葵。解ける鎖:第三章_支配された身体
第三章 支配された身体
葵は、そのまま意識を失うように眠りについてしまった。
―――翌朝。
スマホを見ると、突然音信が途絶えて驚く彼のメッセージ、
「いっちゃったんだね……葵ちゃん、おやすみ」
と最後に書かれていた。
―――夜。
長年閉じ込めていた欲望の扉を開け放つように、葵の身体は男の存在を欲していた。
昼間の仕事中も、ふとした瞬間に昨夜の感覚が脳裏をよぎり、下腹部が甘く痺れるような覚醒を繰り返していた。一度覚えてしまった強い刺激と解放感は、日常の退屈な時間を容赦なく塗りつぶしていく。
シャワーを浴び、ベッドの上に腰を下ろした時には、すでに理性の葛藤など形骸化していた。
スマホを握り、昨夜の男を探す。
画面をスワイプする指先が微かに震え、画面の明かりが暗い部屋の中で彼女の横顔を妖しく浮かび上がらせる。
『葵ちゃん、待ってたよ』
アプリを開くと同時に届いたその通知を目にした瞬間、葵の息が思わず詰まった。
(ダメなのに……ダメだよ、こんなの……)
頭の片隅で鳴り響く警鐘を無視して、彼女の指は自ら返信の画面を開いていた。
「昨日は……ごめんなさい」
「いけない娘だね……。でも許してあげるよ」
画面に躍るその不躾で尊大な言葉に、葵の心臓がどくんと大きく跳ね上がった。
上から目線の不快感など微塵も湧いてこない。むしろ、自分の過ちをあっさりと受け入れられ、優しく甘やかに縛り付けられたかのような感覚が、溜め込まれていた熱をさらに激しく燃え上がらせていく。
(許してくれる……私を……)
「ありがとうございます……」
震える指でそう打ち込み、送信する。
画面の向こうの男は、葵が完全に自分の手の中に落ちていることを確信しているのだろう。間髪入れずに次の要求が届いた。
「許してあげるけど、今夜は声を聞きたいな」
文字の並びを目にした瞬間、葵の息が思わず詰まった。
文章や画像を見せ合うだけではない、直接自分の声を届けるという新たな一線。
誰にも聞かせたことのない、密やかな部屋の中で漏れ出る惨めで淫らな吐息を、顔も知らない男に晒してしまう――その想像だけで、下腹部の奥がキュンと甘く締め付けられた。
(声……私の声を、聞きたいの……?)
昨夜の狂おしい快感と、全身を包んだ背徳の温度が鮮やかによみがえる。喉の奥がカラカラに乾き、浅い息が漏れ出した。もう自分を止める術など、どこにも残されていなかった。
「090−……待っているから、非通知で良いよ」
画面に表示された数字の羅列が、葵の視線の先でゆらゆらと揺れて見えた。電話番号――つまり、これまで画面の向こうにいただけの男が、現実の声で、現実の言葉で、自分を呼ぶ合図だ。
(非通知……それで良いって、どういうことなの……)
その一言が、罪悪感の壁をあっさりと溶かしていく。ダメだ、これ以上はいけない――頭の中で警報が鳴っているのに、指は勝手に「184」を押し、非通知設定を加えてから最後の数字を打ち込み、発信ボタンへと伸びていた。
呼び出し音が一回、二回……三回目の途中で、スッと音が途切れた。
「……はい」
低く、ゆっくりとした声が、耳元から直接響いてくる。画面の文字ではない、生の声。それだけで、葵の全身が小さく震え上がった。
「あっ、……は、はい……葵です」
自分の声が、これほど頼りなく、か細いものだったなんて。言葉を発した瞬間、耳の奥まで真っ赤になるのがわかった。
「うん、聞こえてるよ。よく来てくれたね、葵ちゃん」
その声は甘く、それでいてどこか確かな手ごたえを含んでいて――まるで、最初から彼女が電話をかけてくることを知っていたかのようだ。
「……すみません、電話なんて……」
