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【ショートショート】第十九話『予告』

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コンビニ

ふと、
あのレシートのことを
思い出した。

コーヒーを買っただけだった。

なのに。

その帰り道、
レシートを見たとき、

購入商品の下に、
見覚えのない一行があった。

《次回購入予定》
・ビニール傘 1本

外は、
雲ひとつない青空だった。

だから、
ただの印字ミスだと思った。

ところが。

その数分後。
空が急に暗くなった。

雷が鳴り、突然、
土砂降りになった。

僕は、
ずぶ濡れになって
さっきのコンビニへ戻った。

ビニール傘を一本買う。

そして、
受け取ったレシートを見る。

さっきまで印字されていた、
ビニール傘の文字が、
消えていた。

《次回購入予定》

そのときは、
まだ気づかなかった。

ただの偶然。
そう思っていた。

コンビニふたたび

翌日。

昨日のレシートが
気になって、
またコンビニへ向かった。

何も買わずに、
レジ横のレシート入れから
一枚だけ取った。

誰かのレシート
サンドイッチ。
コーヒー。
ガム。

その下に、

《次回購入予定》
・赤い花束 一つ
・白い封筒 一枚

……。

店を出る。

二、三分ほど歩いた交差点。

花屋の前で、
若い男性が立ち止まっていた。

少し迷ったあと、
赤い花束を手に取った。

そのまま隣の文房具店へ入り、
白い封筒を一枚買った。

僕は、
その姿を見届けた。

そして、
手の中のレシートを見る。

さっきまであった文字が、
消えていた。

《次回購入予定》

赤い花束も。
白い封筒も。

何もなかったように。

未完了の予定

そこで初めて、
気づいた。

ビニール傘。
赤い花束。
白い封筒。

どれも、

「予定」が実際に起きたあと、
レシートから消えている。

未来を予言していた、
というより。

まだ起きていないことだけが、
レシートの中に
残っていた。

そして、
現実がそこへ追いつくと、
消える。
……。

僕は、
財布の中を探した。

あの日のレシートは、
もうなかった。

捨てたのかもしれない。

でも。

もし、
まだ起きていない予定が、
どこかのレシートに
残っているとしたら。

それは、
誰かの未来なのか。

それとも──
僕の未来なのか。

そう考えた瞬間、
背中が、少しだけ寒くなった。

《A Drop Remains.💧

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