんなことまで気にしないといけないんだ…
と当時は思っていた。でも、実際に自分が産休に入ってみて、特に転職のときに「産休・育休を見据えて会社を選ぶこと」への考え方は少し変わってきた気がする。特に営業とかマーケとか、国家資格などが不要で新規参入しやすい分、自分でキャリア形成していくことが大事な職種の場合は「妊娠出産しやすそうな職場環境」だけでなく「自分のキャリアにとってプラスになるか」を重視した方が、結果的に産休・育休も(気持ちの面で)取りやすくなるのでは?と思うようになった。
ただ、これはあくまで今だから思えることであって、自分も数年前に転職活動をしたときは「今の職場は激務すぎて妊娠出産はとても考えられないので、もっとワークライフバランスが整った環境で働きたい」が大きな動機だったな…。
そもそも「子育てと両立しやすい職場」とは?
一般的には
・リモートワークができる
・フレックス制など、時間の調整が効きやすい
・子育て中の社員が多い
・育児中社員向けの福利厚生が充実している
みたいな会社は「子育てと両立しやすい」と言われる傾向があると思う。制度は整っていたほうがいいに決まっているので、入社前に確認しておくのはとても大事である。
が、どれだけ制度が整っていても、ロールモデルが多くても、結局「妊娠・出産がしやすいか」は自分の仕事がどれだけ自分でコントロールできるかとチームの雰囲気次第で、そんなものは入社前には見極めようがないんじゃないのか??とこの数年で強く感じるようになった。
特に「妊娠出産がしやすそうか」を入社前に判断するの、不可能では…?は、自分が産休に入ってみて余計にそう思う。この「妊娠出産が"しやすそう"」というのも曲者で、
・同じチームに育休から復帰した人がいるか(前例があるか)
・業務量に余裕があり、誰かが休んでも回る環境か
・人が抜けたときにすぐ補充があるか
・残業が少ないか
・オンオフの区別がはっきりつけられる業務内容か
などなど、要するに「自分の気持ち的に余裕を持って働けるか」みたいな感情の部分も入ってくると、そんなものは実際入ってみないとわからないよなぁと思う。結局は「自分が妊娠出産しても大丈夫と思えるかどうか」という気持ちの問題なので、なぜ今はそう思えないのか?逆に何があればそう思えるのか?を突き詰めて考える方が早い気すらする。
「妊娠出産しやすそうに見える環境」と、「自分にとってやりやすい環境」は全然別
実際、自分の今の勤務先も制度はすごく整っているし、パパママも多いけど、それでも中間管理職になるまではあまりにも業務過多すぎて「この会社で妊娠出産なんて絶対に無理」と思っていた。数年前に転職活動した理由の一つは実はこれ。土日も深夜もずっと働いていて、身内の葬儀の合間ですらチャットを返すような生活だった。どれだけ制度が整っていても、現実問題として自分がそれを使える状態にあるかどうかは全然別だよな...とは今でも思っている。
中間管理職になったらなったで、部下は増えるし責任範囲も広がるし、同じレイヤーでは子育て中の女性はいないし(みんな育休後は管理部門に異動していく)、「妊娠出産しやすい雰囲気」だったかと言われると正直全然そんなことはなかった。雰囲気を気にしていたら子供なんて永遠に持てないだろ!!と開き直っただけ。
ただ、昇進するまでに積み上げてきた実績がある分「ここまでやったんだからさすがにもう許されるでしょ」という意味での気持ちの余裕はあったと思う。経験を積んだ分、マストで押さえるべき点と手抜きしてもなんとかなる点の見極めもできてきて、仕事の緩急がつけられるようになったのもあるかもしれない。そう考えると、やっぱり一つの会社で昇進するまで頑張ったのは自分にとっては正解だったといえる。(結果論だけど)
環境が整っていそうかより、仕事がうまくいっているかの方が気持ちの面では大事なのでは
あくまで自分の場合はだけど、「妊娠出産しやすそうな職場」を求めて環境を変えるより、「やりきったと心から思えるまで働いて、実際に昇進したこと」「社内・社外から評価されるようになったこと」の方が、子供を持とうという決断の後押しになった。(もちろん会社によっては本当に激務過ぎて無理とか、産休に入った人はみんなそのまま退職してしまうとか、さすがに職場を変えないと解決できない場合も当然あると思います。)
産休・育休を取ることに対する不安って「戻ってきたときに本当に自分の席があるか」も大きい気がするので、その不安を解消するのは仕事で圧倒的なバリューを出して「ぜひ戻ってきてほしい」と言われるようになることなのでは…?
