詩「蜘蛛の糸」

いっそ
投げ捨ててしまえたらいい
重たい記憶

憎む力もなく
壊す気力もなく
ただ時だけが重なった
重たい荷物

光を浴びせれば
反射するプリズムの
七色の輝きに
少し
少しずつ

腐りかけた傷口が
癒えてきた頃
………

どこかで
誰かが
大きな風呂敷をひろげて

一人ではどうにもならなかった
それぞれの哀しさを

安らかに包んで

静かにしまってくれた

優しい絹の閉まる音がした


どんな言葉も
慰めも
何も届かない世界の隅で

どんなに考えても
変えようと努力をしても

どうにもならないことがある

一人では
自分だけの力では

どうしようもないことがある

ひたすらに
重たい荷物を背負ったまんま

歩き続けなければならない

終わりの見えない道を

……、



憂鬱さと
気だるさと
もう 夢さえみなくなった
重たい身体

迷子のうちはまだまとも。



もう
望むことさえ忘れた頃

私の伺い知らぬところで
大きな風呂敷をひろげてくれた人がいた

決して交わることのなかった
哀れな重い出たちを
やっと
包んでくれた音がした

天から伸びた蜘蛛の糸

観音様の掌が

慈悲の心が

やっとわたしを見つけてくれた




観音様の掌で

やっと休める

蜘蛛の糸