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守田英正は、なぜ落ちたのか? 格闘技アナリストが独自指数とファイナンスで、森保監督の26人選考を逆算した


森保監督の口から、守田英正の名前は呼ばれなかった。

スポルティングのボランチ。
前回のカタール大会では中盤を支えた男。
ポルトガルで戦い、経験もあり、技術もある。

それなのに、なぜ落ちたのか。

多くの人はこう思ったはずだ。

守田は必要だったのではないか。

経験値を考えたら入るべきだったのではないか。

本当に、他の選手のほうが上だったのか。

私も最初はそう思った。

ただ、そこで感情を止めた。

そして、いつも格闘技分析で使っている自分のフレームワークを、
サッカー日本代表の26人選考に転用してみた。

結論から言う。

守田英正が落ちたのは、能力が低いからではない。

しかし、W杯本番で勝つための「26人ポートフォリオ」として見ると、
守田の席は極めて作りにくかった。

森保監督の選考は、好き嫌いや印象ではなく、
かなり冷徹なポートフォリオ最適化だった可能性が高い。

https://www.reuters.com/sports/soccer/tomiyasu-makes-japan-return-moriyasu-names-world-cup-squad-2026-05-15/


私は普段、格闘技をPFAFで分析している

私には、自分で作った分析フレームワークがある。

PFAF。
Post-Fight Analysis Framework。

もともとはキックボクシングやムエタイの
試合を分析するために作ったものだ。

選手の強さを、感覚ではなく分解して見る。

主な評価軸は以下である。

これは本来、格闘技のための道具だ。

しかし、構造だけを見ると、サッカーにも転用できる。

サッカーも結局は、

  • 得点を取る

  • 失点を防ぐ

  • 試合を支配する

  • 90分走り続ける

  • 決定機を仕留める

  • 流れを掴む

という競技だからだ。

違うのは、1対1ではなく11対11であること。
そして、勝敗が個人ではなくチームポートフォリオで決まること。

だから今回、私はPFAFをサッカー版に翻訳して、
森保監督の26人選考を読み解くことにした。


まず、ストライカーの椅子から見ていく

最初に見たのは、いちばん分かりやすい比較だった。

上田綺世町野修斗

表面的な数字だけを見ると、上田綺世は強い。

ただし、ここで止まると危ない。

なぜなら、同じ1ゴールでも、リーグによって価値が違うからだ。

上田が戦うエールディビジ。
町野が戦うブンデスリーガ。

これは、ファイナンスで言えば
通貨が違う数字」を並べているようなものだ。

ドルと円をそのまま比較しても意味がない。
まず為替レートを置かなければいけない。

そこで私は、各リーグに補正係数を置いた。

この補正をかけたうえで、90分あたり得点力を比較する。

補正後でも、上田は町野の約2.8倍の生産性だった。

ここで初めて、こう言える。

「上田で固定」は、感覚ではなく数字で説明できる。


ここで終わると、ただの比較記事になる

「上田が2.8倍だから上田で決まり」

これだけなら、誰でも言える。

問題は、その結論がどれくらい頑丈かである。

仮定を少し変えたら、結論がひっくり返るのか。
それとも、多少ズレても結論は変わらないのか。

ここで使うのが、ファイナンスの感度分析だ。

どのシナリオでも、上田が上回る。

つまり、私の仮定が多少間違っていても、結論はひっくり返らない。

ファイナンス用語で言えば、ロバストである。

だから、上田の選出は説明しやすい。

問題は、ここからだ。


本題は、守田英正だった

守田英正、田中碧、佐野海舟、遠藤航。

この4人で比較したとき、呼ばれたのは田中碧、佐野海舟、遠藤航だった。

なぜ守田だけが落ちたのか。

私はPFAFの6指標を、4人に当てはめた。

守田はCOI、つまり支配効率では4人中トップと見ている。

局面の質。
ボールの受け方。
相手を外す技術。
ゲームを落ち着かせる能力。

ここでは、今でも高い。

しかし、問題はSURとMOMだった。

SURは耐久・継続性。
MOMは勢い・直近状態。

ここで守田は大きく劣後する。