転職活動にあたっても、「リモートワークできるかどうか」とか最低限譲れない条件はあるとしても
・条件面は完璧だが、成果を出せるかの不安がすごく大きい仕事
・条件面で多少気になる点はあるが、過去の経験を踏まえて成果を出せそうな仕事
だったら後者を選んだ方が、妊娠出産を見据えていたとしても気持ちの面では穏やかに働けるのではないか…?という気がする。どれだけ職場環境が整っていたとしても、仕事が絶望的にうまくいっていない時にプライベートで大きな変化(妊娠・出産)を起こそうという気分にはなりにくいと思うので…
「今の職場では無理かも」と思ったら、転職の前に「なぜそう思うのか」を内省した方がいいかもしれない
「育児と両立できる職場か」と「不安なく妊娠・出産に踏み切れる職場か」はまた全然別のお話だと思うのでまた復帰後に考えるとして、
「妊娠出産に踏み切れるかどうか」はどうしても自分の気持ちの問題も大きくなってくるので、仮に「今の職場では無理なんじゃないか」と思ったときは、転職活動の前にまず「なぜそう思うのか」を突き詰めて考えた方が良いように思う(転職活動自体はメリットも多いので、とりあえず活動してみること自体は全然ありという前提で)。
・ロールモデルがいないから?
・業務量が多いから?
・仕事がつらいから?
・なぜつらい?何がつらい?
をひたすら考えてみて、解決するための手段はどうしても転職しかないのか?を問い直すのも大切なんじゃないだろうか。
転職すると1年は育休が取れない(正確には、育休手当をもらうにはひとつの会社で1年以上勤務することが必要)なので、転職せずに解決できる問題ならそれが一番だよなという気もしてしまう。
一方で、妊娠出産にはどうしてもタイムリミットがあるから難しいし、だからみんな悩むんだよなぁとも思う。迷っているうちにどんどん時間が過ぎていく焦りと、「転職するなら早い方がいい」という気持ちもすごくよく分かる。
ユートピアは存在しないか、仮に存在してもそうそう入れない説
もしかすると、世の中には
・残業少ない
・リモートワーク可、フレックス可
・給与水準は高い
・やりがいのある仕事
・産休育休も取りやすい
・子育てウェルカムな雰囲気
みたいな、すべてを兼ね備えた職場も存在するのかもしれない。するのかな。あったら私も入りたいのですが…
でも、おそらくそんなユートピアは存在しないか、存在したとしても誰も辞めないかリファラルで十分人が集まるので求人は出ていない気がする。つまり転職でそんな最高の職場を見つけるのは不可能なのでは…?
であれば、そもそも今の職場で妊娠・出産・育児に不安を感じるのはなぜなのか?その不安はどうしても転職しないと解消できないか?をまず突き詰めて考えてみて、
転職するのであれば自分の中で優先順位をつけて、絶対に譲れない点はキープしつつ「自分がこのポジションでバリューを出せそうか」「キャリアを積めそうか」を重視して活動した方が良いように思う。フルリモート制度を撤廃して出社回帰する会社も増えているし、制度は会社側の判断であっけなく変わってしまうので、それだけを軸に転職するのはやっぱりリスクが高いと思ってしまう。ユートピアを探すより、自分が「今なら産休育休を取ってもまぁいいでしょ!」と思える状態を作る方が早いかも。
そもそも「この職場で妊娠出産しても大丈夫か」とか、あまり考えすぎない方がいいのかも
というか、あまり合理的に考えすぎると子供なんて持てないし、スムーズに妊娠できるかどうかもやってみないと分からないので、最近はもはや「この職場で妊娠出産して大丈夫か、時期はどうするかで悩みすぎない方がいいのでは」とすら感じる。「仕事で圧倒的な成果を出すまでは…!」と思っていたら不妊治療が必要になったりするしね。。
サラリーマンである以上自分の代わりはいくらでもいるし、自分の人生に対して責任を取れるのは自分だけなので、とにかく自分のやりたいようにやるのが一番な気もする。
産休中の今はこう思ってるけど、育休から復帰したら自分の気持ちも全然変わりそうな気がするので、来年あたりにまた考えたいな。
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