【小説】 Lv12 異世界|先生、冒険の続きを。~31年目のサンスーファンタジー~|第2章 異世界突入 編
【第2章 異世界突入 編】
これまでのお話
Lv12 異世界
今でも、
あの感覚だけは信じられない。
今、こうして大人の言葉で振り返っていても、
あの時、僕の身に起きた現象を
正しく説明できる科学的な言葉を、
僕は未だに持ち合わせていない。
僕は本当に、
あの1枚のプリント。
先生が配った

という名の異世界に、
ログインしてしまったんだ。

異世界にログインしたユーチ
気がついたら、
4年4組の教室から、
すべての音が消えていた。
ガタつく机の音も。
窓から吹き込む風の音も。
いつも騒がしい
クラスメイトの笑い声も。
何も聞こえない。
完全な静寂。
代わりに僕の目の前にそびえ立っていたのは、
圧倒されるほど巨大なシルエットだった。
見上げるほどに高く、
尖った塔。
現実に存在する
どんな建物よりも
威圧的な雰囲気を放っている。
「う、うそ、だろ……」
夢じゃない。
はっきりと意識はある。
頭は冴え渡っている。
けれど、
そこには決定的な違和感があった。
僕の体が、
どこを探してもない。
簡単に言うと、
僕の魂だけが肉体
という器を脱ぎ捨てて、
そのまま数式の異世界へすっぽりと
放り出されてしまったような状態だった。
4年4組の教室の机で、
プリントを前にしたまま突っ伏して
眠っているのか。
それとも、
鉛筆を握りしめたまま、
白目を剥いて固まっているのだろうか。
あまりにも奇妙で、
未知の体験のような出来事だった。
そのときだった。
地平線の先にある巨大な城の奥から、
何かがざわざわと、
うごめく不穏な気配が伝わってきた。
間違いない。
あの城の中で、
今まさに何かが起こっている。
逃げ出したいはずなのに、
僕の魂はまるで強力に吸い寄せられるように、
意志とは無関係にドンドンと
城に向かって引きよせられて行った。
僕は意を決して、
城の分厚い石壁の中を覗いてみた。
壁の向こうに広がっていたのは、
薄暗い玉座の間のような広い空間だった。
燭台の炎がゆらゆらと
壁に長い影を落としている。
その不気味な光と影の境界線で、
ある『2人の人物』が、
息を潜めて怪しげな密談を交わしている
真っ最中だったんだ。
僕は、
ヨンヨン城の鉄の扉に手をかける。
2人の人物の正体は!
Lv12:異世界 完 / Lv13へ続く
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