そもそもフィードバックって何なのさ
こんにちは。今日はふと気になった「フィードバック」について理解を深めていきたいと思います。
仕事の中で日常的に使う言葉の「フィードバック」。思い返すと人によって定義や思い浮かべているものが様々なワードだなと思い、少し深掘りをしてみようと考えました。
元々は「電子・制御工学」分野の言葉だった
セントラルエンジニア株式会社さんのnoteにちょうど知りたかった言葉の起源が述べられていました。
フィードバックの言語源と本来の意味
「フィードバック(フィードバック)」は、「フィード(供給する)」と「戻る(戻す)」という英単語が組み合わされた複合語です。元々は1920年代の電子・制御工学で、システムの出力の一部を入力に戻す「帰還」の意味で使われ始めました。
その後、1950年代には「行動や結果に関する情報を還元して改善を行う」という比喩的な意味でも用いられるようになり、現在ではビジネスや教育の分野でも重要なコミュニケーション手法として普及されています。
つまり、ビジネス上におけるフィードバックという言葉は、「行動や結果に関する情報を還元して改善を行う」という趣旨の言葉なわけです。
フィードバックする側の欲求を満たすことになっていないか?
私自身が日々仕事をする中でも、ご支援をしている組織のマネジメント課題に触れる中でも、フィードバックの力を養うことが重要であることは共通認識になっているように感じます。
一方で、フィードバックという取り組みが、フィードバックする側の欲求を満たす行為に陥っていることが多いのではないか?という疑問を持っています。
仕事におけるアドバイスなどのシーンで、熟達度合いが高い人が相手に対して自分の経験や知識を披露することで、フィードバックする側が気持ちよくなっているという構図です。
書籍「フィードバック入門」では、フィードバックを以下のように定義しています。
フィードバックとは、端的に言ってしまえば、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」です。
1.【情報通知】 たとえ耳の痛いことであっても、部下のパフォーマンスなどに対して情報や結果をちゃんと通知すること(現状を把握し、向き合うことの支援)
2.【立て直し】 部下が自己のパフォーマンスなどを認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画をたてる支援を行うこと(振り返りと、アクションプランづくりの支援)
何より重要なのが、「相手の成長を目的にフィードバックする」ということです。
仕事におけるフィードバックが、業務レベルのアドバイスや指示と混合しているのではないかというのが私の感じていることだと言語化ができました。
では、ここから、相手の成長を目的としたフィードバックという行為におけるポイントも整理していきたいと思います。
フィードバックを行う上でのポイント
最重要なのは、「具体的な相手の行動に対してフィードバックをする」ということです。
フィードバック入門では、「鏡のように振舞う」というメタファも使われています。
具体的に相手の行動にフィードバックするには、「正しく相手の行動を把握すること」が重要になります。事実情報をもとに感情を取り除き事実情報を伝達し、相手に内省の機会を設けることが必要です。
次に、伝達においては、具体的な事実情報を以下のフレームに沿って整理し伝達することがポイントです。米国のリーダーシップ機関Center for Creative Leadership(CCL)が開発した「SBIフレームワーク」です。

情報収集とSBIフレームワークに沿って整理を行いそれを伝達し、対話につなげ相手の成長につなげること。この一環の取り組みはビジネスにおけるフィードバックの本質と言えるのではないでしょうか。
対話における問いかけの技術が効いてくる
ここまで、フィードバックとは何か、何が重要かについて整理をしました。
実践しようとすると、難しいことも理解できます。私も苦戦しながらの日々です。
フィードバックの情報伝達はここまで述べましたが、それを対話を通じて相手の内省や気づきにつなげる上では、問いかけの技術が求められます。
新・問いかけの作法では、問いかけの4つの基本定石として以下の整理が紹介されています。
1 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
2 適度に制約をかけ、考えるきっかけをつくる
3 遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
4 凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す
対話の中で見えてくる、相手が無意識的に捉われていることや、こだわっていることは自らの行動や考えを見直すきっかけの入り口として有効です。
また本書では質問の精度をあげる「フカボリ」と「ユサブリ」のパターンを紹介しています。
フカボリモード フカボリ(深掘り)モードとは、チームの暗黙の前提、共通の価値観、一人ひとりの考えていることが曖昧で、チームの根底にある「こだわり」がはっきりせずぼやけているときに、解像度を高めるためのモードです。場の前提を確認したり、一人ひとりの中に眠っている個性や価値観を引き出したりするモードです。汎用性の高い質問の型として、「素人質問」「ルーツ発掘」「真善美」という3つのパターンがあります。
ユサブリモード ユサブリ(揺さぶり)モードとは、固定観念や価値観のずれなどの「とらわれ」が見えてきたときに、揺さぶりをかけて、新しい可能性を探るためのモードです。染みついた言葉遣いを変えたり、発想の視点を転換したり、固定観念を直接的に破壊したりすることで、とらわれを打破するモードです。汎用性の高い質問の型として、「パラフレイズ」「仮定法」「バイアス破壊」という3つのパターンがあります。
このように、事実を観察しSBIのフレームワークで相手に鏡のように情報提供をした後に、それに対しての相手の納得感や内省を促すための問いかけのレパートリーを懐に入れていくことが、これからのリーダーやマネージャーにとっての武器になると私は思います。
ここまでのまとめ
今回は、「フィードバック」という言葉を語源から捉え直してきました。フィードバックはもともと電子・制御工学の言葉で、システムの出力の一部を入力に戻し、挙動を調整するという意味を持っていました。それが転じて、ビジネスシーンでは「行動や結果に関する情報を還元して改善を行うこと」という意味で使われています。
しかし実務では、フィードバックが「フィードバックする側の欲求を満たす行為」になってしまっているケースが少なくありません。中原淳氏の定義に立ち返ると、フィードバックの目的はあくまで相手の成長であり、情報通知と立て直しの両方を支援することにあります。
その実践には、事実に基づいた具体的な行動へのフィードバックが欠かせません。SBIフレームワーク(状況・行動・影響)で整理して伝えること、そしてそれを対話につなげるための問いかけの技術(フカボリ・ユサブリ)を持つことが、フィードバックを機能させる鍵になります。
最後に
フィードバックは、伝える側の知識や経験を誇示するための道具ではなく、相手の成長を支えるための情報提供なのだと思います。事実を鏡のように映し、問いかけを通じて相手自身の気づきにつなげていく。この一連のプロセスを、これからも大切にしていきたいと思います。