スポルティングで30試合に出ている。
ただし、出場時間は1,762分。
1試合あたり約59分。

つまり、フル稼働ではない。

さらに、代表招集から離れていた期間もある。

数字はこう告げている。

守田は局面の質では勝っている。
しかし、量と継続性で負けている。


モンテカルロを回したら、もっと残酷な結果が出た

ここで、もう一段階検証した。

PFAFの点数は私の推定である。
当然、誤差がある。

では、各指標に±10%の誤差を入れたらどうなるか。

10,000回、ランダムに数字を揺らして順位を出した。

結果はこうだった。

10,000回乱しても、守田が1位になる確率は0%。
2位になる確率も0%。
4位になる確率は86.2%。

これはかなり重い。

「私の仮定が多少ズレていても、結論は揺るがない」

そういう意味である。

数字は残酷だ。

ただし、残酷だからこそ、感情論よりも向き合う価値がある。


シナリオを変えても、結論は変わらなかった

サッカーは相手によって求められる能力が変わる。

オランダ相手なら、技術と保持。
チュニジア相手なら、球際。
スウェーデン相手なら、高さとデュエル。
決勝トーナメント以降なら、連戦耐性。

そこで4つのシナリオで重み付けを変えた。


すべてのシナリオで、佐野海舟が1位だった。

これは大きい。

なぜなら、森保監督が見ていたのは「単体でうまい選手」ではなく、「複数シナリオに耐えられる選手」だった可能性が高いからだ。

W杯は1試合ではない。

グループステージ。
決勝トーナメント。
移動。
消耗。
相手のタイプ変更。
怪我。
カード累積。

つまり、代表選考はスタメン11人を選ぶ作業ではない。

不確実性の中で、26人のポートフォリオを組む作業である。


NPVで見ると、守田の順位はさらに苦しい

ここで、もう一つファイナンスの道具を使う。

NPV。
正味現在価値。

本来は投資判断で使う指標だ。

将来得られるキャッシュフローを、現在価値に割り引いて評価する。

これをサッカーに置き換える。

W杯ベスト8を目標にしたとき、
各選手が大会中にどれくらい価値を生むか。

期待試合数を5試合と置く。
グループステージ3試合。
決勝トーナメント2試合。

割引率は0.95。

そのうえで累積NPVを見る。

NPVで見ると、守田は佐野・田中を下回る。
さらに、小川航基よりも下に来る。

ただし、ここで重要な疑問が出る。

「では、NPVが最下位の長友佑都は、なぜ選ばれたのか」

ここからは、数字だけでは説明できない領域に入る。


長友佑都の選出は、PFAFでは説明できない

長友佑都のNPVは低い。

それは当然である。

39歳。
身体的ピークは過ぎている。
出場時間や純粋な試合貢献度で見れば、若手や主力には劣る。

それでも、選ばれた。

この意味を説明するには、MBAのVRIOフレームワークが必要になる。

長友は、PFAFやNPVでは測りにくい資産である。

言い換えると、彼は「試合に出る選手」というより、「組織の失速を防ぐ保険」に近い。

W杯は、技術だけでは勝てない。

移動。
時差。
緊張。
メディア対応。
若手の不安。
試合に出られない選手のメンタル。
負けた後の空気。

そうした目に見えない摩擦を抑える存在として、長友には独自価値がある。

これは、守田にはない価値である。

守田は優れた選手だ。
しかし、VRIOで見たとき、長友ほどの模倣困難性はない。

ここが、代表選考の難しいところだ。


後藤啓介・塩貝健人の抜擢は、リアルオプションで説明できる

次に、若手の抜擢を見る。

後藤啓介。
塩貝健人。

この選出は、単純な現在価値だけでは説明しにくい。

PFAFで見れば中位以下。
NPVでも上位ではない。
経験値も不足している。

それでも選ばれた。

なぜか。

ファイナンス理論で言えば、これはリアルオプションである。

リアルオプションとは、不確実性が高い投資ほど、
将来の選択肢として価値を持つという考え方だ。

若手は分散が大きい。

悪く出れば何もできない。
しかし、良く出れば相手が想定していないカードになる。

W杯本番では、想定外の一発が必要になることがある。

森保監督は、安全パイだけで26人を埋めなかった。

安定資産。
経験資産。
高ボラティリティ資産。
守備資産。
決定力資産。
精神的支柱。


この複数資産を組み合わせた。

