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【小説】マイネ・フロイデ(第三話)

【はじめに】
前話では1年E組の仲間として、ゴンちゃんを紹介した。
2年生以降も同級生として、この小説に登場願うからだ。

このまま2年生に進級しようかとも考えたのだが、そうするにはあまりに惜しい同級生が、まだ、数名はいる。

そこで、物語としては停滞してしまうけれど、スピンオフのつもりで、1年E組の同級生たちを紹介したい。

お気楽にお楽しみいただけましたら幸いです。


【1年E組S学級 動物図鑑②】
ゴンちゃんの次に登場願うのはケンジちゃんだ。

ケンジちゃんは、中肉中背で、天然パーマで、色黒で、アゴが少ししゃくれている。
しゃくれているからか、いつも、受け口で、口が開いていた。
髪のボリュームがかなりのものだったので、同級生たちは、僕を含め、
「頭膨大ケンジちゃん」
と呼んでいた。
愛すべき、イジられキャラだ。

そんなケンジちゃん、自分ではロッカーに憧れていたようで、日夜、エレキギターを練習していた。
ケンジちゃんが、一曲、弾けるようになったと、嬉しそうに、演奏してくれたことがある。
曲目は、水戸黄門のテーマ曲「ああ人生に涙あり」だ。

ジャッジャジャジャ ジャッジャジャジャ
ジャッジャジャジャジャジャジャジャジャジャ
じ〜んせい らくありゃ
くぅ〜もあぁるぅさぁ〜♪

歌うんかい!

一曲、弾き語り、ケンジちゃんは受け口で(イジってるやろ!?)ドヤ顔。

僕たちは手を叩いて大笑いした。


そんなケンジちゃん、口が開いているからか(やっぱイジってるやろ!?)言い間違いが多かった。
特に僕たちが爆笑したのが、
「ストマケイク(腹痛)」を
「カムストック(読売ジャイアンツの投手)」
と言い間違えた時だ。


最後に、ケンジちゃんと僕のやらかしを一つ。

当時、ブルース・リー亡き後、ジャッキー・チェンが台頭し、カンフー映画が人気を博していた。
そんなカンフー界の二大巨頭と共演経験があり、自らも、「燃えよデブゴン」などに主演していた、おデブのカンフースターがいた。
サモ・ハン・キンポーである。

何の用事かは忘れたが、ケンジちゃんと僕は梅田の阪急百貨店へ行った。
一階から二階へ上がるエスカレーターに乗り、顔を上げると、なんと、目前にサモ・ハン・キンポーらしき人が立っていたのだ。

ケンジちゃんも、僕も、その酷似ぶりに、かなり確信を持ち、興奮していた。

このため、敢えて、ヒソヒソではなく、聞こえるか聞こえないかぐらいの大きさで、
「サモ・ハンちゃう?」
「絶対、サモ・ハンやで!」
と言い合った。

すると、二階に着くや否や、サモ・ハンがクルッと僕たちの方に振り向き、落ち着き払った声で、言った。
「サモ・ハン、ちゃうで。」

僕たちは「やってもた!」と慌て、謝ることもせず、無我夢中でその場を立ち去った。

…でも、今思い返しても、絶対、サモ・ハンやってんけどなぁ。
なぁ、ケンジちゃん!


ケンジちゃんには、大爆笑間違いなし、鉄板の形態模写があったのだけど、あまりに思春期の男子すぎて、何の形態模写かすら書けないのがとても残念だ。
(恐らく、どんな形態模写だったかを書いた瞬間、作品全体がR20になるぐらいのインパクトがあります。)


【1年E組S学級 動物図鑑③】
もう一人だけ、お付き合い下さい。

最後に登場願うのは、マサヒコ40歳だ。
彼は、とことん地味な見た目で、結構な老け顔だった。
写真を撮る時は、いつも、顎を引き、口をすぼめ、笑うでもなく、真顔だった。
このため、どの集合写真を見ても、マサヒコ40歳は、全て、中年然とした同じ表情で写真に収まっていた。
僕たちは、「全部、焼き増しで十分やん!」と大笑いして、ツッコんでいた。


そんなマサヒコ40歳、普段、地味で、大人しく、真面目だったのだが、その反動か、時々、溜まりに溜まった欲求を大解放させた。

当時、ジャニーズの人気アイドルグループに、ローラースケートを履いて、走りながら、歌い踊る光GENJIがいた。

マサヒコ40歳は、自習の時間や、文化祭のため、皆が、教室で作業をしている時などに、突然、光GENJIの大ヒット曲「パラダイス銀河」を歌いながら、教室中を、ローラースケートを履いているかのように、走り回りながら、大熱唱して、大喝采を浴びていた。

[注意:ここからはR40です!]

そんなマサヒコ40歳は、性欲も溜まりに溜まっていた。

例えば、高校時代から毎年届く年賀状には、マサヒコ40歳の性への欲求が反映されていた。

ある年は、「晴耕雨読」をもじり、

「性交雨交」
(意味)晴れようが、雨であろうが、性交したい!

としたためられ、
また、ある年には、孔子の『論語』の言葉、「三十にして立つ」をもじり、

「三十にならずとも勃つ」
(意味)三十にならずとも勃起する。

としたためられていた。

ある年には、ストレートに

「右手が恋人!」

と大書されていることも。


僕は、晴れやかな気持ちで迎えるべき元旦に、家族にマサヒコ40歳からの年賀状を見られないよう、届き次第、早々に回収しなければならなくなった。

まぁ、新年早々、笑わせてもらいましたけど。

[R40はここまで!]


こんなメンツに囲まれながら、僕の高校生活一年目は楽しくすぎていった。
〔第三話完〕


【あとがき】
冒頭でお伝えしたとおり、この第三話の登場人物は、恐らく、この話にしか登場しません。

このため、本当に、今回、スピンオフとするかどうか悩んだのですが、本編が第二話までしかない中、
「いきなり、スピンオフって、どない?」
と思い直し、第三話とすることにしました。

僕の高校生活の雰囲気を感じ取っていただけていたら十分です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


これまでの話は、以下のリンク先よりお読みいただけます。




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