「謝らなくていい。だって、葵ちゃんも声を聞きたいって思ったから、電話してくれたんだよね?想像通り、いや想像以上に可愛らしい声だよ」
問いかけるような言葉に、反論することができない。否定しようとすればするほど、自分の心の奥底にある渇望が、はっきりと浮かび上がってくる。
(そう……私、話したかったの……誰かの声が、聞きたかったの……)
「……はい」
小さく、それでいてはっきりと、そう答えていた。
「さあ、もっと近くに耳を寄せて。俺の声、ちゃんと届いてる?」
「……はい、聞こえてます」
「それで、葵ちゃんは今、何を考えてるの?」
そう問われて、言葉に詰まる。頭の中はぐちゃぐちゃなのに、言葉にしようとすると何も出てこない。ただ、胸の奥から下腹部にかけて、じんわりと熱が広がっていくのだけは確かだった。
(何を……って……あなたのことを、考えてる……)
「……わからない、です」
「なら、今の格好は?服装……」
(…………。)
「教えて、葵ちゃん。」
「パジャマ。ワイシャツだけです……。水色の。」
「やらしい格好だね……まるで待ち構えていたみたい」
「そっ、そんな事ないです!もうシャワー終わってるし……」
「ふふ……。これからはね、俺が言う通りにして、イメージをするんだよ、葵。」
もう引き返すなんて出来ない。暗黙の内の了解で、葵自身も全てを受け入れる用意ができていた。
「葵……キスするよ」
耳元で彼の唇の音、水っぽい音が響く。目を閉じると、本当に彼がいるような錯覚に陥り、再び葵の身体が熱く燃え上がるのが分かる。
「んっ……」
葵の喉が反射的に鳴る。
「ほら、俺の手が……ゆっくり葵の胸の上に乗っているよ」
葵は、自分の意思ではなく言われるがままに、スマホを持つ手ではない左手を服の上に乗せた。
薄いワイシャツの布地越しに触れる自分の体温。しかし耳元から注がれる男の低い声は、それがまるで自分以外の誰かの手であるかのような錯覚を葵に与えていた。
「どう? 俺の手?ゆっくりだよ、そっと……。葵の胸の鼓動、指先にまで伝わってくるよ」
「あ……っ……」
男の言葉に導かれるように左手に力を込めると、指先がゆっくりと自分の胸の膨らみを押し込む。小さく吐き出された吐息が、スマートフォンのマイクをかすかに揺らした。
「そう、上手にできてるよ。もっと強く触ってごらん……俺が触っていると思って」
耳元で聞こえる甘い囁きと、自分の手がもたらす触感が脳内で複雑に混ざり合っていく。理性の糸はもう完全に途切れ、葵の身体は男の指先のイメージに従うだけの存在と化していた。
「ん……ぁ……っ……」
「いい声だ……。葵の息遣い、すごく近くに感じる」
「……はぁ、……ほんとうに……触られてる、みたい……っ」
「そうだよ、葵。今夜は俺の言葉通りに動くだけでいい……。その前に、スマホをスピーカーに切り替えて。両手が自由に使えるようにね、」
言われるがまま、葵は震える手で画面をタップし、通話をスピーカーへと切り替えた。耳に押し当てていなくても、男の低く艶やかな声が静かな部屋の中に直接響き渡る。
「……これで、いい……?」
「いい子だ。……ゆっくりボタンを外していこうか」
指先が震えながらも、一番上のボタンへと伸びる。
「こっ、これでいいの……かな?恥ずかしいよ……」
「いいんだよ、葵。すごく可愛い……。一つずつ外して、その胸を俺に見せるみたいに晒していくんだ」
スピーカーから流れる甘く包み込むような声に背中を押され、葵はボタンを穴からすべり出させた。胸元がふわりとはだけ、首元に夜の冷ややかな空気が滑り込む。
「ん……っ、ひとつ……外したよ……」
「そう、偉いね。……じゃあ、二つ目も」
