お 小田雅久仁「裸婦と裸夫」感想
2021.12「小説新潮」ネタバレあり。
日本ファンタジーノベル大賞を受賞されている。同大賞は、酒見賢一をはじめ、特異な作家が出ることで有名だった。受賞を逃した中にも、恩田陸とか小野不由美とかビッグネームがいる。
あまり書かない人らしく、著書は3冊くらいしか出てないらしい。こういう人って、普段どうやって暮らしているんだろう。
で、試しに「禍」と言う本の紹介文を読んでみたら、ホラー短編集だった。体の一部がテーマになっている。何だか凄そう。「どろろ」みたい。
口 便所で女と遭遇した。女は本を食っていた。
耳 失踪した恋人を探しアパートを訪ねた私は、隣人から「耳もぐり」の話を聞かされる。
目 視線恐怖症の彼の前に、忽然と少女が現れる。彼は少女を知っていた。
肉 仕事帰りのバスの座席。お隣りよろしいですか、と聞いてきた大女。あの肉に溺れてみたい…。
鼻 死に取り憑かれた青年が老人に連れられ農場へ行く。そこの作物は鼻だった。
髪 10万円の報奨金に目が眩み、女が参加した「髪譲りの儀」とは。
ときて、最後が「裸」となる。それが本作だった。前の6作は、並々ならぬ奇想の気配が。期待バク上がりで本作に挑む。
まず、文章が端正なのに驚いた。内容からして、もっとオドロな文体かと思っていた。乱歩みたいな。京極さんみたいな。
出だしは、筒井ばりのナンセンスな出来事から始まる。主人公(男)が、電車に乗っていると、いきなり全裸の中年男が現れるのだ。次に違う男が服を脱ぎ出し、しまいには、前の席の眼鏡の女子高生まで……。と、ここまででもビックリ展開ですが、その後は奇想に次ぐ奇想。なるべくネタバレしない程度に触れると、話はゾンビ映画になり、メタモルフォーゼを予感させ、ノアの洪水、新人類創生と続いていく。まさか、そこまで、どこまでいくの? 何がどうなるの? どうしちゃったの? まさか筆まかせじゃないよね。
まあ、読み切りましたが、疲れましたです。私がファンタジーとかSFが苦手なのは、現実の日常的なリアル感がないというか、薄いというか、そこなので、そういう生活の実感から離れていけば離れていくほど、読むのが辛い。だもんで、読んでて、なんか早く終わらないかなあ感が出てしまいました。けど、逆に、日常のチマチマしたリアルから離れるところに読書の面白みを感じる人は、本作はとても面白いと思います。
私は、もういいかな。
