FIRE後の現金1000万円は、全部現金で持つ必要はない
FIRE後は、生活防衛資金として現金1000万円程度を確保するつもりだった。
株式市場が暴落しても、しばらく生活費のために株を売らずに済むようにするためである。
この方針自体は今も変わっていない。
ただ、「1000万円を確保する」と「1000万円をすべて普通預金で持つ」は同じではないのではないかと思い始めた。
金利のある世界に戻ってきた
日本でも金利が戻ってきた。
銀行のキャンペーン定期なら1%台、MRFにも再び利回りが付いている。国債も以前のゼロに近い世界ではない。
少し信用リスクを取れば、SBGが予定している7年普通社債のように4%台後半という商品も出てきた。
以前なら、現金や債券を持つこと自体が大きな機会損失だった。
今は現金に近い資産にも多少の利回りが付く。
それなら、1000万円を用途別に分けてもよい。
3年後に使うお金まで現金である必要はない
例えば、明日必要になる可能性がある資金は現金であるべきだ。
一方、3年後まで使わない200万円まで普通預金に置いておく必要はあるのだろうか。
1年後に使う資金なら1年程度の定期預金や債券、2年後なら2年程度、3年後なら3年程度というように、使う時期に合わせて償還する債券を並べることができる。
いわゆる債券ラダーである。
FIRE後の生活費と合わせるなら、これは単なる利回り獲得以上の意味を持つ。
株式市場が暴落していても、その年に満期を迎える債券があれば、それを生活費に使える。
株を安値で売らずに済む。
株価が好調なら償還資金を使わず、さらに先の債券へ再投資すればよい。
米国には欲しかった商品があった
この用途に面白い商品がないか探していて、BlackRockのiBondsを見つけた。
これは普通の社債ETFとは少し違う。
2030年、2031年、2032年というように満期年ごとにファンドが分かれ、その年に償還される投資適格社債を数百銘柄単位で保有する。
指定年になるとETF自体も終了する。
普通の債券ETFは満期がなく、常に新しい債券へ入れ替えて一定のデュレーションを維持する。
iBondsは時間とともに残存期間が短くなり、最後には現金になって終了する。
個別債券とETFの良いところを組み合わせたような設計である。
30年債5%よりこちらの方が自分には合う
米国30年国債の利回りが5%台まで上がっているのを見た時、一瞬「もう債券でいいのではないか」と思った。
しかし30年は長い。
私はAIの知能爆発から産業爆発へ進み、今後の経済成長率が大きく上振れる可能性を意識している。
その世界を想定しながら、1億円を30年間5%で固定する気にはなれない。
一方、iBondsの2033年満期あたりを見ると、投資適格社債に分散しながら5%台前半の利回りを、平均6〜7年程度の残存期間で取れる。
30年ではなく6〜7年なら、自分にとってはずっと扱いやすい。
2030年代前半に世界がどうなっているかを見て、そこで改めて株式へ戻すか、債券を延長するか決められるからである。
ただし、自分が必要なのは円だった
商品設計だけを見れば、iBondsは気に入った。
しかし一つ大きな問題がある。ドル建てである。
私がFIRE後に必要とする生活費は円である。
2031年に200万円必要なら、本当に欲しいのは「2031年に200万円が返ってくる商品」である。
iBondsで確定できるのは「2031年に何ドル返ってくるか」であって、そのドルが何円になるかではない。
今の為替で200万円分買っても、償還時に円高になっていれば生活費として使える金額は減る。
FIRE用の生活費ラダーとして考えると、この通貨ミスマッチは無視できない。
高い利回りより、将来の円を予約したい
ここまで考えて、債券ラダーの目的が少し明確になった。
自分が欲しいのは、債券で最大限高い利回りを得ることではない。
将来必要になる円を、株式市場とは無関係に確保しておくことである。
そう考えれば、利回り5%のドル債より利回り3%の円債を選ぶことにも合理性がある。
逆に、ドル資産として債券を持つならiBondsは魅力的である。
ただしそれは生活費ラダーとは別枠になる。
現金1000万円という考え方を少し変える
今のところ、1000万円をすべて債券へ移すつもりはない。
すぐ使える資金は普通預金やMRFに置く。
キャンペーン定期も使える。
条件の良い短期国債や円社債があれば、一部を数年先の生活費として確保する。
SBGの7年普通社債も、正式条件が4%台後半なら100万円程度はラダーの部品として検討してもよいと思っている。
残りは当面、株式中心でよい。
以前は「FIRE後に現金1000万円を持つ」と考えていた。
今は少し違う。
「株式を売らずに生活できる数年分の円キャッシュフローを確保する」と考えた方が、自分の目的には合っている。
理想を言えば、米国のiBondsのような商品が円建てで存在してほしい。
それがないことについては、前の記事で考えた。
商品を探してみると、自分が本当に必要としているものも見えてくるらしい。
📌 この記事を書いている人 会社員(薬剤師)として働きながら、2025年に金融資産1億円に到達した個人投資家です。医療現場の感覚と投資家の視点で、AI時代に何が変わるのかを記録しています。
▼ はじめての方へ:「普通の薬剤師が資産1億円に届くまで」
▼ このnoteについて:「試して、やめて、残ったもの――投資歴15年の現在地」
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本記事は、筆者個人の投資経験と考え方を整理したものであり、 特定の金融商品・銘柄の購入を推奨するものではありません。 投資判断は、ご自身のリスク許容度、投資目的、資産状況を 踏まえて行ってください。

