「頑張らなきゃ」が、癖になっていた。
「頑張らなきゃ。」
これが、癖になっていた。
資格勉強をしていて、ふと時計を見たら、もう14時を過ぎていました。
お昼ごはんを、食べ忘れていたんです。
「いい調子だ、順調だからこのまま頑張ろう。」
一見、ポジティブな言葉です。
でも、わたしは、この言葉が落とし穴になることを、知っています。
前に、同じ気持ちのまま、突っ走ったことがありました。自分の世界だけで、頑張っていたんです。
隣にいた人のことを、ちゃんと見ないまま。
「順調だ」と思っていたのは、わたしだけでした。
――あの話は、また別の場所で。
一度は、感じたことはありませんか。
「やり遂げたい。」
「今、この波に乗っていたい。」
順調なときほど、なぜか手が止められなくなる。
机に向かったまま、ふと我に返って。
「これ、ちょっとやりすぎじゃないか。」
そう思ったのに、椅子から立てませんでした。
もったいない気がして。ここで止めたら、この調子が二度と戻ってこない気がして。
結局、あと10分、あと10分、と言いながら、気づけば30分が過ぎていました。
迷うくらいなら、いっそ離れてしまおう。
そう思って、ようやく机を離れました。
何も決めずに、近所を歩いてみることにしたんです。
歩いて少し行くと、川沿いに出ました。
曇り空が、川面にぼんやりと映っています。
見渡す限り、田んぼが広がっていました。
これから大きくなる稲穂が、視界の奥まで、ずっと続いている。
遠くに見える民家は、かすむくらい小さくて。
その景色を眺めながら、頭の中の「やらなきゃ」が、少しずつ、遠くにいく感覚がありました。
「順調な時ほど、今すぐやりたくなる。」
「やるべきこと」なんだから、「やりきる」ことは、いいことだと思っていました。
でも、案外、
「今すぐじゃなくていい」
そんなこともあるんじゃないか。
できた時間で、何かをしてみる。
そうすると、今まで見えていなかったものが、見えてくることがある気がします。
たとえば、この、曇り空を映す田んぼの景色みたいに。

