日本酒に合う和菓子の選び方|甘×甘がクセになるペアリング術
和菓子のお供といえば、お抹茶や緑茶が定番です。でも実は、日本酒と和菓子の組み合わせには、お茶では味わえない「もうひとつの美味しさ」が隠れています。江戸時代には新潟で「ゆべし」を日本酒の肴にしていたという記録もあるほど、この組み合わせは日本の食文化に根づいたものなのです。
SAKE DIPLOMA・ワインエキスパートの資格を持つ私が、和菓子と日本酒がなぜ合うのか、どんなタイプの和菓子にどんなお酒を選べばいいのか、そしておすすめの5銘柄を、肩の力を抜いてお伝えします。おやつの時間が、ちょっとした晩酌タイムに変わるかもしれません。
和菓子と日本酒はなぜ合うのか

「お米」という共通の原点がつなぐ味わい
和菓子の多くは、餅粉・上新粉・白玉粉などお米を原料にしています。大福、おはぎ、桜餅、団子――どれもお米の風味が土台にある食べ物です。そして日本酒も、お米から生まれるお酒。同じ「米」を出発点にした食べ物と飲み物だからこそ、根っこの部分で味わいが調和するのです。
さらに、和菓子に欠かせない「あんこ」の小豆は、アミノ酸による穏やかな旨味を持っています。日本酒にも同じくアミノ酸が豊富に含まれているため、口の中で旨味同士が手を取り合い、どちらの味わいも膨らませてくれます。
もうひとつ大事なのが甘さの質感の近さです。和菓子の甘味は、上白糖のストレートな甘さではなく、和三盆やこし餡のような「やわらかくて余韻のある甘さ」。日本酒が持つ米由来のほのかな甘味も同じ系統なので、合わせたときに違和感なく溶け合います。
和菓子の種類別・ペアリングの方向性

方向性①:あんこ系和菓子 × 辛口の日本酒で「対比」を楽しむ
豆大福、練り切り、羊羹、おはぎなど、あんこが主役の和菓子には、すっきりキレのある辛口の純米酒や純米吟醸を合わせてみてください。あんこの甘さに対して、日本酒のドライな後口が引き締め役になり、いわば「お抹茶と同じ役割」を果たします。甘さがリセットされるので次のひと口が待ち遠しくなる、そんなペアリングです。冷酒〜常温(10〜18℃)でお試しください。
方向性②:お餅・米菓系和菓子 × 旨味のある純米酒で「同調」する
みたらし団子、草餅、おかき、あられなど、お米の素朴な風味が前面に出た和菓子には、米の旨味がふくよかに広がる純米酒や特別純米酒がよく合います。お米同士の「同調」で、噛むほどに甘くなる米の味わいが何倍にも膨らむ感覚。みたらしの醤油ダレと日本酒の旨味が重なったときの幸福感は格別です。常温〜ぬる燗(15〜40℃)だと、旨味がさらに開きます。
方向性③:フルーツ系・季節の和菓子 × 甘口やスパークリングで「華やぎ」を添える
いちご大福、フルーツ羹、水まんじゅうなど、果物や季節感のある軽やかな和菓子には、ほんのり甘口の日本酒やスパークリングを合わせると、華やかな「お菓子×お酒」の世界が広がります。いちご大福のジューシーな酸味にスパークリングの泡が寄り添うと、まるでデザートコースのような体験に。冷酒(5〜10℃)でしっかり冷やすのがポイントです。
和菓子に合う日本酒をラベルで選ぶコツ

和菓子コーナーの帰りに酒屋さんへ立ち寄ったら、次の3つをチェックしてみてください。
まず**「純米」の文字**。米と米麹だけで造られた純米系のお酒は、和菓子の素朴な甘味と相性がいいです。次に**「日本酒度」。プラスの値が大きいほど辛口なので、あんこ系和菓子に合わせるなら+3以上、フルーツ系和菓子に合わせるならマイナス〜ゼロ付近を目安にすると外しにくくなります。最後に精米歩合**。60%以下(=よく磨いている)のお酒は雑味が少なく、和菓子のやさしい風味を邪魔しません。
和菓子に合うおすすめ日本酒4選
久保田 千寿 純米吟醸(純米吟醸)〈辛口キレ系タイプ〉
新潟・朝日酒造の定番ブランド「久保田」の中でも親しみやすい千寿の純米吟醸です。穏やかな香り、すっきりとしたキレ、そして飲み飽きしない軽快さが持ち味。豆大福や練り切りなどあんこ系の和菓子と合わせると、辛口の後味があんこの甘さを引き立て、お抹茶のような引き締め効果を発揮します。冷酒〜常温(10〜18℃)がおすすめ。Amazonでも手に入りやすく、まず試す一本として最適です。
八海山 純米吟醸(純米吟醸)〈やわらかバランスタイプ〉
新潟・八海醸造が醸す、なめらかな口当たりで知られる純米吟醸。やさしい甘味とおだやかな酸味のバランスが絶妙で、どんな和菓子にも寄り添ってくれる懐の深さがあります。とくに草餅やみたらし団子のようなお米系和菓子と合わせると、米の旨味同士が手をつなぐ「同調」のペアリングが楽しめます。冷酒(10〜15℃)で。迷ったときの安心の一本です。
満寿泉 純米大吟醸(純米大吟醸)〈上品な華やぎタイプ〉
富山・桝田酒造店が醸す吟醸造りの名手による純米大吟醸。洗練された果実香と、シルクのような口当たり、品のある甘味と酸味が特徴です。虎屋の羊羹や和三盆の干菓子など、上質な和菓子と合わせたときに真価を発揮します。どちらも「上品な甘味」を持っているため、互いの品格が高め合う贅沢な組み合わせ。ワイングラスに注いで冷酒(10〜15℃)で味わうと、香りが一段と開きます。少しヒネリのある大人のおやつタイムに。
松竹梅白壁蔵 澪(スパークリング)〈泡で華やぐタイプ〉
宝酒造のスパークリング日本酒の代表格。マスカットのようなフルーティーな甘味と、細やかな泡立ちがいちご大福やフルーツ大福の酸味・甘味と見事に調和します。アルコール度数は5%と低く、甘口で飲みやすいため、お酒があまり得意でない方にも気軽に試していただけます。よく冷やして(5〜8℃)、休日の午後のおやつタイムに。泡が口の中をリフレッシュしてくれるので、和菓子が何個でも進んでしまうのがうれしい悩みです。
まとめ
和菓子と日本酒は「お米」という共通の原点を持つため、根本的に味わいが合います。あんこのアミノ酸と日本酒の旨味が重なる相乗効果も。
**あんこ系は辛口で「対比」、米菓系は純米酒で「同調」、フルーツ系は甘口・スパークリングで「華やぎ」**という3方向を意識すると、ぐっと選びやすくなります。
ラベルの「純米」「日本酒度」「精米歩合」をチェックすれば、和菓子屋さんの帰りに酒屋さんでサッと選べます。
日本酒ペアリングの体験が格上げされました
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この記事を書いた人:Tasterr
J.S.A. SAKE DIPLOMA / Wine Expert。全国でお酒のイベントを開催し、これまで7,000人以上にお酒を注いできました。旅を通して、その土地ならではのお酒との出会いやペアリングを楽しんでいます。プロフィール [EN]
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