読書感想-高瀬隼子さん『おいしいごはんが食べられますように』
高瀬隼子さん『おいしいごはんが食べられますように』を読みました。
noteやほかのSNSで、このタイトルを見かけては、ずっと気になっていた本です。でも私は、小説が苦手マンなのです。
実用書とか、ビジネス書やエッセイは大丈夫なのに、小説だけは苦手で・・・登場人物が覚えられないんです。
苦手意識があるので、読み始めるまでに、ものすごく時間がかかる。
薄い本なのですがねー。なにせ登場人物が覚えられないんですよね。
でも、なんとか読みました。
そんな私がこの本を読むことになったきっかけは、私が隔月で主宰している「テツガク対話会」でした。
https://uns.uukk.jp/dkm2025/
前回の対話会で、参加者のひとりがこの本について、
「こんなにハラハラしながら読むごはんの話ははじめて」
と言っていて、その感想に惹かれ、その場でAmazonを開いてポチッと購入しました。
そして読んでみたら、たしかにハラハラする。
私は、芦川さん苦手派でした。たぶん、羨ましいんでしょうね。
ああいう、どこに行っても可愛がられて、誰かに気にかけてもらえて、自然と優遇される人が。
私はどちらかというと、押尾さんのように仕事を頑張ってしまうマンで、「可愛い」からはずいぶん遠いタイプです。
だから、芦川さんを見ていると、なんとも言えないモヤモヤがある。
「なんでこの人ばっかり」と思ってしまう気持ちも、わからなくはありません。
だけど、だからといって押尾さんに共感できたかというと、そうでもない。
たぶん私は、押尾さんも苦手です。
そして二谷さんも苦手でした。
きっと、分かり合えないだろうと思う。
だって私は、食べることがとても好きなのだもの。
おいしいものを食べることは、私にとってかなり大事なことです。
だから、食べることにあまり楽しみを持てない二谷さんの感覚には、ちっとも興味を持てませんでした。
つまり私は、この小説に出てくる誰にも、あまり共感できないまま読み終えました。
ところが、それで終わらなかったのです。
二谷さんの、物事を真正面から見ないような姿勢。
少し離れたところから人を眺めて、人生そのものをどこか冷めた目で見ている感じ。
そこだけは、なんとなく分かってしまった。
食べることについては、まったく分かり合えない。
人との関わり方にも、たぶん共感できない。
なのに、世界を少し斜めから見てしまうところだけは、「ああ、ちょっとわかる」と思ってしまった。
それが困る。
誰にも共感できない小説だったはずなのに、完全に他人だと思える人もいなかった。
芦川さんを苦手だと思う自分の中には、「可愛がられる人」への羨ましさがある。
押尾さんを見れば、仕事を頑張ることで自分の居場所を作ろうとする姿に、まったく身に覚えがないとも言えない。
二谷さんには共感できないと思いながら、人生をちょっと冷めた目で眺めてしまうところだけは、分かってしまう。
たぶん、この小説を読んでいてヒヤヒヤするのは、登場人物たちが嫌な人だからではないのだと思います。
自分とは違うと思って読んでいるのに、ときどき、自分の中にもある嫌なものを見つけてしまうからなのかもしれません。
そしてタイトルは、『おいしいごはんが食べられますように』。
こんなにやさしい言葉なのに。読み終わったあとでは、ずいぶん違う言葉に見えてしまいました。
あ!9月13日の文学フリマ大阪に出ます!!
大阪ずっと行きたかったので楽しみですー♪
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