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#54 そしてMSXはどうなるのか続報


数日前(2026年3月22日現在)、MSXコミュニティに衝撃が走りました。長年MSXの次世代機として期待を集めていたMSX2++プロジェクトが、開発者の原氏(HRA!)とMSXの生みの親である西和彦氏との間で深刻な対立に陥り、事実上の「クビ」宣告とともにキャンセル状態に追い込まれた——という報道(というかX上だけの騒動)が広がったのです。「原さんの作ったMSXを全部自分でコントロールしたいのか」「DOSとBASICのライセンスまで原さんが決めるつもりか」といった西氏の厳しい言葉が飛び交い、コミュニティは「これでMSX2++は本当に終わりか……」と暗雲に包まれました。多くのファンが「暗い」「悲しい」「もうダメかも」と嘆く投稿を連発し、まるでレトロコンピュータ史にまた一つ終止符が打たれる瞬間を目の当たりにしたような空気が流れていたのです。先日はこの辺のところを自分なりにまとめてアップしていたのです。あまりに悲しかったからね。

ところが——その数日後、状況は急転直下。西和彦氏本人がXでこう発言しました。

MSXアソシエーション の横居さんと話して 原さんの作ったMSXを MSX2++ と言う名前で DOSとBASICをライセンスして 商品化することになりました 年度内を目処に よっぽどのことがない限り キャンセルということにはならないと思います

さらにその直前には、

MSXアソシエーションから MSX2++ を 生産してもいいかという問い合わせ つまりDOSとBASICをライセンスすることを許諾するかという問い合わせが来ました 賛成すると答えました

という投稿もあり、事態は一気に好転。まるでプロレスの「ヒールターンからの大逆転」のような展開に、コミュニティは驚きと安堵の声を上げています。何が起こっているのか? 経緯を時系列で振り返るこの騒動の背景を理解するには、2025年頃から続くMSX2++開発の流れをもういちど押さえておこう。

2025年頃〜:原氏(HRA!)を中心にFPGAベースでV9958互換VDP(V9968相当?)やサウンドチップを統合した「もし1995年頃にMSXturboRの次が出ていたら」という歴史改変IF機としてMSX2++の開発が本格化。西和彦氏も当初は協力的な立場で、スペック議論や方向性に意見を入れていた。

開発の主導権をめぐる軋轢:原氏はハードウェア(特にFPGAコア)の実装に注力する一方、西氏は「MSXの正統性」としてMicrosoftのMSX-BASICやMSX-DOSのライセンス管理、全体のブランド統制を強く意識。意見の相違が徐々に表面化し、「全部原さんが決めるのか」という西氏の不満が爆発。

数日前(2026年3月中旬頃):西氏が原氏に対して事実上の「クビ」宣告。X上で「ソースをオープンにして誰でも作れるようにすべき」「ハードもソフトも全部原さんが作るつもりか」といった痛烈な批判が飛び、プロジェクトはキャンセル状態に。コミュニティは「MSX2++終了か……」と絶望ムードになり、私もMSXが終わりそうと、記事を書いてみた。

しかし、直近の急展開。MSXアソシエーション(横居氏ら)が仲介に入り、西氏に「MSX2++の生産・商品化を認めるか(=BASIC/DOSライセンスを許諾するか)」と打診。西氏はこれを快諾し、年内(2026年内)発売を目指す方針を明言。

要するに、開発者(原氏)と権利者・ブランドオーナー(西氏)の間で起きた典型的な「クリエイター vs プロデューサー」的衝突が、第三者であるMSXアソシエーションの介入によって和解・商品化ルートに落ち着いた……という構図です。なぜここまで揉めたのか? 両者の立場を想像してみると原氏側からすれば、無償ボランティアに近い形で何年もFPGAコアを開発してきたし、スペックも実装も自分たちが決めてきた流れで、急に「BASIC/DOSのライセンスがー」「ブランドがー」と上からコントロールされるのは納得しづらい。さらに「クビ」と言われたショックは計り知れない。混乱の極み。

西氏側からすると、MSXというブランドは自分がビル・ゲイツと一緒に作ったもの。BASIC/DOSのライセンス管理は信頼できない人間には任せたくない。数百万円規模の私財投入(?)説もある中、コントロールを失うのは耐えられない。「オープンソースで誰でも作れるように」という理想と、「ちゃんとした商品として世に出す」という現実の間で葛藤。怒りのままにポストも暴走しています。