躊躇いながらも指先を下げていく。二つ目、三つ目とボタンを解くたびに、はだけた薄手の生地から彼女の熱を孕んだ肌が露わになっていく。一線を越えてしまった感覚と、もう戻れないという背徳感が、葵の下腹部にさらなる熱を深く、重く沈めていった。
葵の柔らかく白い膨らみが部屋に露わになり、その頂点は触れられるのを待つように、硬く主張をしているのが見るだけで分かる。
「じゃ、ゆっくり……優しく、包み込むように触るよ……。あぁ葵の胸……柔らかくて、可愛いよ。」
スピーカー越しに落ちてくるその甘く湿った声に促され、葵は両手で自分の素肌をそっと包み込んだ。自分の体温のはずなのに、頭の中では男の大きな手が優しく自分を撫で回している光景が鮮明に浮かび上がる。
「ん……ぁ……っ、すごく……熱い……です……っ」
「熱い? そう、もっと感じて……手のひら全体で、包み込むように……」
言われるがままに両手に力を加えると、柔らかい肉が指の隙間からこぼれ落ちる。ダイレクトに手に伝わる熱と皮膚の質感に、葵はうっとりと瞳を細め、ベッドの上で小さく身悶えた。
「ほら、葵の可愛らしい乳首に指先が乗ってる……わかる?」
「あん……わかるよ、ダメ……声出ちゃうから、」
「いいんだよ、声を出して……。二人だけなんだから……もっと教えてごらん」
男の言葉に背中を押されるように、自身の指先がツンと硬く尖った頂点を優しく撫で上げる。それだけで脊髄を突き抜けるような強い刺激が駆け走り、葵は思わず口元を手で覆ったが、密やかな部屋の中にその甘い悲鳴ははっきりと響き渡っていた。
「指の間に挟んで……そのまま葵のを揉むよ、強く、軽く……」
葵の身体がビクっと跳ね上がる。
「んっあ……ん。」
「すごく良い反応だね……。指を滑らせて、もっと奥まで……そう、力加減を変えながら……」
受話器から流れる男の囁きは、まるで本当にその場にいて指示を出しているかのようなリアリティをもって彼女を支配していく。自分の手が男の手へと完全に置き換わった錯覚の中で、葵は抗うすべを失い、さらに深く背徳の快楽へとおぼれていった。
「ふふ……可愛いよ、葵。今度はいったん手を離して。」
「えっ?」
高ぶる気持ちに突然の事に戸惑う葵。
「今度はね、太もも、お腹、脇腹……だけを指先が這うんだ。触れるか触れないか……軽く、そっと……全身をだよ。」
「えっ……だっダメなの?」
「ダメじゃないよ。おあずけ。身体の表面を、羽で撫でるみたいに……焦らすように這わせてみて」
焦燥感に喉を鳴らしながらも、葵は男の言いつけ通りに胸から手を離した。震える指先を太ももの内側へ降ろし、そこからお腹、脇腹へと、なぞるようにそっと這わせていく。
触れられているのかどうかさえ曖昧な微かな刺激。一番触れてほしい場所を焦らされるもどかしさが、かえって葵の肌を極限まで敏感にし、全身の皮膚にゾクゾクとした歓喜の波を伝わらせていった。
「はぁ……ん、はぁ……。」
直接は触れていないのに、自分の指先なのに、快感の波が全身を襲い、下半身……葵自身の部分がヒクっと熱く動くのが分かる。
「いいね、すごく感じているのが分かるよ。焦らされて、もっと欲しくなってきた?」
「っ……はい……もう、我慢できないです……っ」
「ふふ、じゃあ……また胸に戻ろうか。今度は俺の舌で舐めてあげる。……ほら、スピーカーから聞こえるだろ?」
「ぴちゃ……じゅぷ……っ」
スピーカー越しに、男が唇や舌を鳴らすリアルで生々しい水音が静かな部屋に直接響き渡る。まるで男の濡れた舌先が自分の素肌に直接触れ、胸の先端を舐め回されているような錯覚に囚われ、葵は耳から侵入してくる音だけで息を甘く乱していった。
「あ……ふぁ……っ、ダメ……やらしいよ、そんなの……っ」
