部下の成長は「観察」から始まる
こんにちは。鷹取智子です。
企業向けにコミュニケーション研修やチームづくりの研修を中心に登壇しています。調剤薬局での勤務経験を活かし、医療機関や企業の現場づくりをサポートしています。
私は、育成が上手な方ほど「教え方」が上手なのではなく、「観察」が上手なのだと感じています。
研修などでお目にかかる方から、こんなお悩みを伺うことが多いです。
「最近の若手は、主体性がないんですよね」
「言われたことしかやらなくて。もっと自分で考えて動いてほしいです」
あなたにもそんな風に思うこと、ありませんか?
もしそうでしたら、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
「それって事実でしょうか。それとも、あなたの解釈でしょうか」
例えば、「主体性がない」という言葉。実はこれは事実ではなく、部下の行動に対する評価や解釈です。
事実とは、
・忙しい時間でも自分から仕事を探さなかった
・分からないことを質問しなかった
・業務完了後、次の指示を待っていた
など、誰が見ても確認できる具体的な行動のこと。
例えば、「部下が指示待ちで自分から動かないんです」という相談。
詳細を伺うと、「忙しい時間でも、自分から仕事を探そうとしない」ということでした。そこで、
「ご本人に理由を聞いたことはありますか?」とお聞きするとハッとされました。
後日その方がお話をした際、部下の方はこう仰ったそうです。
「以前自分の判断で動いたら、ある先輩に勝手にやらないで、と注意されたことがありまして。それ以来勝手に動くといけないと思っていました」と。
「主体性がない」のではなく、そう行動する理由があったのです。
だからこそ大切なのは、事実を伝えたうえで背景を聴くことです。例えば、
「最近、忙しい時間でも指示を待っている場面が続いているけれど、どう感じている?」
このような問いかけなら、部下も安心して本音を話しやすくなります。
そして、観察で大切なのは、できていないことだけを見ることではありません。小さな変化や成長に気づくことも、上司先輩の大切な役割です。
例えば、
・新人が困っていることに気づき、自分から声を掛けていた
・以前より報告や相談が早くなった
こうした変化に気づいたら、
「新人さんへ自然に声を掛けていましたね。あの一言で安心していたと思いますよ!」
というように、事実をもとに伝えてみてください。
私自身も、CA時代にこの違いを実感した経験があります。ある先輩から、
「さすがだね」と、声を掛けていただいたことがありました。でも、その言葉はなぜか素直に受け取れませんでした。普段の仕事を見てくださっている実感がなかったからです。
一方で、別の先輩から、
「今日、お客様への説明の最後に確認の一言を添えていたよね。あの一言、とても安心感があったよ。」と具体的に言われたときは、
「ちゃんと見てくださっていたんだ。」と、とても嬉しかったことを覚えています。
今日からできる「観察」の習慣
最後に、やってみてほしいことがあります。
今日一日を振り返るとき、部下や後輩の「できていないこと」を探す代わりに、「以前よりできるようになったこと」を一つ見つけてみてください。
そして、その行動を相手に具体的に伝えてみてください!
人は、「見てもらえている」と感じたとき、自信が生まれ、次の一歩を踏み出しやすくなります。
だから私は、育成の第一歩は「教えること」ではなく、「観察すること」だと思っています。
「観察」は、相手を評価するためではなく、成長を支えるためにあります。部下や後輩の小さな変化や努力に気づき、それを言葉にして伝えること。
その積み重ねが、信頼関係を育み、一人ひとりの成長、そしてチーム全体の成長につながっていくのだと私は感じています。
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