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(75)重ならない歩幅

 年末、テレビで「1月3日から愛知県美術館で『ゴッホ展──家族がつないだ画家の夢』が開催される」という告知を観た。 「ああ、これだ。これなら家族全員で行ける」と思った。

 9年前、同じ愛知県美術館で開催された「ゴッホとゴーギャン展」に、家族5人で行ったことがある。 叔母とお義母さんの長い介護生活が終わり、私が自由な時間にようやく慣れ始めた頃のことだ。

 その後、ケンは高校と大学の中退を経て、同じく中卒のリュウと肩を並べるようにひきこもりとなった。私のブログの象徴でもあった「7人家族」が「5人家族」になってから、我が家はますますバラバラになっていった。互いに何を考えているのか分からず、口を開けば喧嘩になった。

 当時、「ゴッホとゴーギャン展」の詳細を確認すると、ダンナが好む晩年の作品は展示されないと知り、私は一人で行くつもりでいた。しかし、メイが
「私も行きたい」
と言い出し、ケンとリュウまで
「ゴッホ大好き」
と乗ってきた。結果、家族全員で行くことになったのだ。 「家族でお出かけ」という、世間では当たり前の風景が、我が家では「まず無理」な難題であることに私は慄(おのの)いた。

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