鼓膜を揺らす水音と自分自身の身体の熱が混ざり合い、葵の口からは湿り気を帯びた高い喘ぎがこぼれ出る。浅く速い吐息がマイクを揺らし、抑え込もうとすればするほど、喉の奥から切ない吐息が漏れてしまう。
「ん……ぁ……つ、エッチな音……身体の奥が、すごく熱い……っ」
耳からダイレクトに注がれる官能的な響きに、脊髄をゾクゾクとした痺れが駆け抜ける。葵は乱れる息を整えることもできず、ただスピーカーから吐き出される音の波に呑み込まれながら、熱く痺れる快感の渦の中で何度も途切れ途切れの悲鳴をあげていた。
「甘噛みするよ……爪先で、つねって」
男の低く命じるような声が、部屋の空気をいっそ濃密に塗り替える。
「あ……んっ……爪、で……?」
「そう、歯で優しく噛むみたいに……少し強めに、キュッと挟んで」
葵は息を呑み、震える両手の爪先を硬く尖った頂点へとあてがった。言われた通り、歯で噛みつかれるイメージを思い浮かべながら、力を込めて小さく摘まみ上げる。
「あぁっ……痛い……のに、すごく……っ」
「いい声だ、葵。痛いのと気持ちいいの、混ざり合ってるだろう?」
「っ……はい……歯で、噛まれてるみたい……んぁっ!」
爪先から伝わる小さな痛みが、かえって身体の奥に眠る痺れを何倍にも増幅させて引き出していく。鋭い刺激が突き抜けるたび、葵の腰がベッドの上で跳ね、マイクに拾われた高い喘ぎ声が部屋中に甘く響き渡った。
「さぁ……ゆっくり、ゆっくり、手が、指先が下にさがるよ。」
スピーカーから落ちてくる言葉の重みに、葵の身体がキュンと強張る。
「下……って……?」
「わかってるくせに。胸からお腹を通って……葵の一番熱くて、湿っているところまでだよ」
「あ……っ……」
やっと触れられる期待に、葵の中の痺れが頂点に達し、自然と腰が動いてしまう。
「ふふ、待ちきれないみたいだね。腰が浮いてるよ……俺にそこを触ってほしいって、身体が叫んでる。どこを触って欲しい?どうして欲しいか言ってごらん?」
「んあ……つ……そこ、です……っ」
男に問い詰められ、葵の顔が真っ赤に染まる。恥ずかしさで口を閉ざしたいのに、下腹部の奥から突き上げてくる激しい疼きがそれを許さない。
「葵の一番熱くなってるところ……私の中に、触れてほしい……っ」
「もっとハッキリ言って。どうしてほしいの?」
「あっ……んぅっ、指で……撫でて……っ。優しく、いっぱい……いじめてほしいです……っ!」
「まだだよ……葵の入口、縁の形を確かめたいから、撫でるだけだよ、その唇の部分を」
焦らされる言葉に、葵の口から切ない吐息が漏れる。理性のタガが外れそうなほど熱く萌した最深部をじらすように、彼女の指先は指示された通り、やわらかな縁のラインにそっと触れ、優しくなぞりはじめた。
「あ……っ、んぁ……つ……っ」
溢れ出る密液で濡れた指先が、やわらかな肉の縁を滑るたび、葵の喉からは押し殺しきれない甘い悲鳴がこぼれ落ちる。
「んふぅ……っ、あっ、だめ……撫でられてるだけ、なのに……っ」
スピーカー越しに聞こえる男の荒い息遣いと、自分の指先が擦れ合う生々しい水音。その二つの音が耳から脳へと直接響き渡り、葵の声をいっそう淫らに乱していく。
「あぁ……んっ! あ……声……出ちゃう……っ、やぁ……んっ……」
浅く荒い吐息がマイクを揺らし、切なく震える喘ぎ声が、密やかな部屋の空気を甘く重く満たしていった。
(撫でるだけじゃ……嫌……っ、お願い……我慢できないよ、)
表面を優しくなぞられるだけの焦らしに、葵の頭の中は狂おしいほどの渇望で塗りつぶされていく。奥の奥、最も熱く疼く場所がぽっかりと空洞になったかのように、激しく男を求めていた。
(指でもいい……お願いだから、私の中を満たして……っ!)
