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円谷プロ系以外の実相寺昭雄作品を知ってますか?

今回は、映画監督・実相寺昭雄について少し書いてみたい。

実相寺昭雄(1937年~2006年)

皆さんもご存じ、あの「実相寺アングル」で知られる、レジェンド級の名匠ですよね。
この人がなぜ有名になったのかといえば、やっぱり庵野秀明の存在が大きいでしょう。
きっとレイアウトにおいて、庵野さんが最も影響を受けてるのがこの実相寺監督なのはほぼ間違いないかな、と。

なんかトンデモないところにカメラを置き、妙な画角の映像にしちゃうのが実相寺流なんだが、彼いわく「役者がヘタだから」そうしてたらしい(笑)。
その役者に演技力を期待しないというスタイルは、あのキューブリックにもやや近い。
・・あ、そこは庵野さんも同じだよな?
彼もまたどれを見ても早い台詞回しと早いカット割りで、ほとんど役者には演技する猶予を与えてない。

で、庵野さんは多分「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」をリアルタイムに見てた世代だと思うが、とはいえ彼は1960年生まれで「ウルトラマン」の時には6歳、「ウルトラセブン」の時には7歳。
・・う~む、6歳や7歳の子がテレビ見て「この画角はいい!」とか普通に感じるもんなんでしょうか?
正直、そのへんがよく分からんのですよ・・(笑)。

でもこういうの↑↑見てると、影響受けてるのはまず間違いないんだよなぁ。

で、こういう実相寺さんの作家性というのはどこからきてるのかというと、どうやらフランスの<ヌーベルバーグ>からの影響が強かったみたいだね。

で、彼は「怪奇大作戦」あたりで円谷プロでのお仕事を一旦ひと段落させ、1970年には日本版ヌーベルバーグとされるATG(アートシアターギルド)で長編映画を撮り始めます。

「無常」(1970年)監督:実相寺昭雄
➾ロカルノ国際映画祭グランプリ受賞

これね、見たことある人は非常に少ないでしょうけど、めっちゃ傑作です!

まぁホントにヌーベルバーグ的というか、70年代的な無軌道な若者の生き方を描いた系の内容ですな。
というか、この映画の主人公というのがホントめちゃくちゃ酷い奴で、作中の展開をいうとこんな感じ↓↓

①ある日、主人公は実の姉とSEXしてしまう

②姉との肉体関係はずっと続き、やがてその姉が妊娠する

③この近親相姦による妊娠を隠蔽する為、姉を家に住み込んでる若い書生の男の所へ夜這いに行かせる

④「妊娠したのは書生の子」ということにし、2人を結婚させる(でも、相変わらず姉との肉体関係は続行する)

⑤姉が出産した頃には一旦家を出て仏像彫師に弟子入りし、寺に住み込むようになる

⑥やがて、師匠の奥さん(←後妻ゆえ若い)とデキてしまう

⑦この師匠は、主人公と自分の嫁がSEXしてるの見ると創作意欲が漲り、めっちゃ仕事がはかどる

⑧やがて主人公は師匠公認で師匠の嫁とエッチするようになり、その流れで師匠も交えて3Pまで可能な状況になる

➈ある日、姉と恒例の野外SEXしてる場面を姉の夫に目撃される

➉姉の夫、ショックでその日のうちに自殺

⑪後日、無理がたたったのか師匠まで死亡する

⑫師匠の息子、「父が死んだのはお前のせいだ」として主人公を殺しに来る

⑬もみ合ってるうちに、主人公はその師匠の息子を殺してしまう

主人公は田村亮(ロンブーではなく、田村正和の弟の方)

ちょっと前まで「ウルトラマン」撮ってた監督とは思えん内容である(笑)。
だが、この年の「キネマ旬報ベストテン」邦画部門第6位にランクインしており、まぁ名作といっていいでしょう。
「実相寺アングル」の完成形といっていいほど映像の完成度は高い。
興味ある方はYouTubeで「This Transient Life 1970」検索すればフル動画を視聴可能です。
これは、間違いなく庵野さんも見てますね。

ただ、エロさではコレ↓↓も負けてません。

「曼荼羅」(1971年)監督:実相寺昭雄

これは実相寺監督の長編第2弾なんだが、もう開始早々アダルトビデオばりのベッドシーンなんですよ(笑)。
いきなりロケットスタートかよ、と驚いたが、「・・ん?このフルヌードでさっきからSEXしてる綺麗なオネーサン、何か見覚えあるぞ?」と思ったら

「ウルトラマン」のフジアキコ隊員ですやん!

フジアキコ隊員(演:桜井浩子)

なんていうかさ、この初代「ウルトラマン」の頃は私も生まれる前だし当時のことはよく知らんが、でもフジ隊員って当時のオトコノコたちにとってはマドンナ的存在だったのでは?
それが「ウルトラマン」から僅か3年後、こうして一糸まとわぬフルヌードでの激しい濡れ場を演じる女優になるとは、ちょっと常識では考えられない事態である(しかもこの作品、レイティングがR18だという噂が・・w)。

そもそもフジ隊員は、

今じゃフィギュア化されるほどのキャラだよ?

