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「本の整理と終活」


「図書館?」
と、言われるほど集めた本は離婚の時、
一冊も持ち出すことが出来ませんでした。

子育てをしながら、化粧品や洋服の購入を最低限にして、美容院代も節約しながら集めた本は、いま和室の一間半の押入れにびっしりと並んでいます。

そこには、小さな図書館が広がっていて、
わたしの癒しのスペースです。

いつかは整理しなければと思っているけれど
大切な本を捨てるのも、
古本屋に持ち込むのも忍びなくてそのままになっています。

そこで、図書館に寄贈すべく、
リストを作成して相談に行くと、
引き取ってもらえそうな本が、
かなりあることがわかりました。

まとめて持ち込む数は、20冊前後にとどめてほしいと図書館の方に言われ
少しづつ整理をしようと、
本を押し入れから出してみましたが……

島崎藤村さんの「初恋」で懐古園とりんご畑に想いを馳せ、
太宰治さんの「人間失格」で玉川上水と桜桃忌に心が揺れて、
「銀河鉄道の夜」は短編だからと読み始めたら、
次の話もページをめくってしまう。

眉村卓さんで高校生に戻り、
星新一さんが奇妙な世界にわたしを運び
筒井康隆さんで地球が潰れる音を聴く。

江戸川乱歩シリーズ、三国志、天平の甍、燃えよ剣……推理や歴史の旅は、
読み直しが始まったら止まりません。

さらに、漫画がわたしを呼びます。
あだち充さん、高橋留美子さんはもちろん、
「MONSTER」の浦沢直樹さんのシリーズ、
大友さんの「AKIRA」や
「風の谷のナウシカ」も…

ジャンル問わず興味に任せて集めた本は、
絵本から小説まで全て、わたしを別世界に
連れて行ってくれる大切な相棒です。

本の匂いと手触りに心が動かされて、
時を遡り、夢中で読んでいた時間が戻ってきます。

だから…
片付かない…
図書館に運ぶ本の選別が進まないのに、
時計の針は進んでいきます。

終活のつもりで始めた本の整理。

感性を呼び起こしてくれる相棒の
誘う空想の世界が
若くもない脳みそを、
少し若返らせてくれます。

涼鈴suzu




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