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3ヶ月に1度褒められる日

歯医者に行った。虫歯があるわけではない。
3ヶ月に1回、歯のチェックとお掃除のために通っている。東京に居た頃も同じく3ヶ月に1回通っていた。

思い返せば小学生の頃、虫歯がないことで表彰されてからというもの、何となく自分の歯には自信がある。

社会人になっても虫歯はできず、歯医者さんでも褒められて写真も撮ってもらった。これといった取り柄がないので、大人になってから褒められるのはとても嬉しかった。

歯医者の日は、少し早めに着くようにしている。
待合室で本を読む時間が好きだからだ。

今日は今月の読書クラブの課題図書、遠藤周作の『海と毒薬』を読み始めた。
ものの10分でまぶたが重くなり、うとうとし始めたところで名前を呼ばれる。

「4番にどうぞ」
いつも決まった場所なのは偶然なのかわからないが、本とスマホとバッグを棚に置き、診察台に座る。まだまぶたが重いままだ。

いつもの優しい歯科衛生士さんが横に座る。
「気になるところはないですか?」
「ないです!」
元気よく答えて、診察台を倒される。
あぁ、この椅子家に欲しい…。
まどろみの中、口を一生懸命に開ける。
私は舌の置き場所がどうにも苦手で、自分ではうまくコントロールできない。歯科衛生士さんは唾液を吸う器具で私の舌を制御してくれる。
そして私は夢の中へ…。
2、3度、「ゆすいでくださ〜い」の声で目覚め、口をゆすいで診察台が倒されるのと同時にまた眠る。気がついたら最後の歯ブラシでのブラッシングになっていて、この時間がたまらなく好きだ。

30分ほどのクリーニングだったが、遠藤周作のせいなのか、倒れる椅子のせいなのか、優しい歯科衛生士さんのせいなのか、この上なく気持ちのいい昼寝時間だった。
「今回もよく磨けていましたよ」
また褒められて、ちょっと自信をもらう。
歯医者の後は、いつもよりも少し誇らしい気持ちになって店に戻るのだった。

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