はい、フジ隊員のエロいステージでの頑張りに興味ある方は是非「曼荼羅」をご覧下さい。

さて、こうして映画ではフジ隊員を丸裸にした実相寺監督ですが、実は同年に彼はまた特撮テレビドラマに復帰を遂げています。
しかし、それは円谷プロのやつじゃなく、コレ↓↓です。

「シルバー仮面」(1971年)

うむ、正直あまりメジャーじゃないかもしれんが、ごく一部でカルト的人気を誇るともいわれる「シルバー仮面」。

<あらすじ概要>

光子ロケットの設計者・春日博士は、設計図を狙うチグリス星人に殺害され、自宅を燃やされてしまう。
春日博士の遺児5人からなる春日兄妹は、父がロケットエンジンの設計図を何らかの方法で隠したこと、次男の光二にシルバー仮面に変身する能力を与えていたことを知る。
父の遺志を継いで光子ロケットを完成させることを決意した春日兄妹は、光子ロケットを奪取して自らの宇宙制覇に利用しようと画策する宇宙人や、人類の宇宙進出を脅威に感じて妨害しようと暗躍する宇宙人などの様々な敵と戦う一方、出会う人々の無理解や冷たい視線に耐えつつ、父の協力者たちに会うために日本各地を旅する・・

シルバー仮面(次男)は柴俊夫

これは正直なところ、実相寺監督自身も後年に「失敗作」と回顧してる作品なんだが、いやいや、私は見るべき作品だと思ってます。
全26話の全部を見る必要はないにせよ、少なくとも実相寺さん自ら監督した第1話と第2話、このふたつは見るべきものだよな、と。

なんつーか、この頃の実相寺さんはATGで変なクセがついてて、思いっきりアートで前衛的な演出の仕方になっちゃってるんだよね(笑)。

聞けば、この1970年時点では「ウルトラマン」人気がやや下火だったのか、「ちょっと対象年齢層を上げていこう」という試みがなされていたらしいんだわ。
・・で、それもあって実相寺監督は「手加減ヌキ」でATG風に第1話/第2話の演出やっちゃったもんだから、もうスゴイよ(笑)?
「コドモにも分かるように」という親切設計を全く施してなくて、一番最初から何ひとつ説明なく5人兄弟が謎めいた集団と闘ってるシーンから始まるわけで、視聴者は兄弟たちの会話の内容から舞台状況を想像力で読み取っていかなくてはならんという超メンドくさい作り・・(笑)。
まぁね、こういうのも上記の「無常」や「曼荼羅」を見てる人たちならその文脈も多少理解できようが、これを「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の文脈の延長線上だと思ってた人たちは「はぁ?」となって当然である。
「この5人兄弟は誰?」「今闘ってる相手は誰?」「なんで兄弟のうち次男しか変身をしないの?」「さっきから光子ロケット光子ロケット連呼してるけど、そもそも光子ロケットって何?」と、もう冒頭から視聴者はアタマが「??」でいっぱいになりつつ、気付いたら第1話は終了してました、的な感じね。

なぜだか変身は次男の光二しかできず、あとのメンバーはとりあえず生身で闘うというスタイル。
長男と長女は光線銃を持っており、あと三男は空手を使えるからまだいいんだが、可哀相に末っ子の次女だけは何も与えられておらず、あまりにも役に立たないこともあってか、第9話から彼女は急に出てこなくなります。
「どこかで預かってもらってる」的な説明が一応あったけど・・。
・・で、それまでは「俺たち5人で力を合わせて!」と言ってたのが、第9話から「俺たち4人で力を合わせて!」と言うようになりました(笑)。

はるか(演:松尾ジーナ)めっちゃ可愛かったのに、末っ子だからって扱いがちょっと雑過ぎますよね・・

結局、彼女は第8話を最後にそこからはどうなったのかは不明。
お兄ちゃんやお姉ちゃんも、もう末っ子のことは口にしなくなりましたw

あと、第11話から急にシルバー仮面が「巨大化できる」というオプションを手に入れたようで、そこから

番組タイトルが「シルバー仮面ジャイアント」に変更されました!

それまで巨大怪獣とか一切出てこなかったのに、第11話以降は逆に巨大怪獣しか出てきませんw
で、こうして番組タイトルが変わったあたりで、

もう実相寺監督は「シルバー仮面」から事実上撤退してたそうですw

もう、ぶっちゃけ黒歴史・・

とにかく視聴率が異様に悪く、テコ入れとしてスタッフも色々と迷走してたようでして。
やっぱ第1話と第2話が最初のボタンの掛け違いだったとされ、実相寺監督も「自分の責任」と反省の弁を口にしてたそうですが、いやいや、むしろ私は「シルバー仮面」の第1話&第2話こそがシリーズ全話の中で一番好きです。
めっちゃ映像としてカッコいいんですよ(センスが現代のものに近い?)。

ある意味、実相寺美学の完成形!

興味が湧いた方は、YouTubeで「シルバー仮面」と検索してみて下さい。
マジでいいですよ、これ。
円谷プロの「ウルトラマン」系のニュアンスとは異なり、また東映特撮の「仮面ライダー」系のニュアンスとも異なり、まさに実相寺のオンリーワン的ニュアンスなんですよね。

多分「シルバー仮面」は、庵野さんも
めっちゃ好きだと思うぞ?


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