自らの指先を奥へと押し込みたい衝動に駆られながら、葵は熱く濡れた瞳でスマホの画面を見つめ、受話器の向こうの男へすがるように甘い切望の吐息を漏らした。
「ねぇ……おねがい……っ。入り口だけじゃ、足りないの……っ。私の中……奥まで、指を入れて……激しく犯してほしい……っ」
「なら先ずは、その敏感なクリだけだよ……中指の腹で、ゆっくり押しながら回すように」
「あ……んっ、それ、それ……だけ……っ?」
おあずけを食らったような切ない声が葵の喉から漏れる。中まで満たされたいという強い渇望を抱えたまま、彼女は震える手で自身の指先を微かな突起へとあてがった。
「そんな……そんな触り方だめ!凄い!」
指示された通り、中指の腹でゆっくりと押し込み、円を描くように滑らせた瞬間、脊髄を突き抜けるような強い刺激が体を駆け巡る。硬く尖った先端が擦れるたび、溢れ出た密液が小さな水音を奏でた。
「あっ……んふぁ……っ!すごい……っ」
一番敏感な場所を直接弄られる快感に、葵の腰がベッドの上でぴくりと跳ね上がる。奥を満たしてほしい焦燥感と、突起から押し寄せる強烈な快楽の波に挟まれ、彼女は乱れる息を抑えることもできず、高く甘い悲鳴を部屋中に響かせ続けた。

「さぁ、指を……中指と人差し指を、葵の口に入れて……俺のだと思ってしゃぶりながら、続けて」
「んっ……口に、入れるの……っ?」
受話器から落ちてきた背徳的な命令に、葵は息をのんだ。片手で敏感な突起を円を描くように押し回したまま、もう一方の手の指先を唇へと近づけていく。
「あむ……っ、んじゅ……っ、ちゅぷ……っ」
言われるがまま、中指と人差し指を舌の上に滑り込ませた。自分の指だと分かってはいるのに、男のものを口に含まされている錯覚が脳を痺れさせていく。
「んむっ……んぁっ!じゅる、っ……あ……っ!」
口内で指を激しく舐めしゃぶり、生々しい水音をマイクに響かせながら、下腹部への刺激を弱めることなく続けていく。耳元で聞こえる男の荒い吐息と、口いっぱいに広がる背徳の感触に支配され、葵の吐息はどこまでも甘く狂おしく乱れていった。
「あぁ……葵、やらしい口だ、気持ちいいよ……もっと深く」
「んっ……んむぅ……っ、ちゅぷ……じゅるっ……」
男の言葉に煽られるように、葵は二本の指をさらに喉の奥深くへと滑り込ませた。指先が舌の根元を押し込み、息が詰まるような圧迫感と強い苦しさが襲うが、それがかえって背徳の快感を一層激しく燃え上がらせる。
「んぐっ……ふぁ……っ、あむ、じゅぽ……っ!」
息を乱しながらも、指先を熱い唾液で濡らし、男のものを奉仕しているかのように懸命に舌を絡め続ける。口内を突き上げる生々しい水音がスピーカーのマイクに直接拾われ、密やかな部屋の中に淫らに響き渡った。
「んぁっ……! あ……っ、奥……奥まで、入ってる……っ」
口の中を満たされる不自由さと、下腹部を押し回され続ける強烈な刺激。上と下から同時に与えられる快楽の波に呑み込まれ、葵は目尻に涙を浮かべながら、必死に指をしゃぶり続けた。
(嫌だっ……私、何やってんだろ、でも止められないよ)
頭のどこかで理性の声が小さく叫んでいた。顔も知らない男の命じるままに自らを弄び、淫らな声を晒している現実。その背徳感と恥ずかしさに押し潰されそうなのに、下腹部を貫く激しい快感はさらに熱を増し、自ら指を動かす手を止めることなどどうしてもできなかった。