こうした両者の「熱量の高さ」がぶつかり合った結果、短期間で「終了→復活」のジェットコースターが起きたわけです。

今後の予想される流れとしては、西氏の「年度内(2026年内)目処」「よっぽどのことがない限りキャンセルにならない」という発言を信じるなら、以下のようなシナリオが現実的です。

  1. 2026年前半〜夏頃:MSXアソシエーションが原氏開発の基板・設計を正式に引き取り(または許諾)、ライセンス契約を締結。名称は正式に「MSX2++」として継続。

  2. ハードウェア面:FPGAベースのVDP(V9968相当)、サウンド統合チップ、R800互換CPUなどを搭載した基板が完成。DIYキット形式や完成品のどちらか(あるいは両方)でリリース。

  3. ソフトウェア面:MicrosoftからMSX-BASICおよびMSX-DOSのライセンスをアソシエーション経由で取得。正規の互換機として販売可能に。

  4. 販売規模:数百台〜1000台程度(国内中心)。クラウドファンディングや限定生産になる可能性が高い。

  5. コミュニティの反応:一旦は「良かった……」と安堵する人が多数。ただし「本当に年内に出るのか」「また揉めないか」という懐疑的な声も残る。

  6. その先:MSX2++が無事に出れば、次はMSX2#(さらに上位?)やMSX3への道筋がつく。西氏の構想では2027年以降に本格的な次世代機が控えている。

もちろん「よっぽどのこと」が起きればまた暗雲が……というリスクはゼロではありませんが、少なくとも現時点では「MSX2++は死ななかった。むしろ公式ルートで復活した」と言えそうです。最後に一言この数日間のドタバタ劇は、まさに「MSXという存在そのもの」を象徴している気がします。

  • 熱すぎる開発者

  • ブランドに命を懸ける創始者

  • それを繋ごうとするアソシエーション

  • それを静かに見守る古参・新規のファンたち

この四者が「MSXが好きすぎる」からこそ起きる衝突であり、だからこそ第三者が間に入って「よし、みんなでやろう」とまとまった瞬間は感動的です。年内発売、本当に実現するといいですね。実現したら、きっとまた「MSX最高!」という声がXを埋め尽くすはずです。

ここで感じるのはMSXアソシエーションってなにもの?というところ。MSXアソシエーションとは、簡単に言うと「MSXのブランドと関連権利を管理・推進してきた日本の任意団体」です。現在(2026年3月時点)では、実態としてかなりスリム化・象徴的な存在になっている印象ですが、MSXコミュニティ内で「第三者的な調整役」として機能しているのが現状です。特に最近のMSX2++騒動で、西和彦氏が「MSXアソシエーションの横居さんと話して…」と名前を出したことで、再び注目が集まっています。  

歴史と設立の背景

2002年2月:任意団体として発足
当時はアスキー(現KADOKAWAの一部)の関連会社・エフ・シー・マネジメントの下で活動。
主な目的は「MSXブランドの管理」「商標・著作権の窓口」「エミュレータ開発・ライセンス調整」など。
MSXが商業的にほぼ死に絶えていた時代に、「MSXをもう一度ちゃんと残そう」という有志の集まりでした。

  • 主な実績(2000年代)

    • 公式エミュレータ「MSXPLAYer」(Windows/Pocket PC版など)の開発・公開

    • 「1chipMSX」(FPGAでMSXを1チップ化した実機、スペック社と共同)のプロジェクト参加

    • MSX関連書籍の監修・発行(週刊アスキーとのコラボでMSX30周年本など)

    • ROMカセットのデジタル化プロジェクト(USB接続リーダー構想など)

「MSX復活の旗手」的なポジションで、ファンからも一定の信頼がありました。

2007年頃に西和彦氏がMSXライセンシングコーポレーション(株式会社)を設立
→ MicrosoftとのBASIC/DOSライセンスや主要商標(MSXロゴなど)の管理をこちらに移管。
MSXアソシエーションは「任意団体」として残りつつ、実質的に補助的な役割にシフト。

