【SNK】解読班【SNK】
少し前に、
「FAXでやり取りをしていた時代は伝達ミスが起きやすい」
という記事を書いたことがあったが、今回はぼくが各種ノベライズの作業中に直面したそれらの実例をいくつかお見せしよう。いや、伝達ミスはしていないが、これはミスが起きてもおかしくないよな、という好例(?)をいくつかね、サクサクっと。
おおまかな流れとしては、まずぼくが、執筆時に必要な質問事項を編集部に投げ、それを編集部がSNKに問い合わせ、それに対する回答をSNKが編集部へ戻し、それからようやくぼくのもとに戻ってくる、というカンジ。つまり、行きも帰りも2回ずつFAXの洗礼を受けていることになる。

まずはこれ。『2001』のノベライズの際、ネスツの宇宙要塞に名前は設定されていますか? サイズは? みたいな質問に対して、要塞はエイダス、優勝チームをエイダスまで運んでいく飛行船がキボンヌである、と回答してくれている。これはまあまだ読みやすいな。いやでも、Q9-1とかQ9-2というのがジャギジャギしていて判りにくいか。
どうでもいいが、2000メートル✕3000メートルサイズの人工衛星だと、たとえ分裂させずにそのまま地球に落としても、破壊の悪魔にはなれないぞ、イグニスくん。6400メートル✕40000メートルのアイランド・イフィッシュを落としても、直接的には人類総人口の半分も減らせないんだ。ひとつ賢くなったな!

お次も同じく『2001』。この時は2冊同時刊行だったので質問も多かったと記憶している。謎の縦線が上から下までずっと入っているのがFAXあるある。これでもまあ、どうにか読めなくもないかな。
A)11は各ステージのモデルとなった土地はどこですか? という質問に対する回答で、A)12は試合開始時のフォクシーの「クリティッカー!」というボイスの意味は何ですか? に対する回答。もしかすると、あのサーベル=クリティッカーという情報は、これまでムックなどに掲載されたことはないかもしれない。

こちらは『97』の時の質問に対するアンサー。目立つノイズはないが、代わりになぜか何も印刷されない幅数ミリの真空地帯ができている……。当時はこれをどうにか解読して仕事をしていたのである。
で、地味に面白いのがこのA5)。質問自体は、ゲーニッツに「吹き荒ぶ風の〜」という二つ名があるならオロチチームの3人にはどんな二つ名があるんですか? というものだが、返答があったこの時点(1997年9月1日)では、まだ社だけ二つ名が決まっていなかったとのこと。ごめん、急かしちゃった?
まあ、今はたぶん意図的にこうしたパロディ要素は排除しているんだろうけどね。

そして最後はこれ。97年のアタマくらいにぼくがどうしても『餓狼』関連の仕事をしたくて、『RBSP』にかこつけた企画をファミ通文庫を通してSNKに打診したのだが、当時のSNKは、どうやら某音羽系大手出版社と仲がよかったらしく、
「そっちでやるのはいいけど、これとこれとこれはあんまり触れないでね、そのへんはこっちでドーンとやるから!」
というような感じで突き放されてしまった。しかしそれでも、企画書につけたいくつかの質問については何だかんだで返答してくれているのがありがたい。さすがは人斬り。
回答1はいうまでもなく、テリーのエンディングにくっついてきているあの少年は誰ですか? という質問への答え。今なら「そりゃロックだろ」と誰でも答えられるが、『MotW』発表前のこの時点では、まだ名前もなかったはずだしね。
回答2はクラウザーが生きているのはなぜ? に対する回答。まあ、でしょうね、としかいえない。
そして回答3、4は、ビリーとリリィに関する質問への回答なのだが、何かもうすごくたくさん書いてくれている。本当にありがたい。ありがたいのだが、「やるならオリジナル色の強いリリィでやって」といわれてしまったので、この時点でもう、「……じゃあもういいや」となった。
何というか、ぼくはノベライズをする時には可能なかぎり設定に忠実にいきたいタイプなので、ゲーム中に出てくるキャラクターにオリジナル色を出して登場させるということをしたくない。あとで答え合わせのような感じで「こいつのリリィは解釈違い!」とかなるのが嫌なのである。
なので、
「判りました……それでは『餓狼』については一ファンとしてその『正伝』とかいうのを楽しみに待つことにします……代わりに今年も『KOF』書かせてね?」
という感じで、これ以降、ぼくはしばらく『KOF』ばかりやることになるのだが、それでもこの時SNKに提出したプロットを捨てるのが惜しくて、かなりあとになってから、SNKの公式ケータイ小説としてちゃんと完成させることができた。iモードだのEZWebだので展開していたものなので、残念ながら今は読めないわけだが。
今はどうなのか判らないが、当時のFAXをめくってみると、やはり旧SNKはいい意味で細かったな、という気がする。「真吾が鉢巻を〜」みたいな表現に対して、「あれは鉢巻ではなく細く折ったバンダナです」とかすぐにツッコミを食らったのもよい思い出。
