【読了】吉村萬壱「ボラード病」

吉村萬壱「ボラード病」読了。
20250519

4年に1冊くらいのペースでじわじわ読んでいる作家。「ハリガネムシ」「クチュクチュバーン」は、読んだ頃の私の器がまだ堅かったのもあるが、ちょっと飛びすぎてる印象だった。その次に読んだ「臣女」は良かった。片足は浮いちゃってるけど、もう片足はちゃんと地面踏んでる。すごい嫌な小説だった。本作「ボラード病」もそう。村田沙耶香が苦手なんですが、寓話性という点では似ている作家だと思う。吉村萬壱の方が好き。

海塚という素敵な町に住む少女の話。海塚でとれた野菜や魚介類はとても安全で、砂浜もクリーンだし、海塚市民は結び合っていてともに善い人生を歩んでいる。しかしなぜか少女の目が切り取る世界は不穏。こんなに輝いている町をなんでそんなに斜めに見て不満を募らせるのだろうか。そんなんじゃ楽しくないよ。どうせなら善い人生にしようよ。藤村先生のふるさとの授業での圧のかけ方とか、内職をするお母さんの能力の無さとか、なんでそんな嫌な捉え方をするの?人はちらほら死ぬけど、命は巡るものだから心配しなくていいんだよ。ここは綺麗で安全な海塚だよ。こっちに来なよ。ほら、みんなと一緒になろう。みんな見てるよ。おい、逃げんなよ。

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