審査員席に座りました。「その視点なかったで賞」って、何を見るんですか?
しりとりで「ん」を出した。
普通なら、そこで終わりだと思う。
ところが、この企画では違った。
「ん」で終わった人は、スポンサー側へ。
そして気づけば私は、
「その視点なかったで賞」
の審査員席に座っていた。
どうしてこうなった。
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「で、何を基準に選ぶんですか?」
春野由衣が聞いた。
「文章が一番うまい人?」
三浦志帆が首を振る。
「それなら、この賞である必要はないでしょうね」
「じゃあ、一番変な話」
鷲尾恒一が言う。
「それも違う」
黒瀬真琴が即答した。
「珍しい体験と、珍しい視点は別だ」
少し静かになった。
久城蓮が黒瀬を見る。
「そこ、もう少し詳しく」
黒瀬は腕を組んだ。
「たとえば、人生で一度しか起きないような出来事を書いたとする。それ自体は珍しい。でも、見方まで珍しいとは限らない」
三浦が続ける。
「逆もありますね。誰にでも起きるような出来事なのに、普通は見ない場所を見ている文章」
「ああ」
春野が少し笑った。
「昨日食べたご飯の話なのに、読み終わったら家族の話に見えてる、とか?」
「そういうこと」
鷲尾が言った。
「最初は『なんの話だよ』って読んでたのに、最後に『そこにつながるの!?』ってなるやつね」
久城が頷く。
「今回探すのは、それかもしれない」
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今回、私が担当するのは、
🏆 その視点なかったで賞
です。
文章の上手さだけで選ぶつもりはありません。
すごい体験をした人を探す賞でもありません。
私が読みたいのは、
「そこを見るのか」
と思う文章。
いつもの日常なのに、
そこから何かを拾って、
考えて、
転がして、
気づけば最初とは違う景色を見せてくれる。
そんな一本です。
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「でもさ」
鷲尾が手を挙げた。
「面白かったらダメなの?」
「誰もそんなこと言ってない」
黒瀬が返す。
「むしろ面白い方がいい」
「泣いたら?」
春野が聞く。
「それもいいでしょう」
三浦が答える。
「ただし、泣いたから受賞ではない」
「タイトルがめちゃくちゃ上手かったら?」
「それはマイキーさんの賞と競合しそうだな」
久城が笑った。
「じゃあ結局、何を見ればいいんだ?」
全員が少し考えた。
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そこで、雪代先生が黒板に三つ書いた。

① 日常のどこを拾ったか
みんなが通り過ぎる場所で、
その人だけが何かを見つけていないか。
② そこから、どこへ転がしたか
出来事を説明して終わらず、
予想していなかった場所まで思考が進んでいるか。
③ 読み終えたあと、見え方が少し変わったか
大げさに人生が変わらなくてもいい。
スーパーでも。
教室でも。
家族との会話でも。
いつもの景色を見たときに、
「あの記事、ちょっと分かるな」
と思い出すものが残っているか。
雪代先生は、最後に黒板へもう一行だけ足した。
上手な文章を探すのではない。
その人にしか見えていなかった場所を探す。
「……これですね」
春野が言った。
たぶん、これだと思う。
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すでに応募作品はかなり増えている。
これから、一作ずつ読んでいきます。
もちろん、私と違う見方をしている審査員もいます。
むしろ、その方が面白い。
同じ作品を読んでも、
「タイトル」に惹かれる人。
「続きが読みたい」と感じる人。
「応援したい」と思う人。
そして、
「その視点はなかった」
と思う人。
同じ文章を読んでいるのに、見ている場所は違う。
考えてみれば、
審査員そのものが、すでに「視点」の違いでできている。
これも、この企画の面白いところなのかもしれません。
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企画主催は、マイキーさん。
「#エッセイしりとり」コンテスト2026夏の陣
そして、私が審査員席へ座ることになった経緯はこちら。
『エッセイストたちが、櫓から降りてこない・・・XYZ』
🏆 この続き読みたいで賞
特別審査員長:
まき@こどもと日々成長中さん
🏆 こっそり応援したいで賞
特別審査員長:
諏訪貴信さん
🏆 その視点なかったで賞
特別審査員長:
天界記録
ということで。
審査員席から、少し違う角度で夏祭りを眺めてみます。
さて。
「その視点なかった」と言わせてくれるのは、どの作品だろう。
楽しみに読ませていただきます。
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