「さぁ、葵……次は何して欲しいの?」
スピーカー越しに投げかけられた、彼女の願望を試すような男の低い声。
「んふぅ……っ、はぁ……っ、あむ……っ」
葵は口から指をすっと抜き取り、唾液で糸を引く唇を震わせながら、切ない眼差しでスマホを見つめた。
「もう……がまん、できないです……っ。お口でぬらした指で……私の中……一番奥まで、激しくかき回してほしい……っ!」
「そうなの?……舐めてあげたいのに?」
低く濡れた囁きがスピーカーから零れ落ちた瞬間、葵の全身に激しい電気が駆け抜けた。
「あっ……! んぁっ……!」
直接、男の熱い舌でそこを舐め回される凄絶な妄想が脳裏に溢れ出す。指で弄られることすら耐えがたいのに、男の唇と舌で愛撫されるイメージは、葵の全身の皮膚をぞわぞわと粟立たせ、最深部の熱を爆発させるのに十分すぎるほどの威力を秘めていた。
「お願いします……なめて、舐めて下さい」
理性のタガが完全に弾け飛び、葵の口から惨めで切ない乞い願う声が溢れ出た。顔を真っ赤に染め、脚を大きく開き、見えない男の舌を迎えるように腰を震わせる。
「……あぁっ、そこ……!舌で、すくい取るみたいに……優しく、激しく舐め回して……っ!」
存在しないはずの男の温かい吐息と湿った舌先が、自分の蜜に濡れた最深部に直接吸い付く感覚を鮮明に思い描き、葵の喉からは今までで一番高く、淫らな悲鳴が部屋いっぱいに響き渡っていった。
「びちゃびちゃ……ジュルジュル……っ」
「はぁ……あぁ、葵、すごく甘くてやらしいよ……」
「ジュプ……じゅるっ……びちゃっ」
スピーカーから吐き出されるのは、先ほどとは比べものにならないほど濃厚で生々しい水音。男が欲望を露わにして秘部を舐め貪る「びちゃびちゃ」「ジュルジュル」という下品な響きが部屋中に充満し、その合間に混ざる男の興奮した熱い吐息とため息が、葵の鼓膜を力強く震わせる。
「あぁっ……! そんな音出さないで……っ! ジュルジュルって……びちゃびちゃって聞こえる……っ! んあぁっ!」
音だけで胸の奥がキュンキュンと苦しいほど締め付けられ、葵は自ら自分のものを指先で開き、真ん中の花芯に指先を押し付け、腰を上下に揺らした。受話器の向こうの男が溜め息を漏らすたび、まるで首筋に熱風を吹きかけられているような錯覚に囚われ、彼女は完全にその官能的な音の波へと没頭していった。
「もうお願い……お願いだから中に……中を埋めて、かき混ぜて!」
これ以上の焦らしには耐えられないとばかりに、葵はなりふり構わず甘く情けない声を張り上げた。先ほどまで口内でたっぷり唾液に濡らしていた自身の二本の指先を、一切の躊躇なく、熱く萌え立つ最深部の入り口へと宛がう。
「あぁっ……! んく……っ、はいっ……入っていく……っ!」
キュッと窄まった入口を押し広げ、滑らかな水音とともに二本の指が奥へ奥へと潜り込んでいく。内部をギチギチと満たす異物感と、自分自身の唾液と密液が混ざり合う感触に、葵は背中を大きく反らせ、狂おしいまでの歓喜に全身を震わせた。

「入ったよ……俺のが、気持ちいい……葵の中。締め付けてくるよ……ハァハァ」