現在は「横居さん」という人物(おそらく長年関わっている中心メンバー)が名前としてよく出てきます。
西氏の最近の投稿でも「MSXアソシエーションの横居さんと話して」「MSXアソシエーションにライセンスを出した」などと繰り返し登場。
 
MSXアソシエーションの横居さんとは、横居英克(よこい ひでかつ)氏のことです。MSXコミュニティの古参で、2000年代から現在(2026年)にかけてMSXアソシエーションの実質的な中心人物として長年活動を続けてきた人物です。特に最近のMSX2++騒動で西和彦氏が「横居さんと話して…」と何度も名前を出したことで、再び脚光を浴びています。

  • 横居氏の肩書(過去・現在)

    • MSXアソシエーション 理事(2000年代〜)、専務理事的なポジションで実務を担う

    • D4エンタープライズ 取締役(2006年頃〜しばらく在籍。レトロゲーム配信などで有名な会社)

    • MSX関連プロジェクトのプレゼンター・調整役

  • 主な活動時期:2004年頃から現在まで(特に1chipMSX時代〜MSXPLAYer〜最近のDEVCONまで)

  • 現在の役割:MSXアソシエーションの「顔」として、西氏と開発者(原氏など)の橋渡し・仲介を担うことが多い

代表的な関わったプロジェクト

  • 1chipMSX(2004〜2006年)
    アスキー+MSXアソシエーション共同でFPGAによる実機再現プロジェクト。
    ALTERA PLD WORLD 2004などでプレゼンを行い、佐藤英一氏(当時アスキー編集長)と並んで登壇。
    5000台限定販売の大ヒット商品となり、MSX復活の象徴に。

  • MSXPLAYer(公式エミュレータ)
    MSXアソシエーションが推進したWindows/Pocket PC向け公式エミュ。
    2025年のMSX DEVCON#11でも「MSXPLAYer」について講演(YouTubeアーカイブあり)。

  • MSX DEVCONシリーズ
    近年はほぼ毎回登壇or出演。
    MSXアソシエーション枠でまかべ氏らと一緒に登場し、MSXの現状報告や調整役を務める。

  • MSX2++プロジェクト(2026年現在)
    西氏と原氏の対立仲裁に入り、ライセンス許諾の窓口として機能。
    西氏のX投稿で「横居さんと話して…」と繰り返し名前が出ている。

コミュニティ内での評価・エピソード

  • ポジティブ側:
    MSXが商業的に死に体だった2000年代に、1chipMSXやエミュレータ、イベントを細々と続け、MSXの「火」を絶やさなかった功労者。
    最近のMSX2++でも「横居さんが間に入ってくれたおかげで復活した」と感謝の声多数。

  • ネガティブ側(過去の噂・批判):
    2000年代後半〜2010年代に、2chやブログで「詐欺まがいプロジェクトに関わった」「MUCOM@mucom88 = 横居氏説」「MSX所有経験なし」などの疑惑・中傷が飛び交った時期あり。
    (MUCOMは音楽ソフト作者として別人扱いされることが多く、本人否定orスルー)。
    また一部で「わらしべ長者的にMSX関連で小銭稼ぎ」「D4エンタープライズ取締役時代に何かあった」などの悪評も。
    ただしこれらは古いネットスレッド中心の話で、2020年代以降はほぼ沈静化。
    現在は「MSXのために長年頑張ってる人」として再評価の流れ。

一言でまとめると横居英克さんは、
「MSXアソシエーションの長年の実務責任者で、西和彦氏の『調整役・現場担当』として欠かせない存在」 です。西氏がビジョンと権利を握り、原氏らがハードをガチで作る中、横居さんは「中間層」として話を通し、プロジェクトを形にする役割を20年以上続けています。
だからこそ、今回のMSX2++「年内発売」宣言でも、彼の名前がキーになっているわけですね。

まとめましょう。

MSXライセンシングコーポレーション
西氏の会社で実際の権利窓口・Microsoftとの契約元

MSXアソシエーション
歴史的にファンコミュニティ寄りの調整団体・今は「中立的な仲介役」ポジションMSX2++騒動での役割を担いました。
今回は実質的には「西氏が認めた第三者」として、揉め事を収めるための便利な存在になった形です。

こんどこそ。

過去にMSXに夢中になっていたひとりとして、面白いものが出てくると嬉しいですね!

続き



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