これが、26人ポートフォリオの本質である。


では、守田が落ちた本当の理由は何か

ここまでを統合すると、結論はこうなる。

守田英正が落ちたのは、能力が低いからではない。

むしろ、局面の質では今でも高い。

ただし、W杯ベスト8以上を狙う26人ポートフォリオとして見ると、守田の価値は他の選手に比べて説明しにくかった。

理由は5つある。

1つ目
PFAFで見ると、SURとMOMが弱い。

2つ目
モンテカルロ10,000回試行で、1位率・2位率が0%。

3つ目
シナリオ分析4本すべてで、佐野海舟が上回る。

4つ目
NPVで見ても、佐野・田中より下に来る。

5つ目
長友のようなVRIO上の独自価値、
若手のようなリアルオプション価値も作りにくい。

つまり、守田には強みがある。
だが、代表26人の中で
森保監督の口から、守田英正の名前は呼ばれなかった。

スポルティングのボランチ。
前回のカタール大会では中盤を支えた男。
ポルトガルで戦い、経験もあり、技術もある。

それなのに、なぜ落ちたのか。

多くの人は、こう思ったはずだ。

守田は必要だったのではないか。
経験値を考えたら入るべきだったのではないか。
本当に、他の選手のほうが上だったのか。

私も最初はそう思った。

ただ、そこで感情を止めた。

そして、いつも格闘技分析で使っている自分のフレームワークを、
サッカー日本代表の26人選考に転用してみた。

結論から言う。

守田英正が落ちたのは、能力が低いからではない。

しかし、W杯本番で勝つための「26人ポートフォリオ」として見ると、
守田の席は極めて作りにくかった。

森保監督の選考は、好き嫌いや印象ではなく、
かなり冷徹なポートフォリオ最適化だった可能性が高い。


※現採用フォーメーションではなく交代も含めたそうフォーメーションの参考値を採用した

代表選考は「能力順」ではない

まず大事なのは、代表選考を「うまい順」に
並べる作業だと考えないことだ。

クラブチームなら、長いシーズンを通して修正できる。
しかし、W杯は違う。

短期決戦。
限られた登録人数。
相手のタイプ変化。
移動と連戦。
怪我のリスク。
ベンチ選手の使いやすさ。
ロッカールームの空気。

こうした要素をすべて含めて、26人を組まなければならない。

つまり、森保監督が選んだのは、単なる26人の選手ではない。

W杯で勝つためのポートフォリオである。

この視点で見ると、守田英正の落選は少し違って見えてくる。


私は普段、格闘技をPFAFで分析している

私には、自分で作った分析フレームワークがある。

PFAF。
Post-Fight Analysis Framework。

もともとは、キックボクシングやムエタイの試合を分析するために作ったものだ。

選手の強さを、感覚ではなく分解して見る。

主な評価軸は以下である。」と言い切る枠が弱かった。

ファイナンス的に言えば、こうだ。

守田は悪い資産ではない。
しかし、ポートフォリオに入れるには、リスク・リターン・相関・タイミングが合わなかった。

特に大きいのは、タイミングである。

W杯は過去の実績ではなく、今から本番までの期待値で選ぶ。

その意味で、守田は「良い選手」だが
今この26人に入れる必然性」が弱かった。


反対意見もある

ここで、あえて反対意見も書いておく。

守田のような技術型ボランチは、W杯本番でこそ必要になる可能性がある。

特に、日本がリードした後にボールを落ち着かせたい場面。
相手のプレスを外して前進したい場面。
テンポを下げて試合を殺したい場面。

この局面では、守田の価値は高い。

だから、守田落選を「完全に正しい」と断定するのは危険である。

数字で見えないものもある。
代表での関係性、練習での振る舞い、監督との信頼、試合中の修正力。

これらは外部データだけでは測れない。

つまり、私の結論はこうだ。

守田を外した森保監督の判断は、数字でかなり説明できる。
しかし、W杯本番で守田が必要だったと思う瞬間が来る可能性は、
ゼロではない。

ここが、代表選考の怖さである。


三笘薫がいないことも、選考全体を変えた

Reutersは、三笘薫がハムストリングの負傷により
選外となったと報じている。

これは大きい。

三笘がいれば、左サイドの突破力は一気に上がる。
相手の守備ブロックを壊す個の力がある。
日本代表にとって、彼は特殊兵器に近い。

