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dancefirst
アキレス腱を切ってから、コートに戻るまで
部活動の練習の中で、試合をした。
ただ、それだけのことだ。
でも半年前の私は、装具をつけて松葉杖をついていた。
アキレス腱を切って、手術をして、入院して。
コートに立つどころか、まっすぐ歩くことさえ、当たり前ではなかった。
そこからの半年は、劇的なことは何も起きていない。
毎日、ふくらはぎの筋トレをした。
地味で、退屈で、成果がすぐには見えない繰り返しだ。
それでもある日、ようやく筋肉量がついてきたと感じた。
固まっていた関節に、柔らかさが戻ってきた。
傷口も、少しずつ癒えていった。
回復は、いつも小さな出来事の顔をしてやってくる。
ある日、靴がちゃんと履けた。
学校の駐車場が、身体障害者用の区画から、一般の区画に戻った。
誰に宣言するわけでもなく、停める場所がそっと元に戻る。
そういう小さなマーカーのほうが、「完治」という言葉よりも、正確に回復を語っている気がした。
休会していたジムにも、復帰した。
また、あの重りと向き合う日常が戻ってきた。
ひとつの回復が、次の扉を開ける。
その繰り返しで、私は少しずつ、これまでの自分に地続きで戻ってきた。
そして今日、試合をした。
プレーもうまくいって、周りが少し褒めてくれた。
お世辞も混じっているだろう。
それでも、身体が動いた感覚だけは本物だった。
記録に残るような一戦ではない。
特別な試合でもない。
ただ、半年前の自分から今日までを一本の線でつないだとき、その先端に立っていたのが、コートの上の私だった。
それはきっと、私にとっての静かな区切りだったのだと思う。