耳元で重く響く男の荒い吐息と、言葉の暴力のような支配感。己の体内に潜り込んでいるのが自分自身の指ではなく、男の熱く太い剛直そのものであるかのように、葵の脳内は淫らな妄想で完璧に塗りつぶされていく。
「あぁっ……! はい……っ、入ってます……っ! すごいの……固くて、熱いのが……私の中を、ギチギチに広げて……っ!」
呼吸を荒らげながら、葵は自ら膣壁をギュッと締め付け、男の剛直を締め上げるような仕草を見せた。内側から粘膜を力強く押し広げられる感覚に、瞳を揺らしながら甘い悲鳴を漏らし続ける。
「締め付けないで……葵の中、狭くて……すっごく温かいよ……ハァハァ」
「んぁっ……! あ……っ、だって……奥まで押し込まれて……勝手に、締め付いちゃうの……っ!」
男の荒い息遣いに追従するように、葵は挿入した指を根元まで一気に押し込み、うねるように膣内をかき回し始めた。溢れ出た密液がグチュグチュと生々しい水音を奏で、部屋の空気をいっそ濃厚な背徳の色へと染め上げていくのだった。
「中に入れたまま、上の壁を引っ掻いてみて……」
「はぅっ!いや〜だめって!ダメこれ。」
男の低く執拗な指示に従い、葵は挿入された指先を内部でくの字に曲げ、前壁のうねりを強くなぞり上げた。その瞬間、脳芯を直接撃ち抜くような激烈な快感が全身を貫く。
「あっ……んあぁっ! そこ、ダメぇ……っ! ひっかかれたら、おかしくなっちゃう……っ!」
指先が敏感な粘膜を引っ掻くたび、葵の背中はベッドから大きく浮き上がり、足先までピンと強張った。内側から直接擦り上げられる凄絶な痺れに、もはや喘ぎ声すら満足に形にならず、涙をボロボロとこぼしながら腰を無様に突き出し続けた。
「葵……いい声だよ、もっと聞かせて。俺のももう凄く硬くて……気持ちいいよ」
受話器から零れ落ちる熱を帯びた声と同時に、手元で発光するスマホの画面に一通の画像が受信された。
そこに映し出されていたのは、怒張し、血管を浮き上がらせて赤黒くそそり立つ男の極太な一物だった。
「ひぁっ……! んあっ……こんな……こんなの……っ!」
生々しく圧倒的な肉の塊を視覚から直接叩き込まれ、葵の体内に更なる衝撃が走る。画面の中の剛直と、今まさに自らの中を押し広げ、かき回している手指の感覚が完全に重なり合った。
「あぁっ……! すごいの……写真で見たら、もっと……っ! そんなに太いの入ってきたら……私、壊れちゃう……んぁぁっ!」
男の肉塊のイメージに脳を直接支配され、葵の内部は狂ったように収縮を繰り返し、溢れ出る蜜で指先をヌルヌルと濡らしながら、さらに激しく自らをかき回し続けていった。
「葵……締め付けてくるよ、やらしい女だ。最高だよ……」
「うん。もっときて……私、こんな女なの……もう壊して、お願い……」
「いくよ……葵の中に、中に出していい?」
「うん……出して!私の中に、沢山!」
葵は仰け反り、手足を突っ張って震え……意識が真っ白なっていった。
彼の吐息と自分の吐息が遠くで重なっていくのを聞きなが、深い底へ沈んでいく感覚だった。
その夜は、こうして終わりを迎えたが、二人の関係は形を変えつつ続いていく。
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