しかし、負傷により本大会中の復帰が難しいなら、森保監督は別の形で攻撃の出口を作らなければならない。

つまり、三笘不在は単なる一人の落選ではない。

26人全体のポートフォリオを変えるイベントだった。

だからこそ、森保監督はより「走れる選手」「複数ポジションをこなせる選手」「不確実性に対応できる選手」を重視した可能性がある。

この文脈で見ると、守田の落選はさらに説明しやすくなる。

三笘という強烈な個がいない。
その穴を、単独の代替選手では埋められない。
だから、チーム全体の可変性で埋める。

森保監督の26人は、個のベストメンバーではなく、
可変性のポートフォリオだった。



関連記事

格闘技を数字で読む考え方に興味がある方はこちら。
https://note.com/bankyo110/n/nd65588c687f0

スポーツ興行を会計・ファイナンスで読む記事はこちら。
https://note.com/bankyo110/n/n442a0bcf6b4d


この記事の分析には限界がある

最後に、分析の限界を明示しておく。

1つ目。
PFAFの6指標は、公開情報をもとにした私の推定である。
OptaやFBrefの生データで再計算すれば、数値は変わり得る。

2つ目。
代表内部の評価は見えていない。
練習での状態、監督との会話、ロッカールームでの振る舞いは、
外部からは測れない。

3つ目。
怪我の状態は公開情報に依存している。
三笘、南野、町田浩樹などのコンディションは、
外部データだけでは完全には判断できない。

4つ目。
モンテカルロは±10%の誤差を仮定したモデルである。
現実の誤差分布はもっと複雑である。

5つ目。
サッカーは確率の競技である。
正しい選考をしても負けることはある。
逆に、間違った選考でも勝つことはある。

だから、この記事は未来を断定するものではない。

ただし、少なくとも一つは言える。

守田英正の落選は、感情論だけではなく、数字でかなり説明できる。


最後に

私はこの記事を、PFAFという格闘技の分析道具で書いた。

そして、ファイナンスの道具を使った。

感度分析。
シナリオ分析。
モンテカルロ。
NPV。
VRIO。
リアルオプション。


これらは本来、企業の意思決定で使う道具である。

しかし、代表選考にも同じ構造がある。

限られた枠。
限られた時間。
不確実な未来。
怪我のリスク。
相手との相性。
短期決戦。
組織の空気。
まり、森保監督は26人の選手を選んだのではない。

W杯で勝つためのポートフォリオを組んだ。

その視点で見ると、守田英正が落ちた理由は見えてくる。

能力が足りなかったのではない。

ただ、今回の26人の中で、守田でなければならない席がなかった。

数字は未来を保証しない。

ただ、過去と意思決定の構造を整理する道具にはなる。

私は、感情ではなく数字でスポーツを読む。

そして、その数字の奥にある監督の意思決定を見たい。

それが、この記事でやりたかったことだ。


参考・出典

Reuters
Tomiyasu makes Japan return as Moriyasu names World Cup squad
https://www.reuters.com/sports/soccer/tomiyasu-makes-japan-return-moriyasu-names-world-cup-squad-2026-05-15/

JFA公式
SAMURAI BLUE
https://www.jfa.jp/samuraiblue/
UEFA Club Coefficients
https://www.uefa.com/nationalassociations/uefarankings/country/
FootyStats
https://footystats.org/
サッカーキング
https://www.soccer-king.jp/
Wikipedia
各選手プロフィール確認用


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実はサッカーがめちゃくちゃ好きなファン目線で一言言いたい

がんばれニッポン!

全てを覆してくれp(